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トラウトミノーのコーティング

 バルサ製のルアーと違って、コーティングがなくてもルアーとしての強度は十分です。
 それでもコーティングを行う理由は、貼ったアルミの保護と、塗装の強化です。
 素材の透明度と屈折率の関係で、ウレタンでコーティングした方が見た目は美しくなります。しかし、ウレタンは層状に固まるので、各層が分離しやすく、これを防ぐためには一手間必要になります。
 また、一液式のウレタンは、開封後は空気中の水分と反応して固まっていきますので、長期間の保存が困難です。趣味でルアーを作る人は、そんなに大量に使うことができませんので、使い切る前に瓶の中で固まってしまいます。
 二液式のウレタンは使い勝手が悪いのでちょっと難しいと思います。
 
 そこで選択肢として残るのはセルロースセメント(ニトロセルロース)です。
 これもメーカーによってかなり違いがあります。硬いとコーティング後に割れます。薄め過ぎても割れます。見た目の光沢も違います。
 藤倉応用化工株式会社さんのセルロースセメント HY-110Dはおすすめです。そのままでもちょうど良い粘性ですが、少しだけ薄めた方が使いやすいかもしれません。また、使用しているうちに少しずつ溶剤が揮発して濃くなってきますので、薄め液として同社の#300ラッカーシンナーも買っておいた方がいいです。
 エアブラシで塗る時も、このシンナーでMr.カラーを溶いた方が食いつきが良いように感じます。
 夏の気温が高くて湿度も高い時期は、コーティングが乾燥時に白濁します。これを防ぐためにアノンという白濁防止剤もあります。
 白濁してしまっても、シンナーを筆で薄く塗ってやればすぐ綺麗な透明に戻りますので、アノンはなくても良いかもしれません。
 
 リップ側のアイにワイヤーを曲げて作ったフックを掛けて、セルロースセメントにドブ漬けします。リップが長いルアーには長いフックをつかいます。上を絞っておいた方が、ワイヤーに吊り下げた時に安定します。

吊り下げ用のフック

 表面張力の関係で、なるべくゆっくり引き上げた方が薄く綺麗にコーティングできます。
 リップがあるルアーの場合、全部リップが上、お尻がを下でコーティングしても大丈夫です。全部で6回コーティングしますが最初の2回はリップもドブ漬けします。残りの4回はリップの根元までコーティングします。リップのエッジがルアーの動きのキレに直結しますので、ここはなるべくコーティングしたくないところです。とは言え、コーティングが薄い分強度は落ちますので、6回ともリップまでコーティングするのも有りですし、リップを下にしてさらにリップに強度を持たせるのも有りです。

 段ボールの箱にワイヤーを通して作った乾燥ボックスに吊り下げて、乾燥させます。段ボールで作れば、汚くなった時にワイヤーだけ外して燃えるゴミに出せると思ってるのですが、結局10年以上使い続けてます。

吊り下げ乾燥用段ボール箱
セルロースのついたゴミも落ちてるので汚い

 気温にもよりますが、2時間くらいで触れるくらいになります。カチカチに固まってからだと、アイに溜まったコーティングを取り除くのが困難になりますので、ほどほどに固まった時に取ってしまったほうが良いです。

 トラウトミノーの場合、とある理由から、2回コーティングした後一気に塗装を終えて、その後さらに4回コーティングします。

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