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LOST “R”

5月16日に開催された今市隆二さんのソロコンサートRILY'S NIGHT/LOST"R"宇都宮公演に参加した。とても楽しかったあの記憶をどこかに残したい…この気持ちを時折思い出したい。そんな思いで今文字に書き起こしている。いわば自分のためのメモの役割も果たしている備忘録noteなのでファンの方々は色々と大目に見てもらえたら嬉しい。


いきなりだが私は今市隆二さんが作る音楽がめちゃくちゃ好きだ。彼の音楽について掘り下げいきたい所だが私は義務教育を除いたアカデミックな場所で音楽を学んだことはないし、音楽の専門的な知識も皆無と言っていいので彼の音楽について深く掘り下げることはできない。だが彼の音楽が好きな理由は何となく分かっている。多分これは彼が影響を受けたと公言しているアーティストNe-Yoを始めとした00年代R&Bに私自身も強い影響を受けている部分があるからだと思う。まず私の音楽のバイブルはNe-Yoである。幼少期は母の車から流れる彼の曲を聴きながら育った。もし「あなたの一番記憶に残っている曲は何?」と問われたら間違いなく「Ne-YoのBecause of you」と答える。他にもSo SickやMiss Independent、リアーナとのコラボ曲Hate That I Love You などCDが擦り切れるほど聴いた。
彼の曲を聴くと車の中の匂いや車窓から見た光景を何十年と経った今でも鮮明に思い出せる。大人となった今 過去を振り返ると彼のコンサートに出向いたり新曲を逐一チェックするようなNe-Yoの大ファンだったとは言えないが私の思い出に色濃く、人生に強く影響を与えた音楽だったと思う。そんな00年代R&B育ちの私が海外のR&B楽曲から影響を受けている今市隆二さんのソロ楽曲にハマらない訳がなかった。

Ne-Yo 『Became of you 』MV

ではなぜ今市隆二さんのライブ感想noteで私がNe-Yoについてアツく語っているのかというと、実は2018年にNe-Yoと今市隆二さんが共同制作をした『SHINING』という楽曲があるからだ。私がこの楽曲の存在を知ったのは昨年の12月頃だった。これを知った時は変な冷や汗が背中を伝い「これを誰かに伝えなければ!?」という使命感に駆られ急いで母に電話をしてしまった。こんな私にとって都合がいい世界があってたまるか!!と思わず叫んでしまった。そのくらい驚いたのだ。
下にApple Musicのリンクを貼ったのでこの曲を聴いたことがない人はぜひ聴いてみて欲しい。最初の音が流れた瞬間太陽が照りつける真夏の海の情景が頭の中に浮かんでくる。思わず体を揺らしてしまうような、海辺でドライブしたくなるような…そんな1曲だ。真夏の太陽の様な雰囲気を持つ今市隆二さんとNe-Yo節が綺麗にマッチしたこの曲は『SHINING』という曲名に相応しい夏らしい仕上がりになっている。これからの季節にピッタリの曲だ。



そして2018年にリリースされた今市隆二ソロ曲『Angel』の話もしたい。私がこの曲を初めて聴いたのは昨年2023年に開催された三代目ドームツアー JSB LAND内であった。ライブ終演後呑気に「そういえばあの曲ポップで明るい曲調でよかったな〜」なんて思いながらMVを再生した私に雷が堕ちた。そう。本当にMVが良かった。

まずMV自体が1本の映画のような仕上がりになっておりザッとストーリーをまとめると、とあるギャングの親玉である今市の恋人が敵対するギャングによって殺されてしまう。亡くなった彼女は今市にしか見えない“Angel”となり彼の行く末を後ろから見守る。そして今市は復讐のため仲間と、愛する“Angel”と共に敵対するギャングの敵地へと足を踏み入れる─といった内容になっている

