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シカゴ・ベアーズの72番

 先日、メルカリに出ていたNFLシカゴ・ベアーズのジャージ(ユニフォーム)を購入しました。
 いわゆる「当時もの」ではなく、「THROWBACKS」という、各アパレルメーカー横断の、過去の選手をトリビュートした製品シリーズの一環です。
 この「72」番は、シカゴ・ベアーズで1985年から89年まで、90-91年はフィラデルフィア・イーグルスでプレイしたDT・ウィリアム・ペリーの番号でした。
 名選手と呼ばれるほどの存在ではなかったものの、圧倒的なディフェンスでスーパーボウルを制した1985年のシカゴ・ベアーズに於いて、ルーキーとしてシーズン通して活躍し、たまにFBとしてオフェンスにも出てくる人気者でした。同じDTとして隣に並んでいたスティーブ・マクマイケルは、引退後も長くWWEのプロレスラーとしてスパッツに「76」の番号を入れて活躍しました。
 また、やや小柄にした弟のマイケル・ディーン・ペリーもクリーブランド・ブラウンズでプレイしたDTで、こちらはALL PROやプロボウルに選ばれるほどの活躍をしていました。

 1988年1月31日の第22回スーパーボウル(SUPERBOWL XXII)で初めてNFLを見て、ハマった、当時高校生だった私にとっては、ウイリアム・ペリーは「人気者だが怪我がちであまり出ていない人」でもありました。

 代々木ゼミナール本校(代々木)での浪人生活中、一緒に遊び呆けていた小学校3〜4年時の同級生・フジタくんとは、吉祥寺のWESTWOODで買ってきたToppsのフットボール・カードの交換(まさにトレーディングカード!)をしていました。
 ここで、彼が「ウィリアム・ペリー」を出したのです。私がトレード相手にしたのがボー・ジャクソン(レイダースRB/当時カンサスシティ・ロイヤルズの外野手としてもプレイ)だったかジョー・モンタナ(49ersQB/1989年・第23回スーパーボウルMVP)だったのか覚えていないのですが、吉祥寺の150円コーヒーの店でトレードが成立しました。

1988年のToppsのフットボールカード

 受験生としての私は英語の偏差値が低く、とくに単語の単純記憶が苦手で、辞書を引くのを面倒だと思っていたのがその要因かと思われます。ただ、興味の向いたものに関してはその限りではありませんでした。
 ウィリアム・ペリーのフットボールカードの裏面に、見たことのない単語がありました。

Nicknamed “The Refrigerator

 Refrigeratorを辞書を見ると「冷蔵庫」。なるほど、体型が真四角の直方体だ。わはは。

 1990年2月26日、既に2校受かっていたため、2年16校の最後の受験となった早稲田大学社会科学部・英語の問題。発音アクセント問題にその単語は出てきました。
 「re-friger-ator」は「もういっぺんー凍らせるーもの/人」だから、強調すべきはfrigerだろう、と判断。
 難なく回答することができました。
 この年の社学の英語の試験では、英熟語の問題でも、アメフトに救われていました。「記録を達成する」という言葉を選ぶ問題。
 既にNHK BSでもNFL中継はやっていましたが、自宅にBSアンテナを立てる余裕はなく、ラジオの在日米軍の放送FENのアメフト中継をよく聞いていたのです。これは名詞ばかりなので、非常に聞き取りやすいものでした。

3rd Down 2, 40yard line SanFrancisco. I-formation, Rice is right, Tailor is left. Rathman and Craig are Backfield.
Snap is off. Montana drops back, looking right, throwing deep…. Caught by Rice! Up to the middle…30, 20, Ten…Touchdown! SanFrancisco. Joe Montana SET A NEW RECORD!
(3rdダウンで残り2ヤード。ボールは49ers陣40ヤードライン。IフォーメーションでWRは右にライス、左にテイラー。フルバックにラスマン、テイルバックにクレイグ。スナップされてモンタナがドロップバック。右を見た、奥に投げる!ライスが取った!中を駆け上がる!ゴールラインまで30ヤード、20、10…タッチダウン!49ers!モンタナが新記録達成!)

 これを聞いて、「SET A NEW RECORD!」で「新記録達成」か、と覚えていたのです。このころ絶好調だったジョー・モンタナにも感謝しなくてはなりません。

 購入したジャージの話に戻ります。
 72番のウィリアム・ペリーが活躍した1980年代後半のNFL・アメリカンフットボールのアパレルは、今にして思えばレベルが低かったと思います。 製品自体、フィリピンや韓国で縫製された雑な作りで、素材も薄かったり、厚すぎたり。首回りは伸び放題。ゲームで使われているものをベースにデザインしているはずのジャージも、デザインを雑にしていたり、袖番号や選手名が無かったりで、アメリカの雑なアパレル文化を示すようでもありました。
 また、製品になるのは注目を浴びるQBばかりで(→シカゴ・ベアーズの場合は高名なRB・ウォルター・ペイトンがいたので34番も製品化はされていた)、ディフェンスラインのウィリアム・ペリーのジャージが売られることは考えられませんでした。

 それでも、NFLのゲーム用ジャージにNIKEやリーボックが参入し、ジャージにロゴを入れることができるようになると、ファン向けのアパレルも質的向上、ラインナップの充実が図られます。

 おそらく1990年代末あたりから、過去の選手名・番号・ユニフォームデザインで再現する「THROWBACKS」シリーズが出てくるようになります。
 NFLの歴史を調べる趣味もあったので、このシリーズは願ったり叶ったり。

 今回、メルカリにその一環・ウィリアム・ペリーの72番ジャージを見つけて買った次第です。
「そんなもん出てたんだ!」
 2700円。ナンバー部分に多少の汚れとキツい柔軟剤の匂い。セスキで匂いを抜こうと思ったら、オレンジの部分に色落ちが。
 まぁ、こういうものでしょう。