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VR酔い対策

知識を得ることで解決できることもある

どのような時に、何故、VR酔いするのか理解することで、
予測精度が上がる
酔いそうな動きがあるときは目を閉じて回避することが出来る
人は学習能力、環境適応能力が高いので、慣れる
予測し、想像した通りに動く(止まる)ことが出来ていれば、脳が混乱しない

読んで欲しい対象者

VRに興味をもってVR世界に飛び込むところまで行動に移したが、
すぐにVR酔いをしてしまい、最大限楽しめていないと感じる人
テレポート移動では酔わない人
ゲームによって酔い易さの違いを感じられている人

ここまで読んでくれた人は恐らく、VR酔いしてしまうことを何とかしたいと考えており、適応したいと考えていると思う
たまには立ち止まって座学をしてみても良いのではないだろうか
是非最後まで読んで、VR世界での生活を快適なものにしてほしい

私はどんな感じだったか

初期:
ジャンプした時
坂を上り下りする時
乗り物などに乗って勝手に動く時
上記3つの行動に対し、酔い易い行動と認識していた

現在:
椅子に座らされて振り回されたり、視界ジャックでグニャグニャしていても問題なし
10FPSを切った状態で無理に動き回る状態が続くと酔いそうな感覚がある

VR酔いの仕組み

日常生活において、情報の多くを視覚から得ている私達は、視覚情報とその他の感覚情報に不一致が生じ、どちらが正しい情報か分からなくなっている時、不快感を得る
車酔いとVR酔いは似ているとよく言われるが、どちらも、
視覚情報から脳で動いていると認知した状況と三半規管などで静止していると認知した状況が起きていて、
脳が混乱している状態だと考えられている

どんな時にVR酔いし易いか

ざっくりとした分類

① 横移動
② 回転
③ 上下移動
④ 表示遅延
⑤ 焦点移動

具体的にあなたがどのような動きに酔っているのかを知る

・平面を前後に移動したとき ①
・平面を左右に移動したとき ①
・平面で回転したとき ②
・坂や階段を上り下りするとき ①③
・ジャンプ(落下)したとき ③
・移動する乗り物に乗るとき ①②③
・顔を動かして周りを見渡すとき ④
・手元やメニューを見るとき ⑤
・文字を読むとき ⑤

それぞれの対策案

①②③周りの風景が脳の予想と異なる動きをしていることが原因
対策:
・移動時に周りを暗くする設定を入れる
変化量の少ない正面のみしか見なくて済む
※ゲーム自体に実装されていることが多い
・視野角を広げる(レンズ距離変更やハードウェア買い替え)
眼球移動のみで見れる範囲を増やすことで頭を動かす頻度が減る
・身長を上げるor空を飛ぶ
遠景ほど動きが小さくなる
・遠くを見る
同上
・目標地点を見る
目が無理に景色を追わなくなる
・固定UIを見る
同上
・それぞれの行動開始、終了時に頭(HMD)を静止させる
頭の動き+システム上の移動や回転が重なると混乱しやすい
今からあの位置まで移動するぞ!今から45度回転するぞ!
というような予測が容易になる
・それぞれの行動開始、終了時に目を閉じる
速度変化時の予想しにくい視覚情報を受け取らない

④フレームレートが低く、視覚情報全体が脳の想定より遅れて更新されることが原因
対策:
・頭(HMD)を動かさない
・PCの電源管理やGPUの設定の見直し
・ゲームの解像度設定の見直し
・ハードウェアのスペックアップ

⑤目前にあるはずのHMD画面を見ているはずが、焦点位置を大きく動かすことが原因
対策:
・瞳孔間距離(IPD)を正しく合わせる
安価なデバイスは調整機能が無かったり、選択式の場合がある
焦点があわせにくくなり、疲れやすくなったり、酔いやすくなったりする
・近く、遠くにある文字を読もうと考えてから視点を動かす
・最前面設定されていると認識してから視点を動かす
UI設計が悪いこともあるが、机や壁に埋まっていても見えるメニューUI表示など、利便性を優先するとどうしても発生する部分はある

移動設定

加減速について

静止状態から加速度が加えられて加減速する場合と、
静止状態から移動開始したフレームから最高速度になる実装がある
どちらの移動方法が好きかは人によって異なるが、
ゲームバランスが崩れるので、どちらか一方固定の場合が多い
回転は後者の等速のスムースターンまたは、スナップターンが多い
一方、ジャンプは重力加速度により、等加速度が加えられていることが多く、重力加速度を地球と同じにしていないことも多い

前者は自身の身体には鎧などを装備しており、身体が重くて慣性の影響を大きく受けると考えると脳の予測の助けになる
後者は物理演算の無い2Ðゲーム風のデジタルな移動であることを理解することで脳の予測の助けになる

