ライフって何APなの? ~あかさき算的ライフの価値とその神秘性~

はじめまして。tatataです。このまえロロステ秋葉原の店舗移転セールで第二版第三拡張が400円で投げ売りされていたので三つ買いました。だれか第二版の基本と第一第二拡張売ってるとこ知りませんか……?

この記事は『ふるよに Advent Calendar 2020』の12/23担当記事となっております。よろしくお願いいたします。


はじめに

『桜降る代に決闘を』は、1対1で行う対戦型ボードゲームです。その内容は、相手を見てから決めることができる眼前構築、オーラやフレアなどのリソース管理、そして共通リソースである間合によって起こるゲーム展開の変化など、その複雑さは混迷を極めます。

そのため、現在に至るまでに、様々な方法でふるよにを一般化する理論が打ち建てられました。

その中でも特に有名なものとして、手札や集中力と基本行動を結び付け、オーラ、フレアに定量的な価値を定めた、あかさき氏によるあかさき算。

さらには、あかさき算を拡張し、前進や後退などの間合に関する行動にまで価値を定めることに挑戦した、ガソタム氏による間合相対性理論。

これらの理論達によってふるよに世界の一般化が成されてきました。

ですが、様々な理論が登場して尚、未だ様々な領域が未開の地となっており、ふるよに界隈は解決の時を今か今かと待っています。

今回はその中でも一般化の難しいとされる、ライフの一般化に挑戦していこうと思います。

残念ながら、まだ未成熟な部分も多い理論ですが、皆さんに考えていただけるきっかけの記事になっていただければ幸いです。


第1章 ライフの価値とはどういうことか?

本題に入る前に、「ライフの価値」とは一体どういうことなのか? という疑問を解いておかなければなりません。

「ライフの価値が高い」とは、言い換えれば「そのタイミングでライフを使用のが効率的である」という意味であり、逆に「ライフの価値が低い」とは「そのタイミングでライフを使用のは非効率的である」ということです。

つまりは、「ライフの価値が高い」時にライフを使用することで、よりよくライフを運用することができます。

この大前提をもって、ここから先の記事を読んでください。


第2章 ライフはオーラを守るためにある

さて、ライフの価値を評価するにはどのようにすればよいのでしょうか?

これは、ある所までは比較的簡単に求めることができます。皆さんも何となくわかっているのではないでしょうか。

ふるよにではライフを消費する一般的な動作が2つありますが、その内の1つに、「相手の攻撃をライフで受ける」というものがありますね。(もう1つは「再構成」です。これ以外でライフが増減することはほぼありません。)

相手の攻撃は(自分のオーラが十分にあり、その攻撃に「-」がなければ)、オーラで受けるかライフで受けるかを攻撃を受けるプレイヤーが選択することができます。

そうであるなら、ライフで受けた時と、オーラで受けた時のAP差が、ライフの生み出したAPであると言うことができるでしょう。

例題として、以下のような問題を考えます。

あなたはオーラが3ある状態で、相手の《斬》(3/1)をライフ受けした。そのライフは何APか?

まずは、ライフ受けとオーラ受けのそれぞれの場合のAP差を考えてみましょう。

1.ライフ受け

ライフ受けした場合、

①相手の手札が一枚減る(相手-1AP)

②あなたのフレアが1増える(自身+2AP)

③あなたのライフが1減る(AP変動なし)

とAPが変動するため、

(あなたの得たAP)-(相手の得たAP)=(実際のAP差)なので、

2AP-(-1AP)=3AP

となり、あなたはライフ1つを犠牲に3AP得したことになります。

2.オーラ受け

オーラ受けした場合、

①相手の手札が一枚減る(相手-1AP)

②あなたのオーラが3減る(自身-3AP)

とAPが変動するため、

-3AP-(-1AP)=-2AP

となり、あなたはライフ1つを守るために2AP損したことになります。


さて、この時ライフの価値は、

{(ライフ受けの際のAP差)-(オーラ受けの際のAP差)}÷(ライフ受けした際のライフダメージ)

で求めることができます。

今回の場合、

{3AP-(-2AP)}÷(1ライフダメージ)=5AP

となるため、このライフには5APの価値があった、とすることができます。


……と、ここまで長ったらしく書きましたが、要は「攻撃をライフ受けしたってことは、ライフ1点払ってオーラ3点を守ることができたっていう風に考えることよね!!!!!」ということでございます。