MVの監督はPhillip R.Lopez。このAngelの他に同氏の『DARK & LIGHT』でもMVの監督を勤めており、その他にもセレーナ・ゴメス× KYGO の『IT AIN'T ME』やチャーリー・プースの『Loser』、今最もHOTなアーティストの1人であるサブリナ・カーペンターの『In My Bed』等数々のMVを手がけている人物だ。彼の手掛けた他の作品を見ればすぐに分かるが様々な映画にインスパイアされたMVが多く、私の個人的な趣味の1つに映画鑑賞があるので楽しみながら他のMVも観ることができた。

https://www.philliprlopez.com/


このMV冒頭に「every great story starts with a snake:偉大な物語には蛇が付きものだ」という印象的な言葉が出てくる。これは俳優ニコラスケイジの言葉を引用したセリフだが、実は言葉の出典は不明でありGoogleでevery great story starts with a snakeと調べてもニコラスケイジの言葉である。という検索結果しか出てこない。本人にファンレターでも送りつけてこの言葉の真偽を確かめてやろうか!?と少しキレた。あとこの言葉がMVに何か特別な物語性を持たせたのかと問われると少し難しい。気になって調べたら何の成果も得られなかったので…(どうしてこんなことに…)

若干話はズレたがこのMV 1本の映画のような魅力的な仕上がりになっているが、初っ端からエンジン全開のトンチキ仕様になっているため何度見ても「なんだこれは?」と不思議な気分になる。個人的にはウェス・アンダーソンの映画鑑賞後の「あの映画面白かったけどなんだったんだろうな…」的な感覚が近い。MVの仕上がりがウェス・アンダーソンのような雰囲気だとは言わないしどちらかといえばクエンティン・タランティーノの雰囲気が近い気がするのであくまで感覚の話だ。なんならラストの1分くらいはマイルドトンチキエンタメ仕様になったタランティーノ映画だった。


このANGELレア・セドゥやってくれないかな


あとこのMVを見た人は全員分かってくれると思うのだが今市隆二さんの仕上がりがすごい。日サロマシーンから出てくるシーンであそこまで様になる男はそういない…というかあの真ん丸色付きサングラスが似合って許させる男なんてほんの一握りだ。少し傷んだ明るい髪色をした精悍な顔立ちの男が自分に憂を帯びた目を向けながら「Your My Angel」と言われたらそんなんイチコロだ。全人類抗える訳がない。このMVを見たことがない人も久しく見ていない人もAngelのMVを見て今市隆二さんとあの世界の虜になって欲しい。


そしてこのnoteを書くついでに今市隆二さんが影響を受けたであろうアーティストについて調べたら興味深かったのでここに残してみる。

まず“コンテンポラリーR&B”の代表格の1人であり今市隆二さんと交流がある事でも知られるブライアン・マックナイト。往年のソウルとヒップホップスタイルが結合した“ネオソウル”歌手のエリック・ベネイ。先程このnoteにも登場した00年代R&Bを確立させたアーティストの1人Ne-Yo。そして数多くのヒット曲を生み出し、最近だと東京ドーム7Days公演という中々ぶっ飛んだことを成し遂げたことが記憶に新しいR&Bスターのブルーノマーズ。こう見ると綺麗にR&B史(ブラックミュージック史)に影響を受けたことが分かる。私自身特に意識せずに好んで聴いていた音楽と似通っていて嬉しかった。ブルーノに関しては世代ということもあるが学生時代に好んで聞いていた曲が何曲もあり2016年にリリースされたFinesseや2021年にリリースされたLeave The Door Openは今でも定期的に聴いている。性別や年齢、育った環境も置かれた環境も全く異なっているが1つでも同じ“好きな音楽”があると勝手に嬉しくなってしまうし心が踊る。音楽っていいなとまた思った。

もしR&B史が気になった人がいたらこの方のnoteを読むと面白いかもしれない。現代に至るまでのR&B史の流れを把握することができて勉強になるし今市隆二さんの音楽への造詣がより深まると思う。


あと少し前の記事になってしまうがROLLING STONE のインタビュー記事も面白かったのでリンクを置いておく。Ne-Yoとの共同製作時のエピソードやブライアン・マックナイトの自宅にホームステイしたエピソード、日本語でR&B楽曲を歌う意義とは─といったインタビュー内容になっており非常に魅力的なインタビュー記事になっていたのでぜひ読んで欲しい。



これは余談になってしまうがLDHオタクになってからというものLDHのアーティストが国内外の様々なアーティストとコラボしていて驚いたことも多いので、もし気になった人がいたら調べてみてほしい。最近だとPSYCHIC FEVERとJP THE WAVYがフィーチャリングした楽曲『Just Like Dat』が記憶に新しいが他にもNe-Yoを始めSnoop DoggにAfrojack、ジェシカやSUGA、ジャクソンワン…他にも国内外様々なアーティストと精力的にコラボし新しい音楽を生み出し続けている。

