見出し画像

東京レインボウ

晴れていてくれて
良かったって思うことがある。
落ち込むことがあった次の朝とか。
何も為す術なしだったときの朝とか。

朝の東京、渋谷の街は
ビルの隙間から空がちょっとだけ顔を出していて、
人の流れとか昨晩の余韻のようなどこかごちゃごちゃした空気感。
沢山の通勤途中の人々。

このせわしなさとキレイな青空のコントラストが
とてもうるさいようで
青が美しいということを幸せと感じる。

抜けられないエアポケット。
悩みごと。
それについての本当の原因や
見るべきものを全部、
安い娯楽や誘惑でかき消してくれそうな
そんな風に錯覚する。

錯覚。

全然消えてなんかいなくて、
うまく隠してくれるんだと思う。
そうやって
命を使いながら私達は暮らしている。

1人になった時の
孤独が根深いこともザラにある。

「気にすることないよ!楽しもう〜」
みたいな雰囲気に流されて
自ら選ぶことを放棄して、
それでもいいと思えてしまう街。

果たして街のせいだろうか?

ビル一つない、
自然の多い場所だったらどう?
空に緑に波の音、だったらどうだろうか。
穏やかな波音だったらどうだろうか。
波打ち際にいたらさらってくれるだろうか。

それともそのたっぷりとした時間の流れを感じて、
ごまかすことが出来ず、
自分を見つめて
人によっては日々苦しいのだろうか。

あるいは
自分の今の悩みがとても小さく思えるほどに
ただで手に入る眼の前の素晴らしい景色に
感謝の思いが浮かぶの?

それも慣れたら忘れてしまうの?

東京は、
大切なものが見えなくなることもあるけど
嫌なことも見せないでいてくれる
そんな「モノ」で溢れている。
虹は見えない。
見えなくなってる。
だからただ晴れているだけでも
前を向ける気がする。
それすらも幻のかもしれない。

だから、
なんとなく生きられるし、
なんとなく楽しいことはあるし、
それが人生が充実しているような
そんな気になることもあるね。

ここにいたらもっと
軽やかになれたのかな?

どこまでも波打ち際が続くから
それが普通だと思うのかな。
どうしようもないと思うのかな。

そこには虹が出ていても
君は「出来ない」って言うのかな。

そんなことを思いながら
海、見えないかなぁ?なんて
呑気にビルの群れの果ての果て
見えないものを見ようとしてる私も
今日もやっぱり東京に染まっている。

そしてきっとまた
晴れたから忘れて笑っていける。

よろしければサポートお願いします。 素敵な作品やサービス、文章を届けできるよう頑張っていきます!