「鏡人 AOI」企画書

キャッチコピー:

鏡をのぞくとき、鏡もまたこちらをのぞいている。
これは、鏡写しの二人の物語。

あらすじ:

芸能界を引退し、ファッションインフルエンサーとして活躍する月島葵ことAOI

ある日、ビジネスパートナーの高校生笠松昌三から依頼を受けたAOIは、
ムツキという謎の女性と出会う。

交流を続けるうちに親しくなるAOIとムツキ。
しかしAOIをつけ狙う謎の勢力の魔の手が、静かに近づいていた。

3人の運命が交差する時、
AOIの常人ならざる秘密が明らかになる。

第1話のストーリー:

元チャイドルの「月島葵(14)」は芸能界を引退してから2年後、
フリーのファッションインフルエンサー「AOI」として名をはせていた。

彼女の特徴の一つが、都内の様々な場所に現れる神出鬼没性。

渋谷のスクランブル交差点や原宿の表参道など、
人通りの激しい場所に突然現れ、パルクールやブレイクダンスの要素を
取り入れたパフォーマンスを行う。

飛んだり跳ねたりしながら通行人をよけつつ、
通りをスイスイと進んでいく彼女に、観衆は思わずスマホを向けてしまう。

そして彼等は、画面に移る彼女の姿が、先刻見たときと変化しているのに気付く。
彼女は瞬時にヘアスタイルやファッションを変えることが出来るのだ。

この奔放で変幻自在なAOIの存在が、各メディアから大注目を受ける。
彼女がドローンで撮影した映像も相まって、SNSもバズる一方であった。


ある日のこと。
AOIは「笠松昌三(16)」から、『自分の知り合いに会ってほしい』という
依頼を受ける。
※彼はAOIが雇っている高校生で、ドローンのメンテナンスや
 動画作成などを担当していた。

笠松に呼ばれて現れたのは、AOIより2つ年上の少女「ムツキ(16)」。
顔が見えないほど目深にかぶったキャスケットが特徴的な彼女は、
笠松の小学校の同級生だが、中学時代に引きこもりになってしまった。

『彼女の社会復帰を助けてほしい』と依頼する笠松。
一方、ムツキは笠松の後ろに恥ずかしそうに隠れている。

引っ込み思案な人が苦手なAOIは彼の依頼を断ろうとしたが、
ムツキが買ってきた大好物のブーベリーマフィンによって
あっさり承諾してしまう。


人に気付かれない恰好で街を歩くAOIとムツキ。

ムツキはAOIに話しかける勇気がなく、
ただもじもじしながら彼女の後をついていくだけである。

しびれを切らしたAOIは一気に距離を詰めるため、ムツキを無理やり
お姫様抱っこし、自慢のパルクール技を披露。

塀や垣根やビルを自由自在に飛び移るAOIの傍で、
怖くて叫びっぱなしのムツキ。
AOIが歩を止めると、彼女はその場にへたりこんでしまう。

そのへなちょこぶりに思わず笑うAOIに、
むきになって怒るムツキ。

二人の間が少しずつ縮まっていく。


一方、笠松はAOIとムツキと別れた後、謎の黒スーツの集団に拉致され、
とあるビルに連行されていた。

笠松は自分を拉致した「反町(40)」という男から、AOIが普通の人間とは異なる存在であることを知る。

第2話以降のストーリー:

世界的スマホメーカーの会社員と名乗った反町は、笠松のPCからドローンを起動させ、街に隠れたAOIを見つけようとする。

反町の目的、それはAOIの持つスマホである。

AOIが瞬時に衣装を変えることが出来るのは、彼女のスマホのおかげだった。
スマホの中に保存していた写真と現実のAOIを重ねてシャッターを押せば、
AOIは瞬間的に写真の衣装に変化することが出来るのだ。

反町は『自分がスマホの開発者であり、AOIは開発途上で生まれた副産物である』と笠松に語る


先程のお詫びにAOIからおごってもらったクレープを、ちまちまと
食べるムツキ。
そんな彼女の小動物的な可愛さを写真に収めようと、スマホを向けるAOIだったが、ムツキはそれを激しく制止する。

『写真に写すほど自分には価値がない』と語るムツキ。
『自分に自信が持てず、自分自身が偽物のように思う』
という彼女の話に、AOIは過去の自分を重ねていた。

AOIもまた、チャイドル時代には大人たちに強制されたキャラクターを
演じ、『自分が本当の自分ではないという感覚』に襲われていたのだ。

『本心に蓋をしていた自分自身と決別したから、今の私がある。だから
 過去の自分と決別しよう』とムツキを励ますAOI。

その言葉に肩を落としたムツキに気付くこともなく、
AOIはムツキの腕を引っ張り、ショッピングへと繰り出していく。


笠松にAOIのスマホの仕組みを説明する反町。

あのスマホのレンズは、さるいわくつきのカメラを改良したもので、
そのカメラは被写体と鏡写しのものを現実に作り出したり消したりすることが出来た。

それは人間も同様に作り出せるが、写真を撮られた人間は鏡に映らなくなってしまう。
また、作り出された人物は元の人物とはまったく異なる性格を持ち、
年をとることがない。

