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自宅本棚の図書館化 Part4(最終回):装備&配架をしよう

過去3回に渡って書いてきた「自宅本棚を図書館っぽくしようプロジェクト」、本日は最終回で、装備&配架の回になります。

ちなみに、このプロジェクトの目玉は、前回の「図書分類記号の割り振り」にあります。それが終わったので、今回は仕上げの回になります。

前々回、こうしたExcelの蔵書目録を作成し、前回は各本に分類記号を割り振った。

あとは本の「装備」を行って、それを実際に本棚に並べる(配架する)だけです。

本の装備とは?

本屋で買ってきた本を、そのままの状態で図書館に並べるわけにはいきません。新品の本に一定の処理を施して、「これはこの図書館の本ですよ。わかったか??」というのを利用者にわからせてやる必要があります。これはどの図書館でもやっている作業ですね。

で、そうした作業のことを、本の装備といいます。これは僕がそう呼んでいるとかじゃなくて、一般的な呼称であります。↓のサイトなどでも解説されています。

装備の作業では、多くの場合次のようなことをします。

  1. 貸出用のバーコードを貼り付ける。それを機械に読ませることで、貸出や返却が可能になる。
    大抵これは、表紙や「扉」(本の冒頭の、タイトルや著者名が書かれているページ)に貼られている。

  2. フィルムによるコーディングを行う。透明なプラスチックのカバーを本に被せ、汚れや紫外線、珈琲こぼしから本を守る。
    これは多分、やっている図書館とそうでない図書館がある(市立図書館などはともかく、大学図書館では基本的にやっていないと思う)。そしてこの作業、地味にめちゃくちゃ難しい。Youtubeに解説が出ているぐらい。

  3. 背ラベルを貼り付ける。背ラベルとは、本の背表紙に貼ってある、その本の請求記号が書かれたラベルのこと。
    前回書いたとおり、これが貼ってあることで、図書を本棚に並べる作業が楽になる。とっても楽になる。

  4. カバーを貼り付ける。カバーというのは、最初から本に付いているあれのことで、あれを利用者が勝手に持ち帰ったり失くしたりしないよう、紙用ボンドで貼り付けて固定する。
    これも、やっている図書館とそうでない図書館あると思う(大学図書館では基本的にやっているかな)。いっそのこと最初からカバーを外す図書館もあるらしい。

  5. 蔵書印の押印。蔵書印とは、「○○図書館」などと書かれた、所蔵を表すスタンプ(ハンコ)のこと。これも本の「扉」や、「天」「地」などに押されたりする。大抵赤いスタンプか黒いスタンプになる。

装備として行うものとしては、ざっとこんな感じと思います。他にも、無断持ち出し防止のための「磁気」を仕込んだり、所蔵場所を示すためのシールを貼ったりなどもあると思います。僕のバイト先の図書館では、これら全般を称して「装備」と呼んでいるのだけど、調べた感じ、一般的には2. の「フィルムによるコーディング」のみを指すみたいです。

実際にやってみよう

装備の作業、実際はいろいろあるけれど、今回は自宅図書館ということなので、あくまで「自宅本棚」に必要な範囲でやっていきたいと思います。1. の「貸出用バーコードの貼り付け」と、2. の「フィルムによるコーディング」は、さすがに大変すぎるので割愛。バーコード作成は高等テクニックすぎるし、コーディングはそもそも身近な図書館でやってるのあんまり見ないので。

ので、3.背ラベルの作成&貼り付け、4.表紙カバーの貼り付け、5.蔵書印の押印をやっていきたいと思います。

背ラベルの作成&貼り付け

まずは背ラベルから。背ラベルにはその本の請求記号を書くけれど、上述したように、そのための作業は前回で終わっております。
もう一回だけおさらいすると、請求記号(分類記号)とはその本の「住所」を表す文字列のことです。これを背表紙に貼ることで、「この本の住処はここなんだな、俺が安全に家まで送り届けてやろう」というのが可能になります。これは現実の人間にやったらマジのストーカーなので注意。

そして背ラベルを貼ると、↓のような感じになります。先に完成形を見せておこう。

100番台は哲学コーナー

こんな感じで、その本の「分類」が一目で分かるようになり、統一感ある形で本棚に並べていくことができます。ちゃんと規則があるって、うつくしい……….

