【備忘録】Michael Breckerの練習トピック

今回は、僕が敬愛してならないテナーサックスの巨人 Michael Breckerの練習トピックを、備忘録的に書いていこうと思います。自らのモチベーション・マインドが滾るトピックが中心です。
参考文献がある場合は提示していきますが、インターネットから拾った情報もあるため信憑性についてはご容赦くださいm(__)m


練習時間

マイケルは、最長一日19時間練習していたこともあるとか。
ちなみにチャーリーパーカーは16時間だそうです。
当時のジャズミュージシャンとは切っても切り離せないドラッグ、ヘロインの影響がうかがえます。

「ヘロインは、持ち合わせている音楽的能力に影響を与えるものではないが、精神的な集中状態を作り上げることにかけては他のどんな薬物よりも優れていると感じた。アルコールは才能を台無しにするし、テクニックも落としてしまう。大麻は、アイデアはたくさん出てくるが頭が早く回転しすぎて、アイデアからアイデアへとどんどん移ってしまう。ヘロインは集中力を高める。なにかにズームインして、他のことはブロックできてしまう。集中力が高まれば緻密になれる。コルトレーンはよくハイになって、一日中練習していたよ。延々と続けられる。ヘロインが練習を強化したってことだ。自分自身も、ヘロインをやっていなかったらこれほど猛烈に練習ができたかどうかは疑問だ。…」

マイケル・ブレッカー伝 ビル・ミルコウスキー

「ヘロインこそが秘訣だっていうのは、ビバップのミュージシャンたちを見てみんな知っていた。<中略>それと、演奏するとき、特に練習するときは、本当に集中できるんだよ。他のことはどうでもよくなる。一本道みたいなもので、何にも邪魔されず、どこにも寄り道せず、ただただ『俺は練習する、やり続ける、疲れたら休んでまた続ける』。…」

マイケル・ブレッカー伝 ビル・ミルコウスキー

マイケルの練習っぷりは、同時期のミュージシャンの発言からも伝わってきます。

「…常に練習していたからね。間違いなくいつもだ。24時間休むことなく偏執狂のように練習していたよ。…」<中略>リーは、たっぷりと薬と酒をやった翌朝、マイケルのサックスの音で起きたことを覚えている。「床の上の小さなマットレスで寝ていたんだけど、そこは彼がいつも練習している広い部屋だった。クエールードの酩酊から覚めた僕に気づいて、ちょっと演奏を止めたんだ。『何時間練習してるの?』『4時間かな』。参った。自分はただずっと寝ていたんだ!マイケルはいつも練習していた。常に努力を惜しまなかった。いつだって間違いなくそうだ」

マイケル・ブレッカー伝 ビル・ミルコウスキー

「ある意味、マイケルはひどい生活をしていたんだ。家具らしい家具もなく、食事もろくにとらず、人間という生き物としての居心地の良さを求めていなかった。すべてはサックスをマスターすることに向けられていたからね。でも、誰かがそこまで一生懸命に頑張っているのを見るのは、刺激的でもあり、謙虚な気持ちにもなった。あれほどまでに何かを追求する人は見たことがないよ」

マイケル・ブレッカー伝 ビル・ミルコウスキー

オーバートーン練習

オーバートーンの練習も非常に重視しており、毎日のルーティンに入れていそうです。

彼がマウスピースを試すのを聴かないと損するよ。まるでハイフェッツか誰かのように、倍音列を低音域から高音域までプレイするんだ。それが彼の練習方法だった。サックスの一番下の音から通常の音域を超える高さまで吹き、すべての倍音と通常の音を感じ取るんだ。マイケルはそのレベルの世界にいた。常に探求し、進化し続け、深い情熱と愛情を持ってプレイしていた。