さて、ここまでで、ライフの価値の付け方に対して、ある特徴的な事がわかってきます。

それは、ライフの価値は固定ではなく、その価値は相手が評価する部分が大きいということです。

ライフの価値は固定ではありません、3/1の攻撃をライフ受けするのと、1/3の攻撃をライフ受け(する人いるのか?)するのでは、ライフの価値は大きく変わってきます。(ほとんどの場合、最低保証としてライフがフレアに行く際の価値、2APが保証されてはいます)

そして、この価値を決定づけるのは、あなただけでなく相手も大きく関わってきます。

相手の攻撃に、オーラダメージが大きく、ライフダメージが小さい攻撃が多ければ、ライフの価値は上昇します(つまり、ライフ受けの価値が上がるということですね)。

逆に、ライフダメージが大きく、オーラダメージが小さい攻撃が多ければ、ライフの価値は下降します(オーラ受けの価値が上がるということです)。

言語化してみると案外当たり前のことなんですけどね……


第2章まとめ

・攻撃をライフ受けした時、そのライフには「その攻撃で受けるはずだったオーラダメージ」分の価値があったということができる。

・相手が使ってくる攻撃により、あなたのライフの価値は変動する。


第3章 もう一つのライフの価値、もう一つのふるよに

ここまで話した所で、トコヨ様やクルル様からのご不満が聞こえてきます。

それは、「-/1攻撃や無条件ライフ1ダメージはどうやって評価するの?」ということです。

これは難しい問題です。今までとは一筋縄ではいきませんね。

私はこの問題に答えるため、長い間考え続けました。

そして、ある大きな結論にたどり着いたのです。


さて、皆さま、私は先ほどこの記事の中で、「ふるよにではライフを消費する一般的な動作が2つしかなく、それは攻撃のライフ受けと再構成である」というお話をしたのを覚えていますでしょうか?

ということは、つまり、このように言い換えることができるのではないでしょうか?

「ライフを1消費するということは、行える再構成の数を減らすということである

こう考えれば、なかなか面白いことが起きます。

ふるよにというゲームは、「最初に9回の再構成ができる状態で始まり(ライフ10ということは、再構成を10回したら負けですからね)」、「攻撃によって相手の行える再構成の回数を減らし」、「相手の再構成回数が0回の時に再構成させたら勝つ」という風に見ることができます。

このように見れば、たとえば《えれきてる》は、

「機巧(青青青紫紫):相手の再構成回数を1回減らす」

と読み替えることができますし、何なら《斬》だって、

「間合3-4:相手は、オーラを3減らしてもよい。そうしなければ、再構成回数を1回減らす。」

と読み替えることができます!!! ソリューション!!!

さて、こうなれば後は簡単です。再構成の価値を計算すればいいのです。

……再構成の価値って何APだ?????


第3章まとめ

・ライフ1点は、再構成を1回行える権利として見ることができる。

・再構成の価値を測ることで、ライフにかかわる様々なAP計算及び比較を行えるのではないだろうか?


第4章 再構成は何AP?

さて、再構成の時のライフの価値は何APなんでしょうか。これは難しい問題です。

とりあえずこのように状況を置くとしましょうか。

あなたは、山札は0枚、捨て札と伏せ札に合計6枚のカードがある状態で、開始フェイズに再構成を行った。この時、ライフの価値は何APか?

それでは、再構成を行った場合と、再構成を行わなかった場合で、どのようにAP差が開いていくかを見てみましょう。


1.再構成を行った場合

①あなたのフレアが1増える(+2AP)

②あなたの山札が6枚増える(+?AP)

③あなたのライフが1減る(AP変動なし)

合計:2+?AP

2.再構成を行わない場合

特になし

合計:0AP

となりますね。


……。はい。わかってますよ。

山札の価値ですね。

山札の価値は、カードを引く際に参照されますね。

Ⅰ.カードを引く際に山札がある場合

①手札が1枚増える。(+1AP)

②山札が1枚減る。(AP変動なし)

つまり、+1AP

Ⅱ.カードを引く際に山札がない場合

①焦燥によりオーラが1減る(-1AP)、もしくはライフが1減る(?AP)

焦燥のライフダメージはとりあえず一旦無視するとして、概ね-1APでしょう。

つまり、山札1枚の価値は、2APであるということができます。(実際は2枚引く動作のほうが多いので、山札2枚につき4AP、といった方がいいかもしれませんが……)

ということは、6枚の価値は12APですね。つまり、この状況で再構成すると、

①あなたのフレアが1増える(+2AP)

②あなたの山札が6枚増える(+12AP)

で、合計14APが、再構成におけるライフの価値ということが言えるでしょう。


……え? やばくね?


