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11/2 生命コミュニケーション

雪を踏みしめた時の音が、どの世界にもまだ存在していないユーモアに聴こえて、笑いが止まらなかった。涙と呼ばれてる、凄いゲームっぽいものも頬を伝うくらい出た。髪は相変わらず伸びていて、ハムスターなら即死しそうな水色の風が吹いて、靡く。その踊りのような姿や動きが、背後に加わり、ますます楽しかった。木々は、木々と呼ぶに相応しいくらい立ち並んでいて、全部の木にびっしり葉が生えていた。季節外れに思えることが自分の感性の拙さのような気がして、この土地の葉は、木が大好きなんだね、と言い放った。一瞬一瞬で、快く感じることを心がけることさえ甘く、ピンク色の光が、視界に翳ってきて、ようやく濃度を観察する段階に入るのだろう、とも思った。どこに向かってるのかわからないまま歩き続けるこの身体は、あまりにも裸で、女性器なのか、男性器なのかわからないものが股間についていた。吐瀉物のように形気がなく、目を擦って確認するアニメのような動きが、自然と出た。覗くともう戻って来れない空洞のようにも感じれたし、東京タワーのように聳え立っているようにも感じられた。また、その謎の性器の周りでは集落があった。腰を抜かしそうになる程美しいオブジェが毛の一本一本に添えられ、その周りで一生笑って暮らせそうなユーモアの芸を披露しているものもいた。暮らしも豊かだった。争いというものを全く知らず、この身体に祈りを捧げる儀式を毎朝行い、続けて筋トレ・ヨガをしていた。幻想はなく、皆が現実を見て、喜び合っていた。気が狂ってる風にも見え、常識は深いものだ、と感じた。微生物と呼んでも良いくらいの生き物が、この身体よりも高い知能を持っていた。この身体の図体の大きさが、欲望を表しているような気がしたが、欲しくなくても手に入るものが、本当に欲しいものな気もした。どこに向かって歩いてるのか、もう一度考えた。歩きたくて歩いているとは、思えないけれど、確かに歩いている。首だけ振り返ると、真っ直ぐに足跡がある。こんなにキョロキョロと周りを見ながら歩いたのに、真っ直ぐ歩いているらしい。結局最後は、基準が見当たらないみたいな、言葉の表面性か。集めたもの全部を有耶無耶にして、手に入るものも手にしている。いつまでも、驚くほど寂しく、寒く、枯渇していたが、喜びは絶えなかった。ふとこの身体の背中を歩いている1匹の微生物を一際激しく感じる。その迷いの無さに、例え5億年経って景色が変わっても、川の空間の一部を切り取ったように瑞々しい感覚は変わらないと、意識でわかった。この身体をすまわせている身体は、この身体を見ている、ともわかった。思考さえ、観察し始めていた。この身体をどんなアングルからも眺めることができた。内側からも見ることができたし、この身体を住まわせてる身体の視点からも見ることができた。歩き方は、ますます洗練していくようだった。今はもう身体から完全に離れ、この身体を言葉にして、ずっと深いところにある爆発的な意識と話そうとしている。弾け飛んでしまう前に、お礼を言いたい!

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