人事評価の穴_華やかな経歴


面接を担当していると絵に描いたような華やかな経歴の方に出会うことがあります。経歴自体は真実だと思いますが、その方が自社に必要かどうかというと、これは別問題です。


前提として

正直、雇用後一緒に働いてみないと、その人が本当に自社に合っているのかも、いいパフォーマンスをしてくれるのかも分からないものです。

ある程度の業務の仕組みが整っていて、やるべきこともそれに必要な能力もおおよそ定まっている、という状況であれば、雇用後開けてびっくり!という事態は起きにくいです。
思ったより微妙だった場合でも、一定レベルのパフォーマンスの枠内には収まってくれる可能性が高いです。

ですが、スタートアップにおいて期待したパフォーマンスが出ない場合、異動先のポジションがないことも多いですので、この人どうするの?という状況になりがちです。

可能であれば雇用後一定の試用期間を有効にできる算段を持っておきたいものですが、いろいろな事情で難しい場合もありますので、やはりまずは面接時点である程度見極める術は持っておきたい、見極めには限界があってもせめて、急いてことを仕損じる事態は避けられるようにしておきたいところと思います。

穴は?

なんかすごい、と思ったときに一瞬思考停止してしまうことってあると思いますが、それが穴になりえます。

華やかな職務経歴書は、本当にきらびやかです。
有名な大学や有名な会社・組織の名前が書いてあって、なんだかグローバルな業務内容が書いてあって、すごく多岐に渡る業務の経験があるように見えます。

実際そういう学校や職場に所属し、実際そういう業務に関わった経験があることは間違いないと思うのですが、面接で必要な情報はそういうきらきらした「所属情報」ではなく、実際その人が何をしてきたかだけです。

有名な学校や職場にいたことはその時点では特に仕事の能力を保証しませんし、業務への関わり方を確認するまでは記載されている経験が自社に役立つかどうかは判断できません。

そういうことは分かっていると思うのですが、しかし、華やかな経歴書を目にすると、その判断しえないもので判断してしまうということが起こることがあります。

対処法

けっこう贅沢な希望を持っていることを自覚する

スタートアップで人を雇おうとする場合、会社側はけっこう贅沢な希望を持っていて、しかも無自覚なことがあります。

例えば、バックオフィス担当であれば、経理も労務もできて、できれば法務や総務系も経験があって、制度構築にも意欲的で、さらに自ら動けるタイプの人急募、とか。
いるとは思います。が、相当少ないです。
後々マネジメントもできるタイプ、となるとさらに少なくなります。

ですから本当は、一気に色々求めるのではなく、外注なども上手に活用しつつ採用を進める方がよいことも多いのですが、とはいえ実際のところ、スタートアップのバックオフィスにほしい人って本当にそういう人でもあるのです。
しかも、一つ一つの条件を見ていると別にそんなに贅沢でもないのです。
だから、いる気がします。
いる気がするから、ちょっと豪華な経歴を見たときに「この人なら!」と思考がひっぱられてしまう、ということが起こり得ます。

でも、繰り返しますが本当にそういう人材はそれほど世の中に多くいません。
ですのでまずは「そんな人はそんなにいない」ということを念頭に置くことは一定有効かと思います。

大きな組織とスタートアップでは向く能力が違うことを自覚する

スタートアップでは多岐に渡る業務をすることが求められます。
求人内容が「経理」であったとしても、そして会社側も経理をやってもらうつもりであったとしても、ほぼ絶対に経理だけに専念することはできない状況になると思います。
そのあたりを許容できる、というよりむしろ歓迎するマインドセットを持つ人が向くのがスタートアップかと思います。

一方、大きな組織では、決められた業務を決められた手順で業務範囲を守って遂行することを求められることが多いようです。
実際、上場企業からスタートアップ転職した方に他の業務をお願いしようとすると「業務範囲として聞いていないのでやれません」という話になってちょっとしたことも頼みにくい、ということは割とよく起こります。

また、そういった方は上場企業の給与水準で交渉して入ってくるため給与が高め設定の場合もままあるのですが、にも拘らず、基本的に手伝わない姿勢の場合はいろいろ軋轢を生みがち、というのも一度ならず目にしています。

もちろんすべての方がそうというわけではありませんが、そもそも仕事の概念が結構違う、というのは念頭に置いておくと面接時に自社に合うかどうかの判断をうっかり誤る可能性は回避できると思います。



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