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不顕性誤嚥に対して咳を誘発CiTA

不顕性誤嚥に対して酒石酸ネブライザーで咳を誘発する方法
Cough-Inducing Method Using a Tartaric Acid Nebulizer (CiTA:シータ)

咳テストに用いる酒石酸などを咳のスクリーニングではなく、咳を誘発するために用いる方法で、臨床的にはとても有効です!

少し前に私たちの取り組みを論文化したもの(Dysphagia, 2022)ですが、当時COVID-19感染拡大もあり「咳を誘発するなんてとんでもない!」という状況で紹介しにくかったのですが笑、嚥下に関わる医療スタッフの皆さんにはぜひご紹介したいと思っていました。
https://link.springer.com/article/10.1007/s00455-021-10313-4

嚥下造影検査の時に誤嚥してもむせない患者さんや、誤嚥して「咳してください!!」といっても、認知症や高次脳機能障害があって指示に従えない人(咳ができない人)、特に高齢者でよく遭遇すると思います。鼻や口から吸引するのは、患者さんも吸引する方(医療者)も大変ですよね。

この方法はネブライザーを使って、咳を誘発するとても簡単な方法です。咳テストとしても用いられる10%クエン酸を噴霧して、咳を誘発します。

私たちは以前から嚥下造影検査室に常備して、普段から使用しています。誤嚥して喀出できない時、その場ですぐ使います。入院や外来の食事場面やSTの訓練場面でも使っています。外来なら、酢酸などでも代用可。

食事の途中や最後にネブライザーを行うと、不顕性誤嚥などがあっても誤嚥物を喀出できます。検査で咽頭残留や不顕性誤嚥があったからといって、毎回吸引するのは、吸引する医療者(看護師など)や家族も大変ですよね。吸引負担も随分軽減します。

嚥下造影を行ったときに、咳が出来なかったり、吸引チューブが気管内まで届かなかったり、患者さんが吸引を嫌がって暴れてしまったりして、大変な思いをすることもあります。そんなときにこの酒石酸ネブライザー置いとけば良かったなあと思った経験もあります。

今回、摂食嚥下リハビリテーション学会の優秀論文にも選んで頂けたとのことでとても嬉しく思います。
患者さんにすぐ役立つこの方法は、広まると良いなあと思います。

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