その着せ替え人形は恋をする レビュー(10巻まで)

2022年にアニメ化されて話題になってたけど全然興味がなくてノータッチだった本作について今さら。

雛人形の頭師を目指す主人公は、
四六時中頭の中は雛人形のことで頭がいっぱい、創作に熱を注ぐあまりに学校には友だちらしい友達はいなかった。
ある日自宅にあった衣装創作用のミシンが故障してしまい、
放課後の家庭科室でミシンを借りて衣装製作をしているところに、
容姿端麗、クラスの中心に降り自分とは
真逆の人間だと思っていた喜多川海夢(まりん)と鉢合わせになる。

雛人形製作をしている姿を目の当たりにした海夢は、
おもむろにその場で服を脱ぎだし、
若菜が慌てふためいているところに自分が制作している衣装を見せ
自分の趣味がコスプレであることを打ち明ける。

自分の好きなことを思いっきりやりたい海夢は
若菜に自分のコスプレ衣装製作をしてほしいとお願いし、
若菜はその想いに共感しお願いを引き受けるところから物語は始まる。

ラブコメに主軸をおきながらも
趣味に対する思い込みや趣味そのものが行き過ぎており、
・適正な衣装サイズを採寸するために"スリーサイズを計る"
・できあがった衣装で撮影をするために"ラブホにいく"
などのそこにいたるまでの過程と行為そのもののギャップが大きく、
若菜は振り回されながら慌てふためく姿がギャグっぽく笑えて
テンポよく読むことができる。
(アニメではそういう性的なシーンへの作画もちゃんとクオリティが高い。
流石はClover Works。)

海夢の自分がやりたいことへのまっすぐな姿勢に若菜が魅かれる一方で、
自分に対して真摯に向き合ってくれる若菜にまた海夢も惹かれていく。

コスプレを主としたメイクや衣装製作の話を掘り下げながら
二人の関係性が少しずつ進展していく。
ある程度ふたりの関係性が出来上がるまで
余計なキャラがいないので変なこと考えなくて済む。

最近のラブコメの主人公は、
ハイパースペックだったり、
必要以上にハーレム要素が強かったり、
陰キャだったりスペックは高くないのに何故かピンポイントでヒロインにめちゃくちゃ気に入られたり
と、主人公に共感できる部分が全くないのだけれど、
本作の主人公は現実的にスペックが高くて性格は素朴。

オタク男子にリア充女子が優しくしてくれるなんて夢物語ではなく、
オタク女子の夢を叶えてくれる理想の男が主人公だったという物語なのだ。
(これはこれで夢物語ではあるのだが)

ぼざろはモロに趣味が合致していて、
描いているジャンルもモロに私好みなので
ハマるべくしてハマった作品だったので、
発行済分まで読み終えた衝撃度ではこっちの方が断然満足度は高かった。
それどころかここ4~5年で読んだマンガでは一番面白かったかもしれない。

今月に最新刊の11巻が発売されるのが待ちきれない。

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