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白ビモーは黒くなる夢を見る ~墨汁編~


小さな男の子は、怪獣だ。


子育て中のお母さんから、そんな言葉を聞いたことがあるかもしれない(女の子もそうかもしれない)。


元気あふれすぎる彼らはまさに怪獣。尽きぬバイタリティで、親の体力とその辺のものをことごとく破壊し、好奇心のおもむくままに突き進むのだ。



唐突に。



唐突に鼻に筆を突っ込まれた私は、そのことを思い知らされたのである。


鼻に筆だ。
大事なのでもう一度言おう。
鼻に筆である。


そして墨汁つき。
これもテストに出るのでもう一度言おう。
墨汁つきなのだ。


確かに考えましたとも。
白いハナゲを、黒くする方法はなかろうかと。


えぇこちらの記事で考えました。
 ↓↓


しかしながら、鼻に筆はどうかしている。コーヒーで鼻うがいするより、よっぽどどうかしていると思うのです。


鼻に筆を突っ込まれたまま、私の意識は遠く、物語の続きへと飛んでいくのでした。




その穴の中は適度に暗く、過ごしやすい。
だが外は過酷だ。
彼らは穴の中で、息をひそめる日々を送っている。


これはそんな彼らのジュブナイズされたサーガなクロニクル。レジェンドかつミスティカルななにか。群像劇になるかどうかは神のみぞ知る小話なのだ。


「ねぇ奥さん、あそこの子みました?」

「見たわよ、白い子でしょ。可哀そうにねぇ」

「将来が心配だわ。あんな白いまま大きくなるのかしら」


生まれついての色が黒ではなかった白ビモー。小さいけれど、狭い穴の中ではあまりに目立ちます。いつも偏見と好奇の目にさらされ、小さな体を更に小さくして過ごすのでした。


「どうして僕は白いんだろう。黒くなれたら、嫌なこと言われなくなるのかな。。」


そんなある日のことでした。


「なんだ!いったいこれは何なんだ!?」

「何も見えない!真っ黒だ!押されてる?!」

「誰か!誰か外に出て確かめられないか?」


唐突に、大きくて柔らかく濡れた何かが、穴の中に入り込んできたのです。大人も子どもも身動き一つできません。


ただただ祈ります。この異常事態が早くおわってくれと...…


時間にしたら、10秒にも満たなかったでしょうか。短くもしかし長く感じた時の後、唐突に侵入してきたなにかは、これまた唐突に去っていったのでした。


「いったいあれは……なんだったんだ……」


辺りを見回すと、どこもかしこも真っ黒です。もともと暗く、黒ビモーたちで黒かった穴の中ですが、更に黒く黒く、変わり果てていたのでした。




そこに、白ビモーはもういません。




「太郎(仮名)……なぜ……父さんの鼻に筆を……どこから持ってきた...…」


Fin.

このお話は事実をもとにしたフィクションです。どこまでがフィクションかは言わぬが花でございます。




あとがき

上で紹介した記事は、コニシ木の子さんに話題にしていただきました。
 ↓↓


取り上げられる記事の数々は、いずれも「なんのはなし」だか分からないのに、全て受け止めてなぜかオモシロ解説を成り立たせてしまっているコニシ木の子さんに脱帽です。


読み物としても楽しませてもらいましたが、ワタクシの記事もこの中でコメントをいただきました。アンサーソングでございます。墨汁編だからといって、墨汁はお飲みにならないようにお気をつけくださいませ。


読み終わったあとに「コーヒー編以外に何があるのよ」とコーヒーを飲みたくなります。

「なんのはなしです課」通信 片隅の九通目 より


「なんのはなしですか」と問われた後に、「どうかしている」と評されるような記事が書けると面白いなとハゲんでおります。聞かれてませんがハゲてはいません。


それでは皆さまごきげんよう。
どこがどうとは申しませんが、どうかしている記事との出会いを楽しみにしています。

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