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イキイキと働ける職場作りをサポート人と人のつながりを育む「HASH村」(2020/09/25掲載)

福島県・いわき市三和町の山間にある〈HASH村〉は、自然豊かなフィールドを活かした貸切型の野外研修施設です。企業利用のアウトドアオフィスや、ファミリーで楽しむキャンプ場としてなど、利用方法はさまざま。ここで共有する時間や体験が人と人とのつながりを育みます。
HASH村を運営する「有限会社クルーズプランニング」の社員である門間裕匡さんは、企画段階からHASH村を作り上げてきたひとり。現在は、村の運営や管理のほか、ファシリテーターとして企業研修のコーディネートから進行まで務めています。
HASH村はどのようにして生まれたのか、そして、どのような想いが込められているのか、お話を伺ってきました。

<タタキアゲジャパン公式サイトアーカイブ>
本記事は、タタキアゲジャパン公式サイトに掲載されていたものです。
肩書・内容は掲載当時のものとなります。




企業からファミリーまで!自然あそびを満喫できるHASH村

常磐道三和ICから約10分。山道を登り、緑のトンネルの抜けたその先に〈HASH村〉はあります。

約2000坪の広大な敷地には、趣のある古民家や広々としたキャンプサイト、全天候型BBQサイト、シャワー室と水洗トイレも完備されており設備が充実。非日常の空間で、五感を研ぎ澄ませながら自然あそびを満喫することができます。

HASH村では、平日は企業向けの野外研修をメインに、キャンピングオフィスや社員研修旅行の場として様々なコンテンツを提供しています。完全貸切型のため、大人数でも周りを気にすることなくリラックスして自然を満喫できるのは、この村ならではです。

キャンピングオフィスの風景

また、週末や連休時は、個人やファミリー向けのキャンプ場としても利用が可能。
キャンプ初心者でも気軽に楽しめる「手ぶらCAMP」は、テントから寝袋、キッチンセットまで道具すべてをレンタルしてキャンプ体験ができます。しかも全てスノーピークのハイスペックギア!設営から撤収、キャンプでのおすすめの過ごし方をレクチャーしてもらえ、充実した時間を過ごせます。

ファミリーキャンプの様子

日常の喧騒から離れ、自然のなかでゆっくり仲間や家族と一緒にご飯を食べたり、星空を眺めたり…、さまざまな体験や時間を共有することで、人と人とのつながりが自然に深まる場となっています。

「HASH村は昨年の2019年にオープンしたばかりですが、さまざまな方に活用いただけていることが嬉しいですね」と門間さん。

このHASH村はどのようにして生まれたのでしょうか。

きっかけは、職場環境を良くしたいという想い

HASH村の運営は、カーナビ関連の商品開発や健康事業を展開する「有限会社クルーズプランニング」が行なっています。

クルーズプランニングでは、介護事業立ち上げ時に、スタッフがなかなか集まらず、採用しても長続きせずに辞めてしまい、人が定着しずらいという介護業界特有の人材不足に苦慮していました。

「どうしたら社員一人ひとりが生き生きと輝き、働きたいと思える職場環境を作れるだろう」

社長の橋場慶彦さんがそんな想いを巡らせていたとき、たまたま知人から「チームビルディングをしてみてはどうか?」と声をかけられます。そこで紹介されたのが、アウトドア愛好家としても有名な清水国明氏が主宰する野外研修施設「森と湖の楽園」でした。

「森と湖の楽園」は予約が1年先まで埋まってしまうほどの人気の社員研修施設です。そこへ、社長と社員たちで研修を受けに行ったことがHASH村の始まりでした。

「チームビルディングは、個人の能力やスキルを最大限に活かしながらチーム力の高い組織を作ることなのですが、実際に体験してみるまでは私たちもどんなものなのかわかりませんでした。仲間と一緒に、自然の中で色々なアクティビティをこなしていくのですが、単に机上で考えるよりも気づきをたくさんもらえたんです。そうして仲間同士お互いを知ることで、互いの違いも受け入れられる、絆が深まるという今までにない体験をさせてもらいました。」と門間さん。

その後の研修の効果は目に見えて現れます。

良いコミュニケーションから、良い関係性が生まれ、以前とは違い、スタッフがイキイキと主体的に働く姿がありました。悩みの種であった離職率が減り、求人にかける広告費も軽減されたのだそうです。

「いわきでも、多くの企業にチームビルディングの魅力を伝えていけないだろうか。」

自社だけでなく、多くの人たちにこの素晴らしさを広めたいと、一般社団法人日本野外研修ワークショップ協会の認定を受け、HASH村の開拓が始まりました。

HASH村開拓はほぼ手作業での地道な道のり

「元々この場所は、社長のお気入りの散歩コースで土地だけは購入してあったのですが、最初は本当にただの荒地で、ボロボロの古民家と広大な土地が広がっているだけでした。」

そんな広大な土地を2017年から社長、門間さん、他スタッフの計3人で開拓し始めました。

村へと続く道路は道幅が狭く大型重機が入らないため、作業はほぼ手作業。古民家のリフォームは、天井を剥がし梁を見えるようにするなどの作業も全て有志の社員たちで行ったそうです。

「通常業務のかたわら、毎日のように通って作業した日々もありました。僕はアウトドアや大工の知識があったわけではないのですが、作っていくうちに知識や出来ることも増え、愛着も湧きますし、大変だった分完成した時の嬉しさはひとしおでしたね。」

