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(第四話-①)ハルとアキの異世界シビクハン王国


第四話-①『ウィンターとアキと......ハル?』

あれから1年が経過した昼下がりの午後の陽気、ハルの家にウィンター姫が、誰もいないリビングの一室でハルとアキが帰って来るのを待っていた。

「ただいま。」と、ハルが帰って来た。

ハルは、玄関から靴を脱ぎ自分の部屋に入った。
30分経過してもハルは、部屋から出て来ない。

「ただいまー。」と、玄関から元気な声が聞こえた。アキである。

アキは、部活から帰って来て疲れていた。

「ただいまぁ〜、はぁ〜、つかれたぁ〜。」と、アキはいつもの様に玄関から靴を脱ぎ制服を着たそのままリビングへと流れて入って行った。
入ったすぐに、ウィンター姫が座っていた。

「おかえりなさい、アキ。久しぶりね。フフッ❤️」

少し広めのリビングに脚の短い4人掛けの机があり、ウィンター姫は上座に腰掛けて座ってアキに向かって挨拶をした。

「えぇぇ〜。何でぇ?。何でウィンターがウチのリビングに居てるの?。」

アキは、リビングのドアを開けてはウィンター姫の近くに寄り添って尋ねた。

「アキとハルが帰ってからお父様と一緒にリートヌア王国を一から再建に務めて参りました。そして丁度1年が経ち、王国の再建もひと段落着いたのでお父様からお許しを得てアキ達のいる世界へと参ったのです。」

ウィンター姫は、アキ達が自分たちの世界に帰ってからのリートヌア王国の事、王国の民との触れ合いを話し談笑した。
アキも嬉しくなり、自分やハルの事、学校の事など話し、ウィンター姫と一緒にリビングで過ごした。

「何時までこっちの世界に過ごせるの?。」と、アキはウィンター姫に聞いてみた。

「期限は決めてないの。王国から使者が来る予定なの。それまではアキやハルと一緒に生活を共に出来るわ。」
「キャーやったー❤️」

アキはウィンターと一緒に過ごせる事に嬉しさのあまり、ハグをした。ウィンターも、アキの突然のハグに感情が一気に上がり、嬉しい気持ちで強くハグを返した。
ウィンターの潤んだ瞳から少し涙が溢れ、頬にスーと一筋の涙が流れた。

ウィンターがハッと赤らめた顔を、アキは見逃さなかった。

「キャー、可愛いよぉー❤️ウィンターの顔赤くなって可愛いよぉ❤️」と、あきはウィンターをもう一度強くハグをした。

そこへ宿題を終えたハルがリビングへと入って来た。ドアを開くと、ウィンターと目と目が合った。ハルは、顔を天井に上げて目を逸らした。ウィンターは、ハルと目が合った瞬間照れくさそうな顔をしたが、我に返りアキとすぐに距離を置いた。

「ウィンター、どうしたの?痛かった?。」

アキは、突然自分を突き放したウィンターが怒った様に見えたが、後ろを振り返るとハルが立っているのを見つけた。

「ハル、宿題終わったんだ。早かったね。そうだハル、ウィンターが居るんだよ。リトーヌア王国からウィンターが来たんだよ❤️」
「うっ…うん。よく来たね。」

ハルは、照れくさそうにウィンターにあいさつをした。

「ハルも元気そうで良かったです。」

ウィンター姫は、ハルにニコッと笑顔であいさつを返した。
ハルは、ウィンター姫の笑顔をチラッと見ては、顔を赤くして天井に顔を向けて目線を避けた。
アキは、その2人のやり取りを見ては、「3人分のお茶取って来るね。」と、一言言ってリビングを抜けてキッチンの方に向かった。

アキがキッチンへ行っている間、ハルとウィンター姫は、目と目が合うものの一言も話をせず数分間、時間は流れた。
アキが3人分のお茶を持って来た。

「ウィンターも、お茶は大好きだよね?。ハルもお茶で良いよね?。」
「大好きですよ。」
「良いよ。」

お互い、アキに対して素っ気ない返事をした。
するとそこへ、ハルとアキの母親がリビングへ入って来た。

「ハル、アキ、おかえりなさい。……そちらに座っていらっしゃる外国の方は、誰なの?。」
「あぁ〜、えぇ〜と……。」
「クラスの留学生で名前がウィンターさんって言うの。ウィンターさんの学校の課外授業の一環としてホームステイを体験して一緒に文化を学ぶっていう科目があって、それでウチに招いた訳で💦………。」

