ゴッズオウンカントリー感想みたいなもの

こんな辺境にたどり着いた方はおそらくネタバレOKである事を前提に話を進めさせて頂きます。「ゴッズ・オウン・カントリー」皆さん如何でしたでしょうか?
初回の鑑賞後はジョニルゲフォーエバー!ハッピーハッピーラブ!とまるでおっさんずラブs1(s1ですよあくまでも)のラストを見届けた時のような多幸感に包まれました。
だってこの映画は王道のラブストーリーなんです。出会いの第一印象はお互い最悪。反発し合うも徐々に距離が縮まっていく2人。そして怪我の手当てだったり彼セーターだったりバスの中で寝ちゃってもたれかかったりとかむしろベタ中のベタ表現満載と言ってもいいぐらいです。それが陳腐に見えないのはスタント無しのガチンコ農業シーンとシビアな介護・移民差別などの社会問題が織り込まれてるからでありましょう。

この映画をかれこれ1か月以上毎日取り憑かれたように観続けていて徐々にある疑問が湧いてきたのですが…

ぶっちゃけ、ゲオルゲってジョニーの事どう思ってたの???

ジョニーは分かりやすいです。最初は移民であるという先入観でゲオルゲに見下した態度を取っていたのですが、よく見りゃイケメンである事に徐々に気付き、ジプシー呼びにキレたゲオルゲに押さえつけられた時、その後怪我した手の傷を見てもらう時に急に物理的に接近されてドギマギしてモヤモヤしてある夜爆発。
その爆発後、ゲオルゲが欲が満たされてスッキリしたのかスヤスヤ眠るジョニーの顔を見つめた後に外に視線を向けるシーンがありましたよね。あの時ゲオルゲは何を思っていたのか…

こいつを落とせばこの牧場に根を下ろす事が出来るかも…
だったとしたら…

実際にルーマニアからイギリスに来ている移民の方々の労働環境は厳しいらしく、狭い部屋に10人ぐらいで寝泊まりする事もザラにあるようです。ゲオルゲが初めてトレーラーを見た時に悪くないと言ってたのは本音でしょう。イギリス国内をあちこち転々としながら働くよりは、サックスビー家の牧場で自分の得意分野の仕事を続けたいと思っても不思議ではありません。
その後寝床でゲオルゲの方からジョニーに誘いをかけてきたのは勝負に出たのかも知れません。事後のシーン、放心状態のジョニーに対し、落ち着いてるゲオルゲ。そして案の定ジョニーはゲオルゲにメロメロに…

考えてみるとその後メロメロのジョニーに対してゲオルゲは余裕。家のベッドに誘われても家の中ではダメだと軽くいなし(過去に何か痛い目にあったのかも?)その後トレーラーにジョニーがノコノコやってきた時の勝ち誇ったような表情…ジョニー完全に手のひらで転がされちゃってる…
その後お父さんが倒れた事で不安になるジョニーに食事を作ってあげる優しさ。良かったらもう少しここに残るよ。と…これはもう是非是非残って下さいと言うしかないではないですか…

その後パブのシーン、核心に迫る話し合いになります。もっと長くここにいて欲しいというジョニーに対し、牧場は今のままではダメになる。やり方を変えないとと言うゲオルゲ。彼は牧場経営に関してイニシアチブを取っていきたいのかも知れません。
プレッシャーをかけられてジョニーは酒に逃げた挙句浮気をしてしまいます。(ジョニーはアルコールとセックス依存症では?とここでチラと思ったのですが)

浮気に怒ったゲオルゲは出て行ってしまいます。が、さほど荷物が多くなかったはずのゲオルゲ、何故かセーターを置き去りにしてるのはもうワザととしか思えません。ジョニーがこのセーターを見つけたらきっと自分が恋しくなるはずと。

そしてジョニーはお父さんに今後仕事のやり方を変えたい、そしてゲオルゲが必要である事を伝えます。もう全てゲオルゲの思惑通りに事が進んでしまっています。そう思うとゲオルゲを連れ戻しに行った帰りのバスのシーンのゲオルゲ、上手く事が運んでほくそ笑んでるようにすら思えてきます。
ゲオルゲ、恐ろしい子…

ゲオルゲはそんなんじゃない💢と思われた方ごめんなさい。この映画はラブストーリーだと監督も役者さんも仰ってたのでそれは本当にそうなんだと思います。
ただ、公開当時この映画はBrexitに関する映画なのか?みたいな記者からの質問が監督にあったりしたようで、解釈次第で色々な見方が出来るというのもこの作品の醍醐味と言うか、それ故に何回観ても飽きない名作なのかも知れません。

長々とお読み頂きありがとうございました。