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田中(仮)と楽しむ はじめに言葉ありき


今日の私はキレている。


何かと言ってネタギレだ。こいつは定期的にやってくる。キレッキレの記事を一瞬でも期待したあなたには申し訳ないが、本日は田中(仮)を紹介するにとどめたい。何気ない、しかし愉快な出会いであったのだ。


その日、私はいつもの如く、ムスコが散らかしたものを片付けていた。


ビニール袋が落ちている。拾い上げて片付けようとした。その時、目に飛び込んできたのが「田中(仮)」だ。


ビニール袋に田中(仮)がいた。何のことだか分からないかもしれないが、単純な話だ。「田中(仮)」と書いてあったのだ。


なぜここに田中(仮)がいるのだろう。もちろん我が家のファミリーネームは田中(仮)ではない。見つめていると、どうにもにやにやしてしまう。面白い。なぜだろう。


思いがけないところに名前、というのが面白いのだろうか。


例えば、スマホの裏に「山田」とか書いてあったらどうだろう。あるいはバッグにでかでかと、「鈴木」と書いてあるとか。


確かにそれも面白いが、他人の目に触れるとなると、気恥ずかしさを感じてしまう。ここは密やかに楽しみたい。するとやはり、家の中の小物に名前を書くのがよさそうだ。


サランラップの箱に「巻田」と書いたり、ブックスタンドに「本田」と書いたりしたら面白そうだ。意外なことに、事態は命名行為になってきた。


ということは、あのビニール袋の名前が田中(仮)だったのかもしれない。なんということだ、思いがけないところに名前がある面白さを、ムスコは先に理解していたのか。ムスコに聞いてみた。


「こいつ田中(仮)にしたの?」


「あー、田中(仮)の間違えて持って帰ってきちゃった」


でしょうね。田中(仮)のプロフィールまで考えたのに残念です。


身長:約30cm
体重:我が家のハカリでは測定不能
趣味:中にモノを入れること
特技:中にモノを入れること
将来の夢:土に還ること


書いてたら思ったより長くなりました。それでは皆さんご機嫌よう。


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