見出し画像

〔浜魂アーカイブ〕第5回ハマコン開催レポート(2015/12/30掲載)

<「浜魂」公式サイトアーカイブ>
※本記事は、「浜魂」公式サイトに掲載されていたものです。
肩書・内容は掲載当時のものとなります。

2015年、今年最後のハマコンが12月26日にいわきPITで開催されました。ついにハマコンも第5回目、毎回個性的なプレゼンターに登場頂いていますが、今回の4人は、いずれも震災復興に関わってきた方々でもあります。現場での経験、そして様々な出会いに触発され「浜通りをもっとよくしたい」という思いを持った皆さん。それぞれの熱いプレゼンをこちらで振り返ります。


―いわきからトライセクターリーダーを発信したい

1組目の登壇者は、いわき市小名浜出身の大学生、櫻井翔太さん。トライセクターリーダーとは、「行政」「企業」「非営利」という3つのセクションを超えて地域に対するプロジェクト推進できるような人材のことを指しますが、様々な問題に直面する浜通りで、特に大学生を中心にしたトライセクターリーダーを生み出し、地元に役立てたいと言うことでハマコン参戦です。

なぜ大学生かといえば、大学生はそれぞれの「専攻」や「専門」を持っていて、しかも若くて自由であるから。横の連携が保てれば、得た知識や経験をシェアし合い、トライセクターリーダーの「チーム」としての力も発揮できそうです。まずは第1段階として大学生を招いていわきでスタディツアーを行い、現状を学びながら、学生同士のつながりを作りたいと言うことでした。大学生トライセクターリーダー、期待大です。

大学生らしく溌剌としたプレゼンをしてくれた櫻井さん。彼もまたこれからのいわきを背負って立つリーダーになってくれるはず。

―浜通りメソッドを作りたい

2人目のプレゼンターは、いわき市で双葉から避難してきている被災者の支援をしている小野綾子さん。仮設住宅などを中心に支援活動している小野さんですが、いつも浜通りの人たちの前向きさに元気をもらっていると語ります。同じように、復興支援に関わる友人たちも「浜通りに来てから自分も元気になった」と語っているそう。「浜通りには、人を元気にするパワーがあるんじゃないか」と小野さんは訴えます。

そこで小野さんが考えたのが、浜通りの人たちのハッピーパワーのメソッドを作りたいということ。小野さんは、「逆境を乗り越えてきた浜通りの人たちのメソッドは、世界に活かせるはず」と強く訴えます。そのメソッドをどう集め、どう体系化していくのか、その手法についてのアイデアをハマコンで集めたいと言うことでした。浜通りだからこそのハッピー。そこには確かなパワーが感じられます。

福島に来てなければ地域のことを考えることなんてなかったと語る小野さん。だからこその「浜通りメソッド」。

―町民をつなぐ写真アプリを作りたい

浪江町でタブレット事業を推進している吉永隆之さんが3人目のプレゼンター。10年勤めた民間企業を辞め、現在は浪江町役場で働く吉永さん。これまで、浪江町民向けに6500台のタブレットを配布し、町の情報を発信するとともに、町民の絆を維持するためのアプリ開発などに取り組んでいます。吉永さんが目下注目しているのが「写真」と「コミュニティ」と「アプリ」の融合です。

吉永さんが関わりのある鎌倉市では「鎌倉今昔写真」というイベントが行われており、古い写真と現在の写真をデジタル技術で繋ぎ合わせたり、さまざまなアクションが生まれているそう。そこで吉永さんは、どのようなアプリなら必要とされるか、若者を集めるにはどうしたらいいか考えたいとプレゼン。具体的に「来年3月リリース」という目標もあったため、ブレストもプレゼンも大変活性化しました。

一般企業での栄達を捨てて被災地に飛び込んだ吉永さん。その言葉には思い説得力と、何より「行動力」の強さが感じられました。

—いわきを応援するチームを作りたい

最後のプレゼンターは、いわき万本桜プロジェクトで草刈り男子チームのリーダーを務める坂本雅彦さん。これまで、万本桜以外にも様々な震災ボランティアに参加してきた坂本さんですが、ボランティアの敷居が高さ、市内の盛り上がりの行き詰まりなども感じているそうです。そこでプレゼンしたのが、ボランティアではなく「応援チーム」を作りたいということ。もっと参加しやすい環境を作りたいというわけです。

坂本さん自身、ボランティアによって様々な出会いに恵まれ、経験や知識を得ることができ、生活が楽しくなったと感じているそうです。そうしたボランティアの効能を、もっとたくさんの人たちに味わってもらえたら、いわきがもっと元気になるのではないか。坂本さんはそう考えています。ブレストでも様々な意見が寄せられ、坂本さんも手応えを感じたようです。いわき応援チーム、こちらも楽しみです。

いわきを愛する心が強く感じられた坂本さん。ボランティアを「地域サークル化」して、地域に活力をもたらしたいと語ります。

今回のハマコンは、「震災復興」に関わる方たちのプレゼンが多かったのが特徴的でした。皆さんに共通するのが、「震災復興に関わることで得られる知見や経験、そして人のつながりを、もっと地域に役立てたい」ということ。浜通りは「課題先進地区」と呼ばれていますが、問題が根深いだけに、それを解決するためのアイデアや熱意が集積しているわけです。それを如実に感じるハマコンとなりました。

また、今回は大学生の櫻井さんから提案された「トライセクターリーダー」の重要さについても考えさせられる会となりました。ハマコンそのものが、企業、行政、非営利の立場を超えた「場」を作りたいと始まったものだからです。もはや、日本の問題は「どこか1つ」のセクションだけで解決できるものではありません。ハマコンも、トライセクターリーダーがどんどん繋がるようなイベントにしていきたいと思います。

ブレストでは「異なる立場からの意見」が寄せられ、それがプレゼン内容にさまざまな角度から光を当てることに繋がります。
プレゼンターとして参加することよりも、むしろ継続して「ブレスト」に参加することで、アイデアをまとめあげるプロセスを学ぶこともできます。
今回の懇親会では「ビールサーバー」が登場! 熱く語り尽くした後のビールは最高です。

さて、次回のハマコンは1月28日木曜日の開催です。18時半の会場となります。ぜひ皆さまふるってご参加頂き、ブレストでバシバシご意見をお寄せ下さい。ちょっと雰囲気を見てみたい、懇親会のほうがむしろ参加したい…そんな方も大歓迎です!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?