アプリ内での設定

VRゲームを新しく始めるとき、まずは設定画面を開き、移動方法を確認する
前述の酔い対策に周りを暗くしてくれる設定(トンネルビジョンなどと呼ばれる)はもちろん、移動・回転設定をいくつか用意してくれていることが多い
HMDの前方を前とするか、コントローラーの前方を前とするかや、
斜め入力で移動しながら回転するかなど、様々な設定があると思うので、
自身の好みに合わせて変更すると良い
フレームレートが足りていない場合はライティング設定や画質設定を落とす

アプリ外での設定

SteamVRの設定など、アプリ外でもレンダリング解像度の設定など、
変更が可能
スペック不足によるフレームレート低下で酔うのは完全に自己責任
設定を下げるかお金を積むかどちらか対応すべし

SteamVRのコントローラーバインド設定

SteamVRには様々なVR機器に対応するため、アプリごとにボタンの機能を入れ替えたりすることが出来る
左右コントローラーのスティックの両方で移動・回転できる場合、
左コントローラーの回転機能を削除、右コントローラーの移動を削除など、
ゲーム自体に設定が実装されていなくても移動しながら回転してしまう移動が発生しないようにできる
また、スティックの感度を変更することで、加減速の影響を減らすこともできる

VR酔いとは関係ないが、トリガーなど各種タッチ系のどこかをグリップ押し込みの設定と入れ替えることで、掴み続けなくてはいけないゲームが楽に長時間プレイ出来たりすることもある
各自、お気に入りの設定を探ってみてほしい

お手軽対策

いくつか列挙するが、全てを行う必要は無い
自分の弱点を理解し、弱点を補うことのできる対策を各自見つけてほしい

酔い止めを飲む・飴・ガムを噛む

市販の酔い止め薬が効く人も居る
飴やガムなどで唾液を分泌させることで軽減する人も居る

体調を整える

空腹、満腹、疲労、睡眠不足など、現実側の体調に左右される
疲れたり、酔いそうになったら酔う前に休憩をする
早く現実の肉体から解放したいが、
まだ実現には時間がかかりそうなのでリアルの身体も大切に

椅子に座る

下半身が固定されることによって、安定感が増す
背もたれやひじ掛けがあると更に良い
※ひじ掛けは運動するうえでは邪魔

地面に座る

手で現実の床を触れる状態であれば、平衡感覚を手で補うことが出来る
地に手が届く範囲で膝立ちなども良い

画面固定物表示

画面上に固定UIがあるのはあまり良いとされていないが、
意識外で鼻が見えていると酔いにくいとの研究結果がある

そもそも人間は実際の鼻は視界に入り続けているが、見る必要のないものなので気にならない

試しに鼻っぽい肌色を表示するSteamVRオーバーレイアプリを作ってみたが、サンプル数も少なく、効果は不明
※フレームレートが足りないことが原因の場合は逆効果になる可能性有り


現実水平面表示

着想は車酔いを軽減する眼鏡

現実の地面方向が分かっていると平衡感覚の不一致が軽減されるのではないかと予想
飛行機やジェットコースターなど、身体が斜めになってフラッとすることが減ったような気がした
このころには私は殆ど酔わなくなっていたため、
サンプル数も少なく、効果は不明

鼻表示のアプリと一緒に配布しているが、
簡易的に試すなら、シャペロン境界表示を強めるだけでいい気がする
あまり邪魔にならないものを表示できるようにしたものを
鼻表示アプリと一緒に配布しているので、ダメ元でも試してみて欲しい
※フレームレートが足りないことが原因の場合は逆効果になる可能性有り

最後に

VRゲームプレイヤーの皆様

酔いにくい移動方法が確立し、実装用アセットがいつかは出てくると思いますが、現在は各企業ごと、ゲームごと頑張って実装してくれています
移動設定が選べたり、酔い対策の設定が1つでもあることに感謝しましょう
酔い対策とリアルさや利便性はトレードオフの関係にあることが多く、1つの設定に統一されることは無いでしょう
自分の弱点を知り、人類の適応力を信じて新しい世界を楽しみましょう
よいVRライフを!

アプリ開発者様

最大限効率化をして低スペックマシンでフレームレートが落ちないようにしてくれたり、酔いにくい移動方法を検討したり、様々な酔い対策の工夫したりしていただきありがとうございます
NeosVRでは様々な移動方法が細かく設定、変更できるので、全VRアプリ開発者は一度訪れてみて欲しいです

有識者の皆様

当記事は実体験からの主観が多数含まれております
間違い、ご指摘等ありましたらご連絡いただけると幸いです

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