タクシーハラスメント対策委員会 署名ステートメント全文
【目的】
本署名の目的は以下のとおりです。
・一部のタクシードライバーによる乗客への侮辱的言動について、各タクシー会社、及びタクシーセンター、運輸局などのタクシー関連組織が対策を講じ、その具体的内容を明文化し公表すること
・侮辱的言動が起こらぬよう、継続的な教育を定着させ、その具体的内容を明文化し公表すること
・侮辱的言動が起こった際に当該ドライバーへ課すペナルティについて、各タクシー会社、及びタクシーセンター、運輸局などの関連団体が具体的内容を明文化し公表すること
※ペナルティは「厳重注意」といった形式的なものでなく、減給や降格、解雇といった明確なものを求めます。
※対象を女性に限定する理由がないため、女性に限らずあらゆるマイノリティを含むすべての属性の乗客に対しての侮辱的言動を禁じることを求めます。
上記の内容をまとめた公開質問状を署名と共に各関連組織へ提出予定です。
いずれも業界全体に及ぶ問題提起があり、現状すでに日常的に問題が起こっている以上、各事業者が改善に努めていることを示さないメリットが思い当たりません。
各事業者にはぜひご返答をいただけるものと信じておりますが、そういかない場合は、公開質問状という形をとる性質上、ご返答がいただけていない旨を公表することになります。
また、本プロジェクトは署名に限らず、別の形態でも同時並行でキャンペーンを推し進めていきます。後述の【拡散・情報共有について】【クラウドファンディングについて】【自衛のためのアクション】が該当します。ぜひご一読ください。
【背景】
この署名の発端は、タイトルどおり(主に男性)タクシードライバーによる、女性客に対するタメ口、横柄な態度をはじめとした侮辱的言動の経験談がツイッター上で噴出したことです。
この問題は、数多く寄せられた「男性と同乗しているときは敬語」であるという経験談にあるように、「女性だけでなくすべての乗客に対してそうなのかも」「タクシーの運転手ってこういうものだと思っていた」といった認識によってこれまで大きく取り沙汰されづらかった経緯があると考えられます。
また、前述の「男性と同乗しているときは敬語」にあるように、(意識的・無意識的は問わず)女性を狙った、女性蔑視に基づく行為といえます。
本件は「これまでは問題がなかった」のではなく、ずっと問題であったことが社会的に見過ごされてきたにすぎません。
タクシードライバーは密室で乗客の命の主導権を握る立場です。
さらに、出発地や目的地が乗客の自宅だった場合、住所をはじめとした個人情報を知りえます。
そういった相手が1対1の環境で高圧的に振る舞ってきたときの恐怖は計り知れず、ドライバーが立場を悪用しようと思えば際限なく加害をもたらすことができます。
そうした権威勾配を基におこなわれるすべてのハラスメントを根絶すべくこのプロジェクトを始動しました。
【議論・質問の申し出について】
前述の経緯から、委員会として
・実際にこれまで女性客に対する侮辱的言動が問題にすべき質・量あったか否か
・侮辱的言動をなくすべきか否か
・本プロジェクトの社会的意義
については議論を持ちません。
また、SNS上での議論の持ちかけや質問への返答は一切おこないません。
もし委員会アカウントが何かメッセージを受け取ったとしても、議論や質問に見せかけたヘイトや誹謗中傷、ガスライティングと見分ける労力を一切負わず、必要があれば積極的に情報開示請求をおこない、発言者の特定、法的措置を進めていきます。
また、署名関係者に対する本件についてのSNS上での質問についても一切返答いたしません。以下の所定の窓口からご連絡ください。また、お問い合わせがあったとして、必ずしも返答するものではありません。
問い合わせ窓口
https://forms.gle/6XaWCqpQwksR52zE6
【事例集】
事前の調査で複数寄せられた侮辱的言動は以下に述べるようなものです。
名誉毀損や脅迫、プライバシーの侵害、不法侵入など、刑事事件として立件の可能性を感じられるものも少なくありません。
・タメ口
・高圧的な態度(恫喝、怒鳴りつけるなど)
・ルートを調べない、ナビを使わないなどの職務放棄
・性的な発言・性的接触の要求(セクシャルハラスメント)
・容姿をあげつらった発言
・一方的に自論を語るなどの迷惑行為
