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きっかけは「役に立ちたい」想い いわきとのつながりは、人生をより豊かにしてくれた。(2021/02/01掲載)

若者を中心とした人材育成のプロであるアケハナ株式会社代表の加藤郁生さん。
タタキアゲジャパンが行うインターンシッププログラム「復興・創生インターン」や「地域実践型インターン」、いわきのまちを活性化するための若者が集まる場「いわき若者会議」に参画し、若者たちへ向けた講義を行っていただいています。
東京在住で自身の事業を行うかたわら、いわき市と関わりを持ち、交流することになったきっかけは何だったのでしょうか。加藤さん自身が地域と関わることで得られた変化、これから地域でやってみたら面白そうなことについて伺ってきました。

<タタキアゲジャパン公式サイトアーカイブ>
本記事は、タタキアゲジャパン公式サイトに掲載されていたものです。
肩書・内容は掲載当時のものとなります。


若者たちが生き生きと働けることが普通である社会に

ー加藤さんは若者の教育を専門にされているということですが、まずは、具体的にどのようなことをやられているのか、また、事業をはじめたきっかけを教えてください。

「学校」と「社会」の溝を埋めることをテーマに、学生から社会人への移行期を伴走して、社会で生き生きと活躍できるようになるための人材育成を行っています。

私自身も経験したことですが、学校から社会に出て働き始めてみると、色々なことが足りないと痛感するんですよね。

学生生活から就職して社会に出るわけですが、仕事の基本という部分を教えてもらえないまま社会に出て、いきなり揉みくちゃにされてしまう子が多いんです。

しかも現代では、昔よりもさらに即戦力を求められたり、リモートで仕事をこなさなければならなかったりするわけですから本当に大変だと思います。

そこで僕は、若者たちが社会で生き生きと働けるようになることが普通である社会にしたいという想いを抱き、2016年より大学生向けの教育サービス事業をスタートさせました。

ー実際には、どんなプロジェクトを行っているのですか。

学生とのマンツーマン指導が主です。

実践プロジェクトとスキルトレーニングの2本立てで行っているのですが、やっていることはすごくシンプルですよ。

実践プロジェクトは、現実においてチャレンジ目標を立て、達成に向けて実行するまでを伴走していきます。目標は、「サークルで伝説を残す」とか「インターンで数字を出す」とか学生らしいものでいいんです。

その目標を達成するまでのプロセスで、レジリエンスやメンタリティなどのマインド面から信頼関係構築やタイムマネジメントなどの行動習慣、問題解決などの思考技術やビジネスコミュニケーションなど、社会で活躍するために土台となる基礎スキルのトレーニングを行なって、目標達成に向けて行動しながら社会で成果をあげる力を向上させていきます。

ー受講する学生たちにはどんな変化が現れますか?

劇的に変化しますね。僕が指導しているのは、ごく一部にいるような特別な子たちではなく、一般的な普通の大学生たちです。そんな彼らが、パイロットになったり、人気NO.1企業に就職して大活躍したり、各分野で力を発揮しています。

一人一人の可能性に寄り添い、引き出すことで、どんな子でもすごい潜在能力を持っていると気づかされますね。

いわきとのつながりは「福島の復興のために力になりたい」という想いから

ー若者教育を専門に東京で活躍されている加藤さんが、いわきと関わりを持ったのはどんなことがきっかけだったのでしょうか。

2016年に「ふくしま復興塾」に参加したことです。

なぜ参加したかというと、震災時のことがずっと心に引っ掛かっていたからです。当時、東北が大変な状況なのに、僕は、自分自身の仕事が忙しくて何もできなかったんですよね。

それから何年か経って、会社を辞めて今の事業を立ち上げるタイミングで「ふくしま復興塾」というものがあることを知りました。

「自分でも何か東北の力になれることがあるんじゃないか」と思い参加し、その会場がたまたまいわき市だったということがきっかけです。

ーいわきに来てみての印象はいかがでしたか?

まず、僕の人生で「いわき市」って今まで全く関わりのなかった土地なので、「いわきってどこだろう?」のレベルだったんです。東京生まれ・東京育ちなので、それまで福島県に縁もゆかりもなくて、「浜通り」と聞いて、どこかにそういう通りがあるのかな?と思ったくらいでした。(笑)

実際にいわきに来てみると、真面目なんだけど、いい意味でおおらかでゆったりとしている印象を受けましたね。「復興のために力になれれば!」と思って意気込んでいわきに来るんですが、逆に癒されている自分がいるんです。

いわき駅ビルのカフェでよく仕事をしながらコーヒーを飲んでいたのですが、周りで交わされている会話とか雰囲気にどことなくゆったりとした空気があって、心地いいんです。もちろん全てが見えているわけではなく、いろいろなことがあると思うのですが、そのあと東京に戻ると皆すごく厳しい顔で足早に歩いていたりして、東京といわき、どっちで生きるのが幸せなんだろうなんて考えたりしましたね。

また、面白いこと、チャレンジしている人が多い印象で、いわきのおおらかな風土がチャレンジしやすい環境を生んでいるのかなと思いました。

ー「ふくしま復興塾」ではどんな活動をされたのでしょうか。

福島を盛り上げるために考えたプロジェクトをまとめてプレゼンを行いました。中間発表での場が、タタキアゲジャパンが主催する「浜魂」で、そこからタタキアゲジャパンさんとのつながりを持たせていただくようにもなりました。

意欲ある若者たちが地域にもたらす可能性

ー若者教育を専門とされている加藤さんには、タタキアゲジャパンが行う「復興・創生インターン」「地域実践型インターン」に参画いただいています。インターンプロジェクトが地域にもたらす可能性は、どのようなものがあると感じられましたか?

