神との交流

綺麗すぎる桜の枝と切り取られた空間に、あどけない糸性を感じて、この土と空を調和させたような色の木皮が死んでいることは取り留めもないことだった。そんなよろめいた心は、疑わない物を決めているからできていた。
培養されてゆく幸福が、視界のピクセルを乱数的に侵食してゆき、いずれは本質なんてものがなく、意識はチャンネルだと感じてゆく、そんな足取りで、歩くたびに空が広がり、草木が賑わっているイメージが目に見える物質になる寸前まで巡ってきていた。生み出した光は既に実際の木漏れ日になっていて、私は眩しくても瞼に力を入れることはなく、瞼を休めていた。
排気ガスがこもったビルの境目にも、独自の進化系があり、この車の音で育った草木の優しさはいつも、私を包み込んでいた。
言葉でラベリングできる要素など拙く、色んなものが色んなものを発射していて、色んなものを受け取っていた。お返しに色んなものを私が知らない間に体は出していて、私が些細なことにくよくよしている間に、細胞たちは愛し合っていた。どれもセックスで、どれも食事で、どれも睡眠だった。
快感を求めるのは良いけど、その欲求が依存性や不安をもたらすなら手放した方が良いという合理的な教えを、空から何まで、自然なものは私に訴えかけていた。あとは、慰め方も素敵だった。
「人は動物である上に言葉を使うから、動物の快楽と不快のコントロール下に加えて、言語で形成された社会によって純粋な欲望とは違う動きをしないといけないし、依存性のあるものは経済を回すから誘惑は大量生産大量消費、どんどん自然に生きれば心は削れてゆくね、いつもどこかで地獄を見てる子供がいる、でも感覚器官も意識もなく何も感じない無の世界よりはマシでしょ?無ではないならこれが完璧って気がするでしょ?神はサイコパスなのよ。私たちの一歩先にいるの。日本語のチャンネルで伝えるのは難しいね。金玉」
今金玉って言った!?え!!!!!!
俺の声の爆音でビルのガラスが全部割れた。
やったー!!!!!!!!
とカラスが叫びながら横切る。
横断歩道をリング上みたいにしてみんなが、殴り合っている。青になったら喧嘩が始まって、赤になったら入れ替わるシステム!?
最悪の展開。巨大なちんこが海から上がってきている。包茎のその皮の間から無数のクジラが出てきて、流れてくる。
クジラの鳴き声が凄い。脳髄に響く。見上げると太陽と月がセックスをしている。ずっと会いたかったみたいな、感じが出ててむちゃくちゃ両方濡れている。ねっとりした雨が落ちてきていて、それが舌に触れた時、興奮してることを鮮明に感じ取る。カーブミラーを見ると、私は口角が空に届きそうなくらいの笑顔をしていた。
あああああああ。ねむたーい。私は終わりを醸し出す空間の中、エアーの押し入れからエアーの布団を出し、エアーで布団を敷いて寝た。隣に神がいて、とても心が安らいだ。神を独り占めしているという優越感を感じ、欠損された承認されている意識は一瞬で回復した。そして見つめ合うと、よしよししてくれたから、手を払った。神のその驚いた顔、可愛くて忘れられない。私はいつもその顔を思い出しながら寝ている。私の頭にはまだ尚、神の手がある。何度払ってもよしよしされてしまう。もうよしよしさせていると言っても良いのかもしれない。

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