・連絡先をしつこく聞き出そうとするなど、個人情報の詮索
・家の中への侵入(未遂含む)
・「2人きりだから何があっても誰も助けに来られないね」「住所覚えたから」といった脅迫
こうしたタクシー運転手からのハラスメント行為全般を便宜上「タクシーハラスメント」と称します。詳しくは後述しますが、 #タクシーハラスメント のハッシュタグで体験の共有に活かし、また拡散にご協力いただければ幸いです。
【注釈】
本プロジェクトは、タクシー関連事業者との対立を望むものではなく、個別の事業者に対する社会的制裁を求めるものでもありません。業界と協働して課題解決を進めていくための材料としての署名による問題の可視化を意図しています。
署名を通じて問題意識を持っている人の数を明らかにできれば、「これだけの人がタクシー利用を避けている可能性がある」という業界にとっての機会損失の度合いが測れます。しかしこれは、転じて増益の可能性でもあり、事業者にとっても今後の経営改善の指針として活かされうるものです。
「乗客数に大した影響はない」と軽視され、見過ごされる事態を防ぐため、1筆でも多くの署名を集め提出したいと考えています。
【署名の提出先について】
現状考えている提出先は以下の3カテゴリです。
1.各地方のタクシーセンター
2.運輸局
3.各地の運輸支局
各カテゴリにつき複数の各関係部署に送付予定なので、提出先の総数は数100に上るかもしれません。
上記の他にも、提出先として適した組織・団体などがあれば、順次追加していく予定です(心当たりのある方は、ぜひ当委員会までご連絡ください)。
【拡散・情報共有について】
また、署名活動に加えて、被害を受けた人同士の連帯を促し、相互のケア、エンパワメント、また問題の可視化を促すため、SNSでのハッシュタグを使った体験談の共有も自由におこなっていただきたいと考えています。
本プロジェクトで取り上げている問題に関連する経験をお持ちの方は、ぜひTwitter上で「#タクシーハラスメント」と共に体験をシェアいただければ幸いです。
また、賛同者の方には、身近な方のほか、勤務先での共有を大変ありがたく思っております。
仕事で必要に迫られてタクシーを利用することがあるという声が多く寄せられており、また勤務の一環でのタクシー乗車には社として責任が生じるため、共有の正当性もあると考えます。社内でのこうした問題の積極的な共有は、各企業の価値、及び社員からの信頼を高めることに繋がると信じております。
また、後述の【ドライバー側が受ける被害について】もお目通しいただければ幸いです。
【自衛のためのアクション】
本プロジェクトは署名だけでなく、個々の利用者への自衛策のシェアも目的の1つです。
現状、委員会として共有できるものは以下のとおりです。
・ドライバーの名前、タクシー会社をメモする
・車内に設置されているタクシー会社やタクシーセンター向けのはがきを手に取る
・ドライバーを名前で呼びかけ、こちらが「ドライバーの名前を認識している」と相手に示唆する
・タクシー会社、タクシーセンターへの問い合わせ
中でも最後に挙げた問い合わせは強い効力を持ちえます。特に個々のタクシー会社ではなく、それらを統括する各地方のタクシーセンターへの問い合わせは有効と考えられます。
上記のような対応を実行した実体験のシェアも、先の「#タクシーハラスメント」のハッシュタグとともにシェアし、利用者同士が共に支え合っていければ幸いです。
支援者の皆さんからの新たな自衛策の知見提供も随時求めております。こちらも同ハッシュタグでぜひ拡散にご協力ください。
【協力の申し出について】
本プロジェクトでは、運営に協力してくださる運営メンバーを募集しております。
現在募集中の役割・技能については以下の通りです。
・委員会運営における全般的な事務作業
・法律の知見
・タクシー業界の方、現役ドライバーなど
・統計学の知見(署名数による市場への影響力を測るため)
・英語をはじめとした日本語以外の言語に堪能な方(別言語版ページの制作にご協力いただくため)
・その他、プロジェクト推進に有用な役割・能力全般
もしご協力いただける場合、ご連絡はタクシーハラスメント対策委員会お問い合わせ窓口(https://forms.gle/zF5wqgZhdaJZZmeq6)までいただけますと幸いです。
