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応援したくなった、物語。
バイト先の社長さんは、たまに攻撃的で、たまに保守的。ふと思い出したかのように保守的になる社長さんが、よくわからなかった。
ぼく自身、なんでもやらないとわからないって思ってるタイプだし、ちゃっちゃと行動にうつしたい。なのに、動き出せない。すこし、いや、かなりもどかしかった。
でも、これには理由があった。社長の物語があった。21歳の社長なのに、見た目が30歳くらいになるまで老けているのには、理由があった。
複雑な環境にいたこども時代
生きるには十分のお金があり、一般家庭よりもすこし家庭に余裕があるぼくにとっては、想像もできないはなし。
話していいのかわからないけれど、猛烈に書きたくなった。社長さんすんません、書きます。
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お父さんとお母さんが殴りあう。
そんな状況、ありえない。喧嘩はたまにしかせず、仲良く日常を過ごしているお父さんとお母さんをみていたぼくにとっては、ありえない。
しかし、もともと喧嘩ばかりする夫婦なのではない。「お金」が原因で家族が分裂してしまった。
おじいちゃんは旅館のような建物で寿司屋をやり、お父さんも同じ建物でとんかつ屋さんや、バーを開いていた。かなり繁盛していて、お金はかなり持っていた。
そして、ある日おとずれたおじいちゃんの死。ここからお父さんはおかしくなった。
実は、おじいちゃんが2000万もの借金を残していたのだ。社長さんに物心がつきはじめた、まだ小さいとき。家庭がななめ下に傾きはじめた。
お父さんとお母さんが喧嘩ばかりする日のはじまりだ。
親友に、裏切られる
18からはじめたバイト。尊敬する先輩もいて、後輩もいて、親友もいた。
しかし急に、親友との連絡がつかない。どういうことだろうか。親友だけかと思いきや、親友以外のメンバー数人もいなくなった。
じつは、親友が数人のメンバーにお金を渡して、引き抜いて消えたのだ。規模が大きいわけでもない会社には、大打撃だった。今まで数人でやってきたことを、ひとりでやらなければならなくなった。
心のそこから悲しみ、怒り、ドン底に落ち、悔しさが湧いてきた。仕事量が何倍にも膨れ上がっているなか、消えたメンバーに連絡をとり、ひとりひとり事情を聴いた。
どうやら、親友がお金を渡していたらしい。
ひとりで、なんとかしなければいけない
社長さんは長男。高校生の弟がいる。今や、家族で一番頼りになるのは長男の社長さんだ。社長とはいえ、まだ21なのに。
年なんて普段気にしないけど、20年ノホホンと生きてきたぼくにとっては、つらく、苦しく、恥ずかしくも思う。
「家族は俺がなんとかしないといけない。」
かなり大きな重荷を背負っている。21歳で多大な借金をかかえている。自分が原因なわけではなく、ある種、運命のいたずらだ。
ぼくは、ひとりでやるよりも、仲間の力を借りるほうが何百倍も力が出ると思っている。社長さんも頭ではそう考えている。
「俺がなんとかしないといけない。」
物心がつきはじめた頃から体に、脳に、無意識に刻まれている言葉が邪魔をする。俺が何とかしないといけない。
ひとりではやりきれないような仕事量を抱え込んでしまっている。
人を完全に理解することはできないが
ひとりの人間を完全に理解することはできない。だけど、社長さんのことを前より知った。
「なんでここ守っちゃうんだろう。」
「なんでひとりで抱え込むんだろう。」
親友にうらぎられ、保守的になっている。
小さいときの家庭環境のせいで、「助けて。」を素直に言えなくなっている。
すべてをひとりで抱え込んでしまっている。
まだ一部、ほんの一部しかわかっていないんだろうけど、話を聞いて理解が前進したからか、社長さんを応援したくなった。
やはり、深い傷、壮絶な原体験をもっている人は、共感を呼ぶ。
そんな人が身近にいる環境が、幸せだなあと感じています。
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ニトロ橋本(@tatsuya0313nu)
読んでくれてありがとうございました。また読みにきてください。