第4章 まとめ

・再構成の価値は、概ね10~14APである(いわゆる5枚再構成は10AP、6枚再構成は14APです)。

・再構成によるライフの価値は、攻撃をライフ受けするときより価値がかなり大きい。(つまり、可能な限りライフは再構成に使うのがよい……?)


第5章 オーラ受けは最強なのか???

さて、再構成のAP効率は14APである事が分かりました。《斬》のライフ受けですら得られるAPは5APでしたから、破格のAPであるといえるでしょう。

ここから導き出される答えは、「すべての攻撃をオーラ受けして、ライフをすべて再構成に回す」でしょう。これが俺の必勝法や!!! 早速実践!!! うおおおおお!!! オーラ受け最強!!! オーラ受け最強!!!


(一般ミコト対戦中……)


ボロ負けしました。おかしい、僕の考えた最強の理論なはずなのに……???

とりあえず、負けた理由を分析してみましょう。

まず、オーラが足りないですね。

残念ながら、ミコトのオーラは5しかないため、対応がない限り1ターン中のオーラダメージの合計が6以上になると必然的にライフダメージを選ばざるを得ません。ふるよにってゲームよく出来てますね。

というか、そもそもリソースが足りないんですよね。

よくよく考えたら、例えば相手が毎ターン《斬》(3/1)相当の攻撃を使ってきたとして、こっちはそれを回復するのに3AP必要なんですよ。相手は1APしか使ってないのに(注:実際は、間合調整などにAPを消費しています)。

こっちは毎ターン手札2枚と集中力を使ってオーラを回復しているというのに、相手は1枚のカードでそれを吹き飛ばしてくる。理不尽だと思いませんか??? 《斬》に「【攻撃後】自オーラ→2→ダスト」とか付けた方がいいと思います。


第5章 まとめ

・オーラ受けは最強でも正義でもない。オーラ受けのみを続けても、最終的にはライフに攻撃は通ってしまうし、リソース切れを起こして不利になってしまう。

・ふるよにのルールはよく出来ている。


第6章 目の前のリソースと、未来のリソース

さて、再構成を基準としたライフの価値のお話に欠陥が見えてきました。

これは一体どういうことなのでしょうか?

それは、ゲーム全体を見た時と、今目の前の盤面を見た時では、価値の考え方が違うからです。

さて、先ほどから散々話題になっている《斬》ですが、今の状況はこうなっています。

「ライフ受けすると、1回再構成できなくなる(-14AP)代わりに、2AP増える」

「オーラ受けすると、3AP減る代わりに、再構成できる」

というお話でした。

……ですが、こう書かれたらどう思うでしょうか?

「ライフ受けすると、遠い未来に1回再構成できなくなる(-14AP)代わりに、今この瞬間に2AP増える」

「オーラ受けすると、今この瞬間に3AP減る代わりに、遠い未来に再構成できる」

少し印象が変わってきたのではないでしょうか。

よくよく考えてみれば、再構成というのは、遠い遠い未来、山札がなくなって、再構成して、増えた山札を引ききることによって初めてその価値を得ることができます。

私たちはオーラ受けかライフ受けかを選択する際に、常に「目の前のオーラを守るか、未来の再構成を守るか」を常に天秤にかけているのです。

攻撃をライフ受けすることによって得たリソース達を使い、次のターンに攻撃などのアクティブなプレイを行えば、-14APなんて跳ね返すような攻撃を行うことだって出来るはずです。

そして、その基準はケースバイケースでしょう。この後続けて来る相手の攻撃達や、自分の手札、間合やフレアなどがいくつになっているかなど、様々な状況をみてオーラ受けかライフ受けかは判断しなければいけません。


第6章 まとめ

・我々は常にオーラを守るか再構成を守るかを選んでおり、その明確な基準は存在しない。


さいごに

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

ここ半年ぐらい頭の中でぐるぐると考えていたことをやっと言語化することができました。

これだけ長い記事を書いておいて結論は「結局オーラ受けかライフ受けかは場合・状況による」というなんとも当たり前な所に着地するのも、このふるよにというゲームがよく出来ている証拠であると思います。

最近はコロナもあり、プレイする機会は格段に減ってしまいましたが、どこかで対戦する機会がございましたらよろしくお願いいたします。

正直粗削りな理論だと思いますので、「俺はこう思うぞ!!!」という方はぜひツイッター(@tatatapppoooiii)までどうぞ。

最後に、勝手に名前を出した、あかさきさんとガソタムさん、ほんとごめんなさい……!!!


tatata

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