若者が地域の外から集まってきて活動することで、企業にとっても地域にとってもすごく刺激になるんだなと実感しました。

復興・創生インターンでは講義をしていただきました

地域の企業が抱えている課題について、学生と経営者が協働して解決に取り組むんですが、若者の前向きな姿勢を見て、周りの大人たちが協力したり、それで人と人がつながるきっかけにもなるんですよね。これって、地域にとってすごくプラスの効果があるのではと思います。

ー加藤さんには、「いわき若者会議」でもプレゼンターとして参画いただきました。いわきの若者に対してはどのような印象を持ちましたか?

若者会議は素晴らしい取り組みですよね!

すごく意欲的で、行動力や実行力を伴う若者がいわきには多いのだなという印象を受けましたね。いわき市にとって、とても大切なリソースではないでしょうか。

意欲のある若者たちが集まってつながり、「何かやりたいね」というところから次のアクションが生まれていくと思います。今後も継続していくことで、新しい何かが生まれていくことに期待しています。

チャレンジしたい人を応援する仕組みや学校があれば、地域はもっと面白くなる

ー加藤さんがもし福島でアクションを起こすなら、どんなチャレンジをしてみたいですか?

前職が大学の立ち上げで学校を作るという専門スキルがあるので、自分のスキルをいわきで活かせる機会があればいいなと思います。

具体的に言えば、市民大学のような大人が学べる学校を作ってみたいですね。

「こんなことがしたい!」「こんなものがあったら楽しくなるんじゃないか」と思ったり、やってみたり、地域をよくしていきたいと思っている人っていわきにもたくさんいらっしゃると思うんです。そういう人とつながって、やってみたいことを実現してもらうようなことができたら面白いんじゃないかと思います。

ータタキアゲジャパンで行っている浜魂(ハマコン)のようなイメージでしょうか。

そうですね。浜魂に登壇するような、チャレンジしたい人も面白いし、食堂の名物お母ちゃんみたいな、登壇みたいなことは考えてもないけど、実は、本当は機会があったらこんなことをやってみたいという思いを持っている人がたくさんいらっしゃると思っていて。そういう方々もどんどんやりたいことをやってしまうように後押しして、実現を最後まで後押しするような仕組みや大人の学校があったらいいですよね。そこからまた面白い地域が育つんじゃないかなと思います。

2016年には加藤さんにも「ふくしま復興塾」から浜魂に登壇いただきました

地域とのつながりは、人生がもっと豊かになる

ーこれまでいわき市とは全く縁のなかった加藤さんが、地域と関わることによってご自身に何か変化はありましたか。

僕は地元が東京・新宿区で、今までいわゆる地域というものに深く関わることなく、都会で過ごしてきたんですよね。いわきと縁ができたことは、自分の拠点が増えたような感覚です。

地域で仲間や知人ができて「元気かな、また行きたいな」と思えることって、すごく豊かなことなんだなと気づくこともできましたね。

タタキアゲジャパンのプロジェクトに関わることでいろいろな知見もたまり、刺激をもらったり、視野を広げてもらえている実感もあります。

ーこれから地域に関わってみたいという方に向けて、アドバイスやメッセージがあったらお願いします。

地域創生やまちづくりに関わってみたいと考えている人って、今とても増えていると思います。一方で、「移住しなければいけないかもしれない」と移住を前提に考えてしまって、なかなか行動を起こすには至っていない人も多いと思うんですよね。

そんな方はまず、「移住とかは一旦置いておいて、関われる形で地方と関わる」ことから始めてみたらと思います。イベントに参加してみるとか、何かを一緒にやってみるだけでいいので、まずは行動をして、その先にもしかしたら「移住」があるかもしれないぐらいでいいと思います。

僕自身はいわきと関わりを持てたことで、人として成長させてもらえたり、大事なつながりができて、人生がより豊かになれたと思っています。なので、まずつながりや関わりを持つことを何かやってみることをおすすめしたいです。

ーありがとうございます。最後に、タタキアゲジャパンにこれから期待することがあれば教えてください。

タタキアゲジャパンの素晴らしいところは、意図的に「継続する」ことをやられているところだと思います。

インターンシッププログラムも回を重ねるごとに洗練されていて、結果もどんどん伸びていっていますし、浜魂はいわきで確固たるものになっていますよね。一旦始めたことを意思を持って継続していく、というところから学ばせて頂いているところはすごく大きいです。

継続することで、活動が広がり、地域の文化が育って行くのだと思うので、これからもぜひ続けて欲しいと思います。自分にお手伝いできることがあればいつでも駆けつけます!

文・奥村サヤ

アケハナ株式会社 代表
加藤郁生(かとういくお)

東京都出身/在住。大学卒業後、アクセンチュア、リクルートエージェントを経て、ビジネス・ブレークスルー大学経営学部にて学部事業の統括責任者に。「社会人向けネット大学の立上げ」を主管。6年間で経営・IT・英語・教養など100科目超のカリキュラムの設計・構築・運営を統括。その後、2016年アケハナ株式会社設立し、現在に至る。

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