白き帝国 感想

そんなわけで「白き帝国」感想。抑えてはいますがネタバレします。
読了後の閲覧推奨。

実は追憶からの犬村ファンなので完全に前情報なしで読んだ。
で、今回の悲劇を例えるとこんな感じ。

行きつけのお店で「いつものやつを」って注文

ちゃんとカッコいい飛行機械とか健気なお姫様とか出てきて
「こういうのでいいんだよこういうので」ってむぐむぐする

突然、血反吐をぶちまけて喉をかきむしりながらのたうち回る←いまココ

人の心とかないんか。
つか、意識が朦朧として感想をまとめる気力がない。細切れに語ることにする。

■気に入ったシーンの話
やっぱり誓いのシーンが最高に良いよね。「万人ひとしく……」のやつ。情景も素晴らしいし、そもそもこのカップリング自体が最高に絵になる。ある意味王道と言っていい。もちろんこのシーンの前段があった上であの誓いがあるからこそ(俺が)めちゃくちゃ盛り上がったんだと思う。今回いろいろツラいシーンが山盛りで、正直なんで俺は金を払ってこんな目に遭ってるんだって感じだったけど、このシーンだけで元がとれたからいいやってなってる(チョロい)

■悪役の話
今回の悪役は嫌な方向に極彩色でコテコテだよな。悪役が活躍すればするほど俺のメンタルが削られるという……つか、読んでてツラいシーンは大体こいつがイキイキしている。控えめに言って変態。
コテコテすぎて「こんなんおるか?」とか思ったけど意外とツイッターとかに居そうな気もしてきた。すげえ煽ってきそう。やはりインターネットはやめるべき(正論)
あとホストに全力で貢ぐ風俗嬢が目の前にいる気分を味わえる。そういう意味でもツラい。もう存在自体がまんべんなくツラいと言い切っていい。

■世界の話
でもちゃんと「いつものやつ」なんだよな。いつものカッコいい飛行機械群や健気なお姫様(まだ言ってる)とかのワクワクする部分はもちろんだけど、人種・民族間の差別や憎しみっていう悲しい部分も「いつものやつ」だ。今回は描写の関係上ミーニャに思い入れしがちだけどミーニャも善性の塊ってわけではなくて普通に人間を奴隷として使いつぶしたりするし、人間との融和を望むトトやルルですらそのことに疑問も罪悪感も持ってないように見える。そもそも悲劇のトリガーもダダ王の行き過ぎた野望が人間側を追い詰めたせいとも言えるが、誰も彼を止めることはできなかったし結局ダダ王の覇道に参加しさえした。

ミーニャが悪いとは思わない。彼らは平和をもたらそうとしただけだ。手段を選ぶことなく。
人間が悪いとも思わない。彼らは自由を守っただけだ。手段を選ぶことなく。

おそらく人間もミーニャも今までお互いを踏んだり踏まれたりしてきたし(端々にそういう描写がある)、今回もそうだったというだけだろう。
そうして今回もまた憎しみと不信の連鎖だけが残り、それが断たれる気配すら見えない……受け継がれる理想を除いて。
続きが出たら読む以外の選択肢がないんだよな。というかこの作品は打ち切られるとマジで心の整理に困る。

頼む、全人類「白き帝国」を読んでくれ。

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