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親切は決して他人のためならず、相手を満足に生かせ_渡辺崋山の『商家の銘』


出入りの商人が、あるとき、渡辺崋山に商売の秘訣をたずねた。

快く崋山は、『商家の銘』を書き与えている。


(一)召使より、早く起きよ。

(一)十両の客より、百文の客を大切にせよ。

(一)買手(かいて)が、気に入らぬ品を返しにきたならば、売るときよりも丁寧に受けよ。

(一)繁盛にしたがって、ますます倹約せよ。

(一)小遣いは、一文より記せ。

(一)店を開きたるときのことを忘るな。

(一)同商売が近所にできたらば、懇意を厚くし互いに励めよ。

(一)出商(でみせ)を開いたら、三ヶ年食料を送れ。


いつの時代でも、早寝早起きは健康にもよし、成功の秘訣である。


ややもすると金持ちを大事にし、貧乏人をおろそかにしがちであるが、貧しい人たちを大切に、その味方になってあげなければならない。どんなに自分の都合が悪くとも、常に相手の立場に同情し、丁寧に対応することが大切である。


大勢の人々から尊敬されればされるほど、身の言行をつつしまなければならない。


どんな一枚の紙きれでも、如来聖人からお預かりしている仏法領のものだから、粗末にするのは禁物である。

いくら恵まれ成功しても、常に初心を思い出し、懈怠横着になってはならない。


ライバルが現れたら、もっと努力精進せよと、自己を磨いてくれる菩薩と拝んでゆくことが肝要がである。


親切は決して他人(ひと)のためならず、相手を満足に生かすまで、できうるかぎりの努力を惜しんではならない。

#光に向かって100の花束

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