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バカの螺旋(スパイラル)

1. 何故、バカに気付かないのか?バカは止まらないのか?

 養老孟司先生の「バカの壁」というベストセラーが発売されたのは2003年4月。世の中には、いろんなバカがいることを教えてくれたが、あれから17年経った今でも、バカの壁は存在し、大きな渦を巻いて螺旋状に広がり、遂に日本国政府まで飲みこんでしまった…
 マスク2枚を日本国中の各世帯に配布するという。新型コロナウィルスの感染拡大防止の隠し玉として、旅行券、和牛券、お魚券の次に斜め上から「決定事項」として青天の霹靂のようにやってきたあれだ。
 みんなマスコミの報道も含め、何で今頃という感じで思っている方も多いと思う。マスクがないない!と騒いでいた国民が、一斉に「何で今頃マスクかよ?それも2枚!?4人家族でどうするんだよ!」とバッシングに回っている現状もいかがなものかと思うのだが、やはりそこにはバカのスパイラルが存在していた…
 そもそも、マスクの供給がほとんどなかった3月に出たアイディアだと推察される。ケーザーサンギョウショー出身の総理の側近が仕掛けた話だと巷では噂されているが、先ずは医療機関、介護施設や弱者に配らなければいけないので、普通の元気な市民は後回しという理論はよく分かるし、実際にそうしてきた。不織布のマスクと布製のマスクでは、繊維の大きさが違い、不織布のマスクでもウィルスを通してしまうほどの大きさがあるけれども、布製よりかはずいぶん小さいので、こちらを医療従事者に優先的に提供する。まともな判断である。では一般家庭まで不織布のマスクを回す余裕がないということで一旦棚上げになっていた…。
 ひな祭りを挟んで、一般市民はマスクが手に入らないので、自分たちで作ろうという動きが日本中に広まった。我が家では数枚の手縫いマスクを毎日洗濯またマスク等の転売が禁止され、中国製が徐々に国内でも流通し始めたのが3月末。医療機関の供給の見通しもついてきた。次は一般の国民である。「国民を安心させるには布製マスクの配布は絶対イイと思いますよ」
「あ、それいいじゃん!」で決まったかどうかは知らないが、よりによって4月1日のエイプリルフールの日に首相自らが自慢げに国会で発表した…
 誰も悪い奴はいない…みんな全てが良かれと思って考え抜いた末に出てきた施策である…でもそれは、国民の置かれている状況の変化と発表のタイミング、そして供給の方法に暗くて深い溝があった…
 国民の殆どがこう思った…「バカじゃねぇ?」

2.考え抜いた供給の方法の結果…

 2018年1月時の日本の世帯数58,527,117軒、マスクは1枚当たり200円程度、合計117億542万3400円×2枚。日本郵便の「配達地域指定郵便」25g以内で29円のシステムを使って送付したとしても、送料だけで16億9728万6393円。合計で約250億円の経費を使って、この連休前から送付しようというのだ。
折しも毎日100人以上の感染者が確認されており、みんなが自粛で憔悴しきっているとき、何故「緊急事態宣言」の発令が法改正までして出来るようになったのに、専門家委員会からも爆発的な感染の危険性が叫ばれる中「時期尚早」と言い放つ国会答弁にイライラが募っている時に満を持しての経済対策(他にも一生懸命やっているんだろうが全然決まらない)の目玉が各世帯にマスク2枚である…
 3月初旬であれば、おー、政府も頑張って国民のために頑張ってくれたねで称賛されたかもしれない内容が、今ではエイプリルフールのジョークにもならないネタとなってしまった。オイラも今年だけはエイプリルフールのネタは自粛しようと気をつけていたのだが、政府は遥か上を行ってしまった…
しかも日本郵便を使って、1世帯に2枚…1人暮らしの人もいれば、10人で暮らしている大家族もいるし、実際に住んでいない空き家もあるはず…
もし自治会毎で配布すればそれはそれで無駄なく配れるかもしれないが何故、日本郵便?しかも流通し始めた今頃…
ちなみに日本郵便の筆頭株主は現財務大臣のアソウちゃん、これにはネット民がこぞって喜んで叩くネタとなってしまっている。
 今、何が求められているのか、刻々と変化する感染拡大状況の中で、庶民の立場にたって判断できる側近はいなかったのか?「いや、総理、今それ出すのは逆効果でしょう。配布はしますが、この発表はコーローショーの課長クラスにやらせた方がいいと思いますよ」と止める奴はいなかった…だよね…
まぁこれ以外にも経済対策いっぱいやっているんだけど、どうも国民には分かりずらいことばかりで…

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3.今すぐやって欲しいことっていったい何だろう

 国民が望んでいる時に、望んでいることを全て実現することは大変難しいとは思う。法律を改正しなきゃいけなかったり、予算を確保しなきゃいけなかったりスピード感を持って対応できないのが行政である。それは分かるけど、いま要らないものを予算組んで実行することほど無駄なことはない。
 マスクが1枚もない人が今どれくらい日本にいるのだろう?そんなことは関係ない。だって国会で決めたんだもん!バカボンのパパが「国会で青島幸男が決めたのだ!」的なノリである。

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 ここは戒厳令とはいかないけど、ちゃんと国にリーダーシップを取って欲しい。景気回復もあるが、感染拡大を徹底的に止めるのが先決だろう。だって人の命がかかっている。国民が安心して暮らせる雰囲気をいち早く構築させることである。オイラはドリフ世代だったけど、いつも裏番組の土曜ドラマを観ていたので、志村けんに対する思い入れは余りないのだけれど、志村けんの死が与えた国民のインパクトは大きかった。子どもから大人まで知っている有名人、それもお笑いの重鎮がコロナで亡くなったのである。他人事から自分事として捉えるようになった…実際、オイラが経営する映画館も、ビフォア―志村、アフター志村ではお客の入りはガタ落ち。死活問題であり、こんな文章をタラタラ書いている場合じゃないんだけど…
 外出自粛より活動禁止として強制力を持ってあたらないといけない。非常事態宣言が出たとしても、自治体の長の判断に委ねるという謂わば丸投げ。受けた自治体の長も、損失補償がないまま自粛要請をするのみであるので、現状とあまり変わらず…感染拡大地域の学生たちがGWまで学校休校となる可能性が高いので、故郷に帰ることも増えてくる…感染が地方に拡大していく…と容易に予想されるので、今ここであらゆる手をうっておかないと日本全土にウィルスが拡大する恐れが大いにある…

ここで考えられる方策は
① 感染病床を確保
② PCR検査の拡大
③ 重症者を病床に、軽症者は自宅で待機・居場所を把握、悪化したら即入院できる体制を整える
④ 自粛に対する補償制度を確定
⑤ 感染拡大地域の移動制限
⑥ 感染拡大地域から地域外へ移動する場合はPCR検査を実施し、陰性者のみ許可

 ここまで計画をしているので、皆さん安心してください。ここは一緒に困難を乗り越えましょう!みたいな発表がそうり君の口から出れば非難など出ないんじゃないかと思うんだけど…

 先を見据えて、安心させてくれよ。みんなでマスク作るから、マスクを2枚送る金があれば、重篤の患者さんや、医療従事者、子どもたち、本当に困っている人たちの支援に回そうよ…オイラたち国民だってバカじゃない…バカの渦に巻き込まれないよう、みんなで行動しようよ…
 いまバカの渦に巻き込まれちゃっているオイラたちは、ただの被害者ではない。選挙の結果、バカを容認してしまった加害者でもあるんだよねぇ…そこを忘れてはいけない…

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