ちなみに「ラベル」には、コクヨの商品を使いました。近所の事務用品店に行って、わざわざカタログを見ながら取り寄せて貰ったのである(それが一番安かった)。↓のやつの赤バージョンになります。

84片で300円ぐらいだったかな。青色は実際の図書館で多く使われているため、差別化を考えて赤色にしました(赤もまあまあ使われてはいるのだが)。

このラベルに一枚一枚、Excelでまとめた請求記号を書き込んでいきます。ちなみにこの商品の宣伝をしておくと、たとえ間違って貼っちゃったとしても、本当にめちゃキレイに剥がせるのでそこが最高でした。ちょっと爪でカリカリすれば、ほぼ貼る前と全く同じ状態になります。さすがコクヨだぜ。

ボールペンで書いていくよ

間違えて貼っても修正が効くのがいいですね。間違えすぎて、30片ぐらい無駄にしちゃったけど。

これを無事書き終えたら、本の背表紙に貼っていきます。これは本当にもう単純作業。1枚1枚丁寧にやっていく。ここまでの道程でも単純作業が多かったので、これぐらいもう何も気にならないです。書き終わったら、本の背表紙に丁寧丁寧に貼っていきます。

これで背ラベルの作業は終わり。

表紙カバーの貼り付け

次の作業は、表紙カバーの貼り付け。文庫本でも新書でもハードカバーでも、とにかくカバーを貼り付けていきます。カバーって、外れたりはだけたりして、いいことないからね。これでカバーの紛失を防ぐとともに、読書中にカバーがずれて集中できないという事態も防いでいく。

カバーの見返し部分(右側)に、紙用接着剤を塗っていく。
ちなみにこれは接着剤だよ。それ以外の何らの液体でもないよ。

この接着剤、これもコクヨの「ペーパーボンド」という商品を使いました。これまた近所の事務用品店で取り寄せてもらった。さすがは天下のコクヨ、事務用品でお世話になること度々なり。

注意点として、このカバー貼り付け作業、くれぐれも接着剤を付けすぎないように。付けすぎると色々大変なことになります。↑の画像は勢い余って出し過ぎたけど、こうするとボンドがカバーからはみ出して、意図しないところ同士がくっついちゃうということも起こりえます。そうなると大変。

で、このカバーの接着については、本棚の図書館化云々に拘わらず、割と万人に勧めたい作業になっています。これをすると、カバーが外れて折れ曲がったりとか、中途半端に外れて紛失とかもなくなるので、本当によいよ。最近はこれにハマりすぎて、人から借りた本にも無意識のうちにやりかけたりしてました(これしてないとマジで読書中落ち着かない、、、)

こんな感じで、カバーがめくれないの、便利ですよ

図書館っぽい自宅本棚の完成!!!

実はこれで、ほぼ全行程を終えたことになっております。図書ラベルを貼ってカバーを貼り付けたら、あとは本棚に並べるだけなのだ!!

並べた図。タオルここで干すのそろそろやめたい。
拡大図。ここは320近辺の法学コーナー。基礎法分野で固まっていて気持ちがよい。

大体こんな感じになります。これにて、僕の自宅本棚図書館化計画は完了だ!! わーーーーーい!!!!!


……と言いたかったところなんですが、1つだけ問題があります。そんなに大きな問題ではないけれど、ちょっと気になる問題です。

というのも、ここで逆に図書館の本棚に寄せすぎたことで、訪問者とかが来たときに、「なんだこいつ、こんなに図書館の本持ち込んでるのかよ!!」と思われそうだ問題です。普通の人であれば、まさか自宅本棚を図書ラベルで整理したりしないので、もはや図書館の本だと思われそう。そしてどんだけ図書館の本借りてんねんとなりそうです。

例えば、微妙に仲の良いAくんが来たときに、

Aくん「これ、なんかラベル貼ってあるけど、全部図書館の本?」

僕「いや、これは自宅の本棚を図書館っぽくしてるだけ

Aくん「…….???」

僕「つまりね、自分が持ってる本について、図書目録を作って、それぞれに分類記号割り振って、ラベルを貼って仕分けた結果がそれなんよ。俺はこれを自宅本棚図書館化と呼んでいるよ」