PSYCHIC FEVERとJP THE WAVYがフィーチャリングした楽曲『Just Like Dat』MV


RILY'S NIGHT/LOST"R"


前置きがかなり長くなってしまったがまず今市隆二さんのソロツアーRILY'S NIGHT/LOST"R"に参加することが出来て本当に本当に本当に良かったということを伝えたい。

私は三代目のファンではあるが昨年の夏から彼らのファンになった新参者のため各々がソロ活動をする光景がイマイチ想像がつかず「今年は去年と違って冬まではソロ活動中心で寂しいな…」なんて思っていた。が各メンバーたちのソロ公演に1つは参加したいという思いもあったので今回は地元でもある栃木(宇都宮)公演に参加した。
学生時代に何度かお世話になったことがある宇都宮文化会館で今応援しているアーティの公演を見ることができるのは何となく不思議な感覚だったがほんの少しだけ不安もあった。この宇都宮公演前が山梨県の河口湖公演であり、三代目にとっても思い出深い土地でコラボ列車が走ったり屋根が閉会式の会場で花火が上がったりと大盛り上がりしていたことを知っていたからだ。正直言うとこの文化会館は地方都市の少し古い会場でパッとするものがない会場だと思っていたし、ファンは勿論本人のモチベーションも少し下がってしまっているのではないか…と勝手に心配していたが杞憂も杞憂。大杞憂だった。そんな感情を吹き飛ばしてくれる…否…忘れてしまうくらい素晴らしいライブだった。音楽とエンタメをリスペクトし愛している人間にしか作り上げることができない沢山の愛が詰まったライブだったように思う。


今市隆二さんの歌声や魅力的な楽曲の数々は勿論、思わず体が揺れ動いてしまうような音を作り出すバンドの皆さん、ホールという狭いステージをこれでもかと有効活用し会場全体を盛り上がる彼の姿はまさしく“プロ”であった。この公演前までの私は“三代目の今市隆二”の姿しか知らなかったが、バンドメンバーを従えステージのセンターで歌い踊る姿を見て「あれがエンターテイナーなのか…」と少し呆然としてしまった。この舞台にいたのは“シンガーの今市隆二”だった。あまりにも力強いエンターテイメントを浴びると時に人は呆然としてしまうし、生まれて初めてあまりにも楽しすぎて声が出ないという経験をした。恐らく楽しすぎて脳内のキャパシティが限界を迎え声に出すという行為に至らなかったのだと思う。
公演時間は約2時間。あっという間に過ぎ去ったような気もするが2時間余すことなく楽しむことが出来るので公演終了後も満足感と幸福感でいっぱいになった。この感情をどう表現すればいいか少し悩むが、上質な音楽に巡り合いショーをじっくり鑑賞することができた時の幸福感に近いような気がする。個人的にはブルーノートでジャズを鑑賞し、じっくりと音を楽しむことが出来た時のような満足感と高揚感があった。

私の脳裏からこびりついて離れないパフォーマンスが1つあるのだが何せ気が昂りすぎてどの曲か忘れてしまったのでこれを見た人で分かる人がいたらTwitter(@/beri0324)にまでご連絡いただけると嬉しい。確か3〜4曲目辺りの曲だったような気がする←『CASTLE OF SAND』のステージでした
薄暗いステージの中央に立ち歌い踊る彼の後ろから光が照らす。クルリと一回りした時彼の汗が周囲に散った。その光景が映画のワンシーンのように美しかった。あの瞬間「今時が止まってしまえばいいのに」と願ってしまった。思わず目を奪われてしまうような美しさがそこにあった。

前半はR&B曲で構成を固めMCを挟んだ後はバラードタイムに入り徳永英明の名曲『レイニブルー』とブライアン・マックナイトの『One Last Cry』をカバー。そして自身の『これが運命なら』を歌唱し会場全体にしっとりとした、落ち着いた雰囲気が流れていた。その後80年代を彷彿とさせるポップソング『FUTURE LOVERS』が流れ出した瞬間はいい意味で意表をつかれた。構成がうまい。楽しい。



そしてこのライブに参加して1番良かったと思った瞬間は今市隆二さんがステージからはけた後の生バンド演奏終