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Hornet600 再びその2

後日、バイク量販店に輸送されたHornet600の故障の原因を教えてもらった。
電気系のトラブルでバッテリーの充電ができなくなっているとのこと。
要するに壊れた部品交換が必要だということだった。

中古車なので当たりはずれの話になると思うが、約25年(四半世紀)前のバイクなのだから致し方ないと言ったところだろう。
むしろ、よく持った方だと思う。
その部品交換から1年近くになるが、ノントラブルである。

何故このバイクを再び手に入れたのか?
という理由を今回は掘り下げていこうと思う。

実は3年前の2021年のこと。
当時大阪に住んでいた家のお隣さんが、バイクをしょっちゅう乗り回している自分に刺激を受けていたらしく、大型自動二輪免許を取得した。

まだ彼は若く(30代前半?)て、レンタルバイクで大型バイクの楽しみを味わい始めていた。
そして、意を決して奥さんを説得し、いよいよ大型バイクのオーナーになった。
YAMAHAの800ccの3気筒エンジンを積んだモデルだった。

そして顔を合わせるたびに、「一緒に走りに行きましょう」と誘ってくれた。
手に入れたバイクを、結構な距離を短い期間で走り込んでいたようで、それなりに自信がつき始めた頃に、一緒に走りに行くことになった。

目的地は奈良県の十津川(とつかわ) R168号線 ちょうど良いツーリングコースだ。
その前に富田林(とんだばやし)にある行きつけのバイクショップによることにした。
バラされたフレームだけの状態から、仕上げられていく一台だけのカスタムバイクを初めて見ていた彼は、興奮しまくりだった。

熱も冷めぬうちに、十津川に向けて出発した。
街中では気が付かなかったが、アップダウンがある山道に入ると、あまり慣れていないらしく、彼の姿が見えなくなっていった。
本当はこのあたりで気がつかなければいけなかった。

楽しかったとき

目的地の十津川に着いて、もう少し南下した場所にあったカレー屋で昼食をとり、それで素直に帰路に着くべきだった。
完全に自分が『距離馬鹿』だという自覚を忘れていた。
本人は気合いでなんとかなるなんて思っていたもんだから、尚更だ。

調子に乗って高野龍神スカイラインに向かうことにした。
南下して和歌山経由で龍神スカイラインに北上して向かうのだが、これが本当に酷道(ひどい道)。
台風の影響で、通行止めになっている道もあるし、通れても狭いわ、アップダウンが激しいわ、コーナーはヘアピンばかりだわで、完全に初心者が走るようなコースではないことに、着いてから思い出した。

やっぱりやめて引き返そうと諭したが、本人は行く気満々でモチベーションががっちりハマってしまっている。
自分のバイクもエンジンの1番ピストンが時々沈黙してしまうので、眠らないようにある程度のペースで走らなければならない。
先に進んで、後方の彼の姿を確認できなくなったら待つ。
というようなことを繰り返して、なんとか龍神スカイラインの展望台まで辿り着いたところまでは良かったのだが・・・

その後日が暮れて、終いには雨が降ってきてしまった。
そして標高が高いので、寒い。
天国から地獄に切り替わってしまった。

そしてひたすら暗いカーブだらけの下りの山道を走ることになってしまった。
しかし、これがバイクで走るということだ。
だが、初心者にはまず楽しいままにしておくべきだった。

手加減なしの雨の中、彼は気合いが足りないんだと何度も繰り返して、ゆっくりだけど確実について来る。

最後はようやく着いた高速道路から大阪まで帰ったが、自分のバイクの調子が悪すぎるので先に帰らせてもらった。

その後、しばらくして彼から連絡があった。
「あのバイクは,手放しました。」と。
さらには、クロスカブに切り替えたとのことだった。

せっかく、大型バイクに乗れるようになったのに、原付2にすることはないではないか?
やはり、あの件でトラウマにしてしまったのだろうか?

次にそんな機会があれば、もう二度とそんなことがないように、Hornet600を貸してあげよう!
何故なら、どんだけ乗りやすくて初心者に優しいか知っているから!

過去の自分をもっと思い出さなければいけない。



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