Aくん「なんだこいつ頭おかしいのか(そうなんだすごいね〜!!)」

となりかねないのが、地味に嫌です。

要するに、そういうのを避けるため、「これは自分自身の本であって、図書館の本ではないんだよ」ということが示したいわけです。図書館のそれに寄せに行った結果、本当に自分の本なのかよくわからなくなるという事態が発生してしまいました。

IQ250の聡明な読者諸君ならお気づきかもしれませんが、ここで先ほどスキップした1つの行程が重要になります。それすなわち、蔵書印の押印。最後に仕上げとして、蔵書印を押すことで、「これは俺の本なんだぞ」というのを明らかにしていきたいと思います。

蔵書印の作成&押印

蔵書印とは上述の通り、「○○図書館」などの形で、そこに所蔵されていることを表したスタンプのことです。

これも本当に色んな種類があります。詳しくは↓のサイトなどを見てみるべし。

蔵書印のハンコは、業者などに頼むことにより、自作することもできます。自分でオシャレな蔵書印を作りたい、という方は、是非試してみてもよいかもしれません。2000円前後で、オリジナルのハンコを作れるみたいです。一回作ってしまえば一生もんだし、これはかなり素敵だと思う。

ただ、正直に白状すると、ここは個人的にはかなり悩みどころ…….

そもそもの僕の目的は、「本棚を秩序ある形で並べること」にありました。ので、「自分の所蔵本だと表すこと」というのは、二次的な目的になるわけです。蔵書印は本の内側に押すわけで、外見からだとわからないし、そこまで拘るべきなのかどうかとか、、、

加えて、こっちが主要な理由だけれど、困ったことに、センスある蔵書印のデザインが全く思い浮かびませんでした。僕の名前を冠して「○○図書館」にするのとか、流石にダサすぎるし、かといって、オシャレでかわいいスタンプなども思いつかず、とにかくいいデザインが出てきませんでした。カッコいいスタンプとか、作ってみたいんだけれどね。

ここまで拘ってきたのなら、オリジナルの蔵書印ぐらい作れやという感じなんですが、どーしてもいい感じのが浮かばないので、断念しました。さようなら。美術2の僕には難しいです。

ただ、「これが自分の本だ」ということは、最低限表明したいと思ってます。自作蔵書印ではないにしろ、なんらかの形で。
そこで、どうしたかというと、、、

「相田」

こんな感じで、印鑑で対応しました。「相田って誰?」と思うかもしれませんが、そこは深く詮索しないで下さい。誰なんでしょうね、こいつ。

で、僕は実は印鑑が結構好きなので、「これはこれでオシャレかな」と思っています。印鑑って、なんか可愛らしくないですか? 丸っこいのがいいですね。

ちなみに、こうすることによって、

Aくん「これ、ラベル貼ってあるけど、全部図書館の本?」

僕「いや、これは自宅の本棚を図書館っぽくしてるだけ」

Aくん「…….???」

僕「1ページ目、開いてみな。蔵書印(印鑑)が押してあるだろ。つまり、これは俺による俺のための、”俺の本棚”ってわけ」

Aくん「カッコよすぎるよ(頭おかしいのか)」

となりそうだというわけです。いや何か変わったのか??

….で、ちょっと妄想も入ったけれど、結局のところ、蔵書印の素敵なデザインが思いつかず印鑑で対応しましたという話です。まあ個人的には、印鑑は結構好きなんですが、それでもオリジナルの蔵書印を作れれば一番だったかなと思います。

*ちなみに、僕が持っている本の中には、人から無償で譲り受けたものもあります。そういう本に自分の印鑑を押すのは流石にアレだったので、背表紙に青いシールを貼ることで対応しました。



まとめ:自宅本棚図書館化を振り返って

思えば長い道のりであった…….