マイケル・ブレッカー伝 ビル・ミルコウスキー

オーヴァートーン・シリーズを出す練習はいいよ。これはジョー・アラー度のテキストにも出てくる。それから、オーヴァートーンだけじゃなくて、それらを実音と合うようにさせる練習や、倍音を出すのも下から順にだけじゃなく、上から逆に下がってくることも、スムーズにできるようになる必要があるんだ。

パターン練習

The practice notebook of Michael Breckerという本によると、パターン・リックの練習方法について、

  • あるパターンを半音・一音・短三度に転回させる

  • 4音パターンか、長いフレーズを転回し、12キーに移調させ、全音域で吹いていた

  • あるリックを、半音上げる⇒(そこから)短三度上げる⇒(そこから)4度上げる⇒(そこから)♭5度上げる⇒以上の下行バージョンを行う

  • リックは全キーに移調させる⇒リズムを変えてみる⇒クロマチックのラインを作ってみるという流れで練習していた。元々自分が持っているボキャブラリーに、リックをどう組み込むか試行錯誤する

と具体的に記載されています。
また、ブレッカーの練習に対する考え方も。

  • 新しいアイデアに取り組むとき、自分のプレイにするのにはとても時間がかかる。時には1か月も。だけどそうやって覚えたリックを、忘れるようにする。そうするといつかプレイに出てくる

  • リックを練習したらひたすらチューンをやる

  • レコードを聴きアイデアを盗む

その他

ヘイスティングスにあるマイケルとスーザンの家からは、ハドソン川が一望できた。でもこう言うんだ。「ここに越してきた当初は、よくハドソンを眺めながら練習していた。でも、半年もたたないうちに地下の窓のない部屋に荷物を移して、それ以来ずっとそこで練習している。もうハドソンを眺めながらプレイすることはないな」。というのも、私たちプレイヤーは、大学時代も、実家で両親と暮らしていたときも、狭い部屋で練習してきたからだ。地下室か屋根裏部屋か浴室か何かが普通で、練習室で素晴らしい景色を一望するなんてことには慣れていない。マイケルが言ったように「景色は邪魔になるだけ」なんだ。<中略>実際、小さな場所の方が自分の音がわかりやすいし、それはマイケルが好んだことでもある。

マイケル・ブレッカー伝 ビル・ミルコウスキー

美しく、謙虚で、自虐的でさえあり、心の底から音楽を愛で、学び、向上することを愛する人だった。素晴らしいミュージシャンであり、最終的には努力が大切だと信じていた。大小に関わらず、すべての演奏機会に全力を尽くすのがどんなに名誉あることなのかも話してくれたんだ。-Chase Baird- 

マイケル・ブレッカー伝 ビル・ミルコウスキー

…とにかく、レコードをたくさん聴くこと。サックスの歴史はすべてレコードに入っているからね。僕も自分の耳で一生懸命レコードを聴いてきたからね。

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ひたすら練習を積むのはもちろんだけど、それに加えて、偉大な名手達の演奏をたくさん聴くことも大切だよ。僕の演奏を聴くのはそこそこにしてね(笑)。まあ、聴いてもらってもいいけれど、僕が聞いてきた人達を聴いてほしいな。<中略>レスター・ヤング、コールマン・ホーキンス、チャーリー・パーカー。そしてスタン・ゲッツ。彼はとても重要なサックス・プレイヤーで、この楽器のあらゆる側面を学ぶためにも、スタン・ゲッツという本当に素晴らしい名手を聴くのはとても重要だよ。そしてソニー・ロリンズも重要だし、ウェイン・ショーター、キャノンボールアダレイ…もう、たくさんいるよ。サンボーンはまた違った側面を見せてくれるし、もちろんジョン・コルトレーンも。とにかく限界はないんだから、勉強して、先生にもついて、しかも一人の先生につくんじゃなく、時と場合によっては何人もの先生に習った方がいい。そして、危険をおかしたり、違うことをやったりするのを恐れないことだね。

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以上、ほぼ自分用のNoteになってしまいましたが、悪しからず。

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