この、作り出された人間(鏡人)を、
「人の無意識が切り取られ、人格化した物(人もどき)」と考えた反町。

鏡人を研究することで、人間の感情を支配できると確信した彼は、
このカメラのスマホ版作成に力を注ぎ、奇跡的に試作品を完成させる。

早速試作品を試すべく、深夜の街に繰り出した反町は、
ある少女の鏡人を作ることに成功。

ところがその鏡人がスマホとともに逃走。追いかけたところを自動車にはねられ、少女の記憶を失ってしまう。

2年後、反町はあの時逃した鏡人がネットで活躍しているのを目の当たりにした。
その鏡人の正体が「AOI」である。


ムツキと一緒にショッピングを楽しむAOI。
ムツキの趣味嗜好が自分似通っているため、彼女に段々と好感を覚えたAOI。
こっそり写真が撮ろうとすると、ムツキがカメラに写らないことに気付く。

そこへ現れた反町と黒スーツの集団。
AOIを『人もどき』とののしる反町は、彼女を確保するように黒スーツへ命令する。
※彼等は反町の研究から生み出された簡易版鏡人。
 全員が同じ顔を持ち、意志を持たず、反町の命令を従順に聞くのだ。

スマホを使って外見を変化させ、黒スーツをまく二人。
監禁状態から脱走した笠松もそこへ合流する。


その時、ムツキのキャスケット帽が風に飛ばされ、
AOIと瓜二つの顔があらわになった。

ムツキの正体、それはAOIのオリジナルである、
月島葵その人であったのだ。

衝撃を受けるAOI。
ムツキ(葵)に厳しく説明を求めると、彼女の代わりに笠松が答える。

実は笠松は最初からムツキ=葵ということを気付いていた。
彼は、AOIによく似た葵を道端で偶然発見し、
彼女からこれまでの事情を聴いていたのだ。

チャイドル時代の月島葵は気分転換に深夜の街を散策していたところ、反町に写真を撮られて鏡人と分離。カメラに写らなくなった彼女は急遽芸能界を余儀なくされ、ショックを受ける。

自分が否定されたと思った葵は2年程引きこもっていたが、AOIの存在を知り、彼女に会いにきたというのだ。
そこで、笠松はAOIと出会うセッティングをし、現在に至る。

そこまで聞いたAOIは、葵の目的を
『自分が本物の月島葵だと主張し、AOIの存在を否定するつもり』だと判断。
突然の主張に、何も答えられない葵。
その反応に、AOIは自分の判断を確信する。

『今更本物ぶらないで!』と厳しい言葉を捨て台詞に、
AOIは一人その場を飛び出してしまう。


夕闇に沈む街中で、AOIを探し回る黒スーツの群れ。
笠松と葵はSNSの投稿で黒スーツたちの流れを探りだすと、彼等が
明治神宮に集まっているを発見する。


明治神宮の森の中で一人落ち込むAOI。
葵に親しさを感じていただけに、ショックをひとしお大きい。

日中に葵へ向けて話した『過去の自分と決別せよ』という自分の言葉が、彼女を傷つけていたのかもしれないと、段々後悔の念を強くする。

そこに現れた黒スーツの追手。
AOIは再び逃げ始める。


明治神宮へと到着した葵と笠松。
大量の黒スーツを陽動するべく、敵に向かって殴りかかる笠松。

その隙に、葵は明治神宮へと侵入していく。


黒スーツに捕らえられたAOI。
反町はAOIと対面し、彼女からからスマホを取り戻そうとする。

しかし彼女は笠松たちと別れた際、誤ってスマホを落としていた。
思惑が外れた反町は、AOIをひっぱたく。

そこへ到着した葵。
彼女がスマホを持っていると考えた反町は、
AOIを撮影してスマホに閉じ込めれば、再び鏡に映ることが出来ると説明。
葵に自分の人生を取り戻すことを提案する。

スマホを持って近づく葵。逃げようともがくAOI。

おもむろにスマホを遠くへ向かって投げてしまう葵。
スマホを気遣い、走りだす反町を横目に、
彼女は黒スーツに突進し、AOIを解放しようとする。

しかし再び拘束されてしまう二人。

ご立腹の反町は、葵になぜAOIを助けようとしたか尋ねる。

葵がAOIに会いたかった理由は恨みではなく、純粋なあこがれであった。

AOIの存在を偶然スマホで目にした葵は、AOIのきらびやかな姿に虜になってしまった。葵は率直な思いでAOIに会ってみたかったのだ。

黒服たちに二人を始末するよう指示する反町。

絶体絶命の二人を、二人組の謎の人影が救助する。
それは、笠松と彼の鏡人「KASAMATSU」だった。

実は本物のスマホを持っていたのは笠松だったのだ。
黒服を倒すため、手勢が欲しかった笠松は自分を撮影し、鏡人を作成。

KASAMATSU『鏡人云うたかてよう、中身は人間なんじゃ。そがにずさんに扱うんじゃったら、こっちも我慢は出来んぞ!』

なぜか広島弁のKASAMATSUはオリジナルより何倍も強く、
ばったばったと敵を倒していく。

そんなKASAMATSUに注意を向けていた反町は、
背後に迫ったAOIの強烈なアッパーカットを受けて、その場に倒れこんだ。

笠松が呼んだパトカーがこだまする中、4人は明治神宮から逃亡する

無事脱出した一同。

KASAMATSYUは、こっそりその場から去ろうとするAOIをとっつ構えて、
葵の前に差し出す。

KASAMATSU「二人でしっかり話さんかい」

AOIは、先刻厳しい言葉を投げかけたことを、恥ずかしそうに謝罪。
対する葵は、AOIに自分と友達になってほしいと提案する。

後日再開した葵とAOI。
最初はぎこちなかったものの、葵がAOIの手をとり歩き始める。

笠松とKASAMATSUがそんな二人を遠くから見つめていた。


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