これだけ本が溢れている状態から始まって、

最終的にはきっちり収めることができました。よかったよかった。

そんなわけで、全四回にわたって行ってきた「自宅本棚図書館化プロジェクト」も、これにて終幕です。いやー、作業量が多くて大変でした。

最後に、振り返りとして感想を書いておこうと思います。

「図書館化」のメリット

今回のプロジェクトで感じられたメリットは大きく2つ。

1つは、キッチリ本の整理が行えること。
例えば、テキトーに本棚から取った本についても、「この本はここに戻すこと」というのがしっかり定まっています。それはなんというか、本の愛好家として気持ちがいいことです。ルールや秩序の下で図書たちが並べられていて、彼らは一度そこを出たとしても、最後には元いた場所に還っていく……. 自然と本を散らかさないようにもなるし、いい感じです。
あと、本を探すときも、「あの本は確か320番台だから…」という風に、非常に探しやすくなりました。それも気持ちがよい。

もうひとつのメリットは、図書にまつわるあれこれに詳しくなれることです。一見何気なく「ジャンルごと」に分けられている図書館の本たちですが、そこには緻密な分類ルールがあり、そしてそれを各所で適応する司書さんたちの力あってこそ、「図書館」はあの形を保てているわけです。そういうことに気付くことができます。

で、普通の図書館であれば、それぞれの工程を色んな人で分担して行うわけですが、自宅本棚においては、それを全部一人で担うことになります。一切分業無し。ISBNや請求記号、図書館ごとの分類法の違い、ラベル作成にカバーの貼り付けなど、図書にまつわる知識を、全部自分の中に一本化する感覚があります。これは結構楽しいです。

まあ本場の職員からすれば、「そんなので図書館を名乗るとは、笑わせてくれるわ小僧」という感じかもしれません。これは何も謙遜ではなく、実際に図書館の目玉である貸出サービスについては、僕は一切未着手のため、そういうのもあると思います。きちんとした貸出サービスを作るのは、さすがに大変すぎてできませんでした。最低限、Excelで管理できるぐらいですね。

ただ、完璧からはほど遠くとも、この作業、いろいろな知識が得られるのは間違いなし。それが自宅本棚図書館化計画(及びnoteでの執筆)において、一番面白かったところかもしれません。本にまつわる知識は面白い!!

反対にデメリット

もちろん、こんだけ本に手を加えたので、色々デメリットもつきものです。

一番のデメリットについては、まあ皆様お気づきの通り、もう古本では売れねえということです。カバー貼り付けちゃったし、謎のラベル貼ってあるし、なんなら蔵書印と称して印鑑押してるし。僕は古本屋を使ったことがないため、詳細は分かりませんが、どうしても本としての価値は落ちてしまっているように思います。

2番目のデメリットは、上でも書いたけれど、身近な知人をビビらせてしまうということです。家に人を招かなくとも、自分で本を持ち歩いていれば、図書ラベルが貼ってあるというのはどうしても目立ちます。
そんな中で、「その本、図書館で借りたの?」と聞いてきた知人がいたとしたら、割と返答に困ります。正直に話せば、長い上に「なんだこいつ」かもしれないし、逆に「そうそう、図書館で借りたんだよね—、ハハ」とかするのも何か気まずい。こういう風に、普通の本と見た目が違うことで、何かと目立つというのは、明確なデメリットだと思います。

あとはまあ、デメリットというか、普通に作業が大変です。そんぐらいかな。あ、あと、もうひとつありました。この作業した後で、人の家の本棚を見たりすると、その規則性のない並びに、我慢できないほどモヤモヤしちゃいます。これも大きなデメリットだな。
すごく、こう、「規則通りに並べようよ」と言いたくなっちゃう、、、


やっぱり本が好きなんだな

最後。デメリットで締めるのもあれなので、ポジティブなことを1つ。
この作業を通じて思ったのは、やっぱり僕は本が好きなんだなということです。好きじゃなかったらこんな作業できないからね。あまり自覚する機会はないけど、この機にそれをはっきりと感じました。本が、好きだ。

そんなわけで、本を愛する全国1万人の紳士淑女の皆様、ぜひ「自宅本棚図書館化プロジェクト」、挑戦してみて下さい!! 絶対新たな発見がありますよ!!! それではーーー。



*ちなみにこれまでの4Part、最終的には1つの記事にまとめる予定なので、そちらも是非よろしくお願いします。

【追記】
まとめたもの↓

変なテンションでやってるので注意。