図書館で見つけた「情報」の本たち

コンピュータのしくみ 情報活用能力とは何かを考える

1冊目の本は、佐藤一郎『コンピュータのしくみ 情報活用能力とは何かを考える』である。図書館の分類番号は007.6である。

著者の佐藤一郎は日本のコンピュータサイエンス研究者である。

この本は、2020年度から始まった新学習指導要領における小中学校のプログラミングの必修化を踏まえて、企画されたComputer and Web Sciences Library の一冊である。コンピュータがどのようなしくみで、どのように使われているかを解説している。

エレベータを例に機械を制御するためのコンピュータについて図を使いながら解説している部分があった。

コラムには、エレベータの制御そのものは古いエレベータも新しいエレベータも大きな違いはないということが書かれていた。

4章には著作権の問題などの情報モラルの解説も書かれていた。


コンピュータにかわいいを学習させたら何が起きたか だれも教えてくれなかったビッグデータ分析のノウハウ

2冊目は、遠山功『コンピュータにかわいいを学習させたら何が起きたか だれも教えてくれなかったビッグデータ分析のノウハウ』である。図書館の分類番号は007.609である。

著者の遠山功は、2005年有限会社アイウェイズを設立し、現在は代表取締役CEOである。また、2013年より東京電機大学非常勤講師を務めている。

この本は、ビッグデータの分析とマネジメントの高度な統合について、さまざまな実例を紹介しながら解説している。

前書きの部分で「コンピュータにかわいいを学習させたら何が起こるか」の答えが書かれていた。ビッグデータとは「かわいい」を学習させるなどして作り出すことができるそうだ。

「コンピュータにかわいいを学習させたら」何が起きたか。答えは「モノ作りが根本から変わり、経営改革が大きく進んだ」ですが、もちろん、かわいいを学んだだけでそうなったわけではありません。かわいいという感覚を数値化して、ビジネスのデータと融合させることによって新しいビジネスの手法が生まれ、そこで収益が改善していったと、いくつもの段階があります。日々、等比級数的に増え続けるデータのことをビッグデータと呼び広く注目を浴びるようになっていますが、ビッグデータとは「そこにあるもの」だけでなく、「かわいい」を学習させるなどして作り出すこともできるのです。

003ページより

私がこの本の中で印象に残った部分を紹介しよう。第4章の「私たちはこうやってデータ分析で企業の問題を解決してきた」で書かれているひとつの事例だ。大手機械メーカーF社のばらばらのデータをつないで10時間の作業を10分に短縮するという事例である。

なぜ10時間かかったものが10分以内になるのか。ポイントはデータの管理方法にあります。
10時間かかる理由は、部品の流れが製造工程それぞれの時点でしか管理されていなかったからです。

129~131ページより

不良の原因はその場で分からないこともあります。そうなると、不良品に使われたすべての構成部品を源流までさかのぼり(トレースパックと呼ばれます)、その同じ製造ロットの部品が使われた服下流、最終製品まで下っていく(トレースフォワード)ためのデータをあらかじめ準備しておく必要が出てきます。単純化して、一工程で3つの部品を使って次の工程に渡されるとします。その場合、10工程あるとすると、データをさかのぼるだけで3の9乗で1万9683のルートが存在します。いかに膨大かが分かるでしょうか。これを人間が行うと、仮にデータがコンピュータ管理されていたとしても、10時間くらいかかってしまうのです。
 この問題を解決するために、各製造工程を通過するごとに、部品それぞれに源流までの各段階のロット番号を「先祖データ」として付けていくようにシステムを設計しました。こうすれば、不具合が発生した製品の部品をクリック一つで追いかけられるようになります。10時間を10分以内に短縮できるからくりです。

131~133ページより

いかにコンピュータが優秀かがこの部分から分かる事例だろう。

情報リテラシー 第4版

3冊目は、徳野淳子・山川修・田中武之『情報リテラシー 第4版』である。図書館の分類番号は007.6である。

著者の徳野淳子、山川修、田中武之は福井県立大学の准教授である。

この本は工学や情報を専門としない学生向けに広い意味での情報リテラシーの修得を目的に情報教育用教材として書かれたものである。

本書の第3版までは、情報リテラシーを社会的側面と技術的側面よ2部構成だったが、第4版ではこれに加えて第8章に「人工知能(AI)とデータサイエンス」を設けたそうだ。

本書の第3版までは、情報リテラシーを社会的側面と技術的側面の2部構成に分け、前者では、ネットワークを利用する際の注意やマナーを養う「ネットワークリテラシー」、メディアから得られた情報を評価する「メディアリテラシー」を、後者では、「コンピュータリテラシー」を扱ってきた.第4版においても、この三つのリテラシーを修得するという基本的な目的を受け継ぎつつ、新たな社会における情報リテラシーとして、第8章に「人工知能(AI)とデータサイエンス」を設けた。また、ネットワークリテラシーを情報倫理と情報セキュリティに改め、情報を扱ううえでの留意事項等を追加している。このほか、技術的側面を「パソコンの管理」と「アルゴリズムとプログラミング」の視点から説明するなど、第3版から構成を変更した。

1ページより

第8章でAIの自然言語処理について書かれている部分がある。2022年に発行されたこの本にはチャットボットという言葉が書かれている。ChatGPTと似ているが少し違うものだ。

自然言語処理の分野では、DeepLなどの翻訳システムにAIが利用されている。従来の論理的に訳していた方法に比べると、膨大な例文を学習したAIでは、翻訳が自然になっていることを体感された方も多いだろう。また、人間の質問に対してAIが自然言語で答えるチャットボットとよばれるサービスにもAIが使われている。とくに、製品の使い方をチャットで問い合わせるサービスでは、チャットボットが対応しているものもあるようだ。

127ページより

日本語対応のChatGPTが始まったのは2023年である。このことから2022年から今まででAIが進化しているということがわかった。

まとめ

以上、この記事では3冊の「情報」をテーマにした本を紹介した。どれも専門的なことを分かりやすく解説している本だった。

今の時代、コンピュータに触れないことの方が多いだろうから、このような本を読んでいて損はないと思った。

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