アキは、デタラメな事を言って母の反応を伺った。

「そうなの。別に構わないけど、あまり騒がない様にね。近所の顔があるんですから。」と、母はアキとハルに注意をしてリビングを後にした。

「ドキドキしたぁ。急にお母さんが入ってくるもん。焦っちゃって何を言ったか自分でもわからなくなったよ。ウィンター、急に驚かせてごめんね。」
「私は、全然大丈夫ですよ。ハルが1番驚いていましたけど……。」
「ホントにアキは……。よくあんなデタラメな事をお母さんに言えたよな。もし、嘘がお母さんにバレていたら、アキはどうしていたんだよ。」
「別に構わないけどって言っていたから、大丈夫だよ。お母さん、優しいから。」

アキは、『お母さん、優しいから』とサラッと言って話を流した。続けてアキはウィンターに話かけた。

「明日、午前中、部活だから帰って来てから一緒に買い物に行こうよ。」
「それは良いアイデアですね。ハルは、どうしますか?。」
「僕は、行かない。」
「そうですか……。」
「じゃ、ハルは家で留守番よろしくねぇ。ウィンター、私の部屋に来て。」

アキはウィンターの手を取り、自分の部屋へと一緒に向かった。
ハルは、1人ぼっちでテレビを付けて、ボーとテレビ番組を見始めた。

アキとウィンターは、アキの部屋へと入った。
アキは、制服をすぐに脱ぎ出し、クローゼットから自分のスエットを取り出しては、瞬く間に着替えを済ませた。
ウィンターは、その数分間のアキの行動を目を丸くして追いかけていた。

「ウィンターもラフな格好に着替えようよ。私の服貸してあげるから。」
「アキの服貸してくれるの。とても嬉しいです。」
「でも、ウィンターは背が高くてスタイルが良いから私の服が合うかな💦」
「う〜ん💦」
「お母さんの服、借りてこよう。」

アキは、サッと自分の部屋を出てお母さんの部屋へと行った。
5分もしない間にアキは、自分の部屋へと戻って来た。

「ウィンター、これ着てみて。似合うと思うけど。」

アキは、お母さんの部屋からキャミソールとランニング用の半パンをウィンターに着替えさせ、アキはテンションが上がった。

「めちゃくちゃ似合ってるよ。可愛い❤️」
「そうですか……。確かにこの衣装だと身軽だし素早い動きが出来て、とても良いわ。」
「う〜ん。ありがとう。」

少し視点のズレたコメントをしたウィンターに対して、アキは少し苦笑いでやり過ごした。

「じゃ、一緒にベットに入って寝よ。」
「そうですね。寝ましょう。」

アキは、細やかな学校での出来事やクラスメートとテレビ番組の話などアキの世間話はウィンターにとってとても貴重な時間が流れた。
ウィンターも、ハルとアキと別れてからのリトヌーア王国の街やお城の王様の話やあまり話が上手くないウィンターだが、アキには、とても貴重な時間が流れた。

2人だけの大切で美しい時間が流れた。
すると突然、アキがウィンターにハルの事について話はじめた。

「ウィンター、ハルの事好きだよね?」
「好きですよ。人として。」
「なんだぁ、そうなんだぁ」

ウィンターは、微笑みながらアキに答えた。
アキは、ウィンターの返事に対して少しつまらなかった。

「アキ、おやすみなさい。」
「おやすみなさい。」

〜早朝〜

目覚まし時計が鳴り出した。
アキは、ベットの横にある時計のアラームを薄目の半分寝ぼけた状態で消した。

「う〜ん」

アキは、起きたもののベッドから出てこないまま、スマホを触り出し時間を確認した。

「えぇぇぇ〜」

スマホの画面には、8:00の表示。
アキは慌ててベッドから飛び出てジャージに着替えて、一階へ階段を降りて行った。
アキは、そのままリビングへは寄らずに玄関へ行き、学校へと向かって行った。

ウィンターは、ハルとお母さんと一緒にリビングでお茶を飲んでいた。

「私、これからパートだからハル、ウィンターさんとお留守番してね。じゃ行ってきます。」

お母さんは、小さなカバンを持って外へと出掛けた。

リビングには、ハルとウィンターと2人きりになった。

#陽向  未

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