すきま風と新丸子。二話

その彼女と久しぶりに会ったのは二日前だった。

かれこれ最後に会って五年以上は経ってただろうか。

その間、彼女は二人の子供を授かり、
離婚を経験し、少し昔より体型も変わっていた。
相変わらずの明るさは変わってなくてとても安心した。
そして二人はこれまでの事を時間を許す限り互いに話した。。

しばらくお互いを話した後
僕は気になってる事を聞く、
「彼氏は?」

「居ないよ」

「え?じゃあ(アッチの方は)どうしてるの?」
おもむろに僕は聞いた。

「…全然してないよ。」

「うそ?ずっと?どのくらい?」
驚きを隠せない自分がいた。

「うん。。 四年位。。 ってかうるさいよ笑」

僕が笑いながら聞くのを
彼女は嫌そうに笑う。

僕は彼女が全く「そういう事」をしてない事が驚きでしょうがなかった。
なぜなら僕の印象は彼女はとても好きモノだからだ。まさに、スイッチを入れると止まらないとでも言おうか。

(あー、そうなのか、、じゃあスイッチを入れたいな、、)
なんて。
そんなことを聞いたものだから悪い僕がそこには居た。

その後、車を走らせ移動した僕らは少し涼もうと河川敷へと歩いた。
二人で手を取り歩き、並んで座ると、もうそこに言葉は要らなかった。
スイッチは二人の間で勝手に押されていた。

梅雨がなかなか明けない都内の夜は少し蒸していて
二人の間にはじっとりと滲む汗を感じながら手を握り
夢中で唇を合わせました。




「……そろそろ帰る時間だね、」

キスだけで止めれるはずもない僕らが
我慢して互いの時間の制限を守る事を選択出来るくらい
大人になってしまったんだというもどかしさと
次への会う楽しみが入り混じった帰り際、

「じゃあ明後日ね!」なんて我慢できずに言った僕の顔を見て、
「空いてたらね~」
なんて笑いながら言う君。

もう次会う時は予めコトが決まっているんだ

帰りの僕はもうその事で頭がいっぱいだった。

まるであの頃の昔の僕みたいに。




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