令和五年不況
今年はコロナ不況といわれていますが、令和五年にも不況がくると思っています。
なぜなら消費税のインボイス制度が始まるからです。
インボイス制度の詳細はほかの記事に譲るとして、正確さを犠牲にしてわかりやすく一言で言ってしまえば「これまでは消費税が課税されていなかった中小零細企業も消費税が課税される制度」といえるでしょう。
そもそも税金とはなんぞや
税金には様々な機能がありますが、その一つにビルトインスタビライザーというものがあります。
これは税金には景気を安定させる効果があるということです。
景気には好況と不況があり、その波はできるだけ小さい方が国民としてはありがたいですよね。
今は給料高いけど景気が悪くなったら倒産、なんて困りますもんね。
で、税金というのは基本的には利益に対して課税されるもの(法人税とか所得税)が多いです。
好況時には利益が多いから税金は高くなります。たくさん税金がとられるので景気が過熱しすぎるのを抑制することができます。
不況時には利益が出ないので税金はほとんどとられません。なので景気が上向くのが早くなります。
なかなかうまい制度です。
で、これに真っ向から反しているのが消費税。
消費税って利益が出ているとか関係ないんですよ。取引があれば払わないといけないので。
建前としては「消費税は消費者から預かっているお金だから手を出しているわけないよね?払えるよね?」ということなんでしょうけど。
赤字企業にそんな余裕はないでしょう。
ここでちょっと消費税に詳しい人なら疑問に思ったのではないかと思います。
消費税は多段階累積控除といって、預かったお金から払ったお金を控除した分を納税するものだと。
つまり赤字企業ならその分支払ったお金も多いはずだから課税されないのでは?
ところが払ったお金のすべてに消費税が課税されるわけではありません。
代表的なもので言うと人件費なんかは消費税額控除ができません。
ゆえに基本的にはほとんどの企業や個人は納税することになるのです。
ビルトインスタビライザーというおしゃれな効果は全く期待できないのです。
令和五年からどう変わるか
ただすべての企業が納税をしなくてはなりません。
現行制度では基準期間の課税売上高が一千万円未満である場合は納税しなくてもいいことになっています。
これはそこまで小さな企業にまで監視の目が行き届かないという実務的な面が大きいのですが、ここが令和五年から変わります。
なかなかに国税庁もうまいことをするなと思いました。
令和五年から免税事業者がなくなるわけではないのです。
ただ免税事業者との取引をした企業はその分を仕入れ税額控除できなくなるのです。
そうなると免税事業者と取引をしている企業はその分負担が増すので、値下げ圧力や最悪取引先の変更を検討することになります。
そうなると免税事業者としては困りますよね?
免税事業者としては国税庁に届け出を出して課税事業者になっていればいいのですが、そうなると今度は消費税を納税しないといけなくなる。
基本的に免税事業者なんてかつかつでやっているところが大半でしょうから、死活問題になってくるところも多いのではないかと思います。
なぜこれが話題にならないのか不思議なところです。
特に最近は電通みたいに社員契約から請負に変更する企業も出てきてますし、そういう人たちも令和五年から減収になるわけですから。
あまりに誰も話題にしないので、私の理解が間違っているのかなと思って何度か調べなおしてみたのですが、何度調べても上記の理解でおおむね正しいように思えます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?