そんな門間さん自身も野外研修を受けて変わったひとりです。

実際に自分でもチームビルディングの素晴らしさを伝えていきたいと思うようになり、日本ワークショップ野外研修協会の一級ファシリテーターを取得。現在は、HASH村で実際に野外研修のコーディネートから進行まで行っています。

チーム力を高めるオリジナル研修プログラムを提案

「企業の研修は、問い合わせをいただいたら、まず丁寧なヒヤリングから始めます。プログラムは、新入社員向け、内定者向け、幹部向けなど、誰に向けてなのか、どんな課題を抱えているかに合わせて、その企業に会ったプランを個別に作っています。」

内容は、リアル宝探し「トレジャーグランプリ」やアウトドア料理体験、アクションプランなど。企業の求める成果に合わせて、さまざまな体験やゲームを組み合わせ、チームワークや組織力を高めるオリジナルプランを提供しています。

チームビルディング研修の様子

「講師が一方的に講義を行う座学型の研修だと、その時はいいと思っても時間が経てば忘れてしまうんですよね。ここでは、力を合わせる体験をし、本音で人と人が語り合う時間を持つことで、相互理解が深まります。こんな考えを持っていたのだと相手を受け入れることができることで、職場でのコミュニケーションへと活かしていけるんです。」

10回の懇親会よりも1回のHASH村!

前回のチームビルディング研修では、JR東日本の新入社員約100名の受け入れを行いました。

「コロナ禍で入社式もないまま配属になってしまった新人の皆さんに、同期入社の横のつながりを作ってあげたいという担当者様の想いを汲み、万全の体制で開催しました。当日は、天気にも恵まれて、皆さんが交流を深めている姿が印象的でした。後日、担当者様からは研修は大成功でした!との声をいただき、ホッとしています。」

HASH村で実際に研修を体験した企業からは「10回の懇親会より1回のHASH村!」という感想の声もあったそう。この場を訪れたそれぞれの人たちが意義のある時間を過ごしています。

「今後も、離職率や社員同士のコミュニケーションに課題を抱える企業さんに利用いただきたいです。HASH村で自然の力も借りながら会話が生まれ、互いを知り、つながりが育まれていく。そんな時間をこれからも提供していきたいです。」

地域実践型インターン活用でHASH村をアピール

HASH村では、タタキアゲジャパンがコーディネートする「地域実践型インターンシップ」も活用いただきました。テーマは、『古民家アウトドア施設 “HASH村” 企業研修新規事業立ち上げプロジェクト』。

インターン生からは、既存のプログラムにない独自性のあるゲームを考えてもらったり、サービスを利用するであろう企業の経営者にアンケート調査し、利用者向けのFAQを作成するなど、さまざまな新しい風を吹き入れてもらえたそうです。

「私たちとは違う視点でのたくさんのアイデアと考えをもらえ、とても良い刺激を受けました。また、浜魂での発表の機会もいただいたことで、たくさんの人にHASH村の活動をアピールすることができました。」と門間さん。

また、タタキアゲジャパンの主催するイベントでは、キャンピングオフィス体験会を実施。イベントに参加することで、地域とのつながりが持て、HASH村を知ってもらえる機会になりました。

イベントでキャンピングオフィスをPR

「現在は、関東からのお客様が多いのですが、これからはいわきの多くの企業に野外研修を利用してもらいたいですね。」

大学3年生の時に被災。いわきのために何かできればとIターンを決意

HASH村の顔ともなっている門間さんですが、出身は秋田県。甲子園出場校でもある金足農業高校で野球に打ち込む日々を過ごしました。その後、福島県・いわき市にある東日本国際大学へ進学。2011年、在学中3年生の時に東日本大震災に遭いました。

「関東に就職することも考えていたのですが、震災でいわきの悲惨な状況を目の当たりにし、いわきのために何かできないだろうかと思うようになりました」。門間さんはいわき市にIターンすることを決意し、物流会社に就職。その後、クルーズプランニングへ転職しました。

「物流会社で働いている時に、クルーズプランニングの社員さんとやり取りをする機会がよくあって、すごく楽しそうに働いているのが印象的だったんです。たまたま求人をしていると聞いて、上司に相談し、クルーズプランニングに転職をさせてもらいました。」

現在は、プロダクト事業部で開発サポートをする傍ら、HASH村の運営もするという忙しくも充実した日々を送っています。

HASH村から学びと気づきを提供していきたい

最後に、HASH村で今後どのようなことを実現していきたいのかを伺いました。

「思いきり野遊びをして、学びや気づきを感じられる場所にしていきたいですね。特に、離職率や社員同士のコミュニケーションに課題を抱える企業さんに活用してほしいです。仕事が充実すれば、人生そのものが充実するんじゃないかなと思います。働く環境が良くなることで、社員一人ひとりのモチベーションが上がり、質の高い仕事につながっていくと思うんです。そのためにも、楽しく働ける環境作りのサポートをこれからもしていきたいです。」

写真・文 奥村サヤ

●information

ハッシュ村/HASH村

住所:福島県いわき市三和町下永井銅屋場267
公式サイト:ハッシュ村.jp

有限会社クルーズプランニング
門間 裕匡(もんまひろき)


1990年秋田県生まれ。いわき市在住。東日本国際大学在学中に東日本大震災を経験し、いわき市にIターンを決意。2014年に有限会社クルーズプランニングに入社。プロダクト事業部で開発サポートをする傍ら、HASH村の企画段階から携わる。2017年日本野外研修ワークショップ協会の一級ファシリテーター取得。現在は、野外研修プログラムの提案から運営・進行まで行なっている。

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