コミットメントの深さは応相談です。また、本プロジェクトは「社会運動は誰も身を粉にせず完遂できる」ことの証明を裏テーマとして考えております。
特に本件は「安全にタクシーを利用する」という当たり前の権利が脅かされているものをあるべき状況に回復するというものでしかなく、誰に対してもプラスアルファを求めるものではありません。
当然おこなわれるべきでないことがおこなわれない社会にするために、誰かが骨を折らなくてはならない状況を生み出さないためにも、ハッシュタグでの皆さんによる協力を必要としております。どうぞよろしくお願いいたします。
問い合わせ窓口
https://forms.gle/zF5wqgZhdaJZZmeq6
【クラウドファンディングについて】
運営メンバーや協力者が安全にキャンペーンを進行していくため、弁護士に常駐してもらうことを予定しており、その費用のほか、運営メンバーに対しては可能な限り労働対価を支払いたいと考えています。その実現にあたって、クラウドファンディングを通じてご支援いただければ幸いです。
本プロジェクトは、署名活動開始から目的達成までに半年ほどの期間を要することが想定されます。その間、運営メンバーは弁護士費用はもちろんのこと、それぞれの本業とは別にそれなりのリソースを割くことになります。長期的な活動を実現するため、賛同いただける方は以下のリンクからカンパをいただければ幸いです。
また、余剰分が発生した場合は女性支援のNPOなどへの寄付を想定しています。
問い合わせ窓口
※クラウドファンディングページ準備中につき、もしご支援いただける場合は、こちらの記事の下部「サポートをする」からお願いいたします。
【取材について】
取材をご希望される方は前述のお問合せフォームまでご連絡ください。
問い合わせ窓口
https://forms.gle/kLWhYYSSB74xRLSd9
【ドライバー側が受ける被害について】
タクシードライバーが酔った乗客から暴行を受けるなど、ドライバー側が被害者になるケースも過去に報道されています。
ただ、これを利用してどっちもどっち論に持っていき、問題を相殺しようとする振る舞いを看過しません。被害に遭った・遭う可能性のあるドライバーのケアのためにも、こういった課題を利用するおこないを封じ込める必要があると考えます。
そのため、何らか乗客による被害に遭ったことがあり、それが業界の構造的不均衡によるものだと考えるドライバーの方は、以下まで体験談をお寄せいただければ、活動の参考にさせていただきます。
問い合わせ窓口
https://forms.gle/p1xq3TayR8dwqASb7
【第2の目的について】
本キャンペーンは単にタクシーハラスメントをなくすことだけを目指すものではありません。
本委員会がまず「タクシーで起こるハラスメント」についてキャンペーンを主宰しましたが、類似のハラスメントは日常生活のさまざまな場面で起こっています。
そうしたそれぞれの事案に疑問を持ち、声を上げることを促進する。そして、本プロジェクトによって感化された誰かが別の活動を立ち上げることを第2の目的としています。
それにあたり、「自分にもできる」「やってみよう」と活動のハードルを下げることが求められます。そのためにも、まずは本プロジェクトがなるべく楽勝で達成されること。圧倒的な数の署名が必要です。どうか身近な人、勤め先など、拡散にご協力いただければ幸いです。
【第3の目的について】
問題の特性上、男性の中には、本プロジェクトが打破を目指している種々の問題が存在することすら認識していなかったという人も少なくないかと思います。
だからこそ、世の男性たちには本プロジェクトに関心を持ち、協力していただきたいと考えています。それによって、これまでないがしろにされてきた女性やその他の属性を持つ人々の立場に思いを馳せ、今後の社会で類似の問題が起こったとき、いち早く可視化し、スムーズに打破の取り組みが進行するよう、「直接の被害者でない属性の人が率先して動く」権利運動の土壌を耕せればと願っております。
タクシーハラスメント対策委員会
いただいたサポートは協力企業・協力者への支払いに充てさせていただきます。 また、余剰が出れば委員会メンバーの人件費に、それでももし余剰分があれば女性支援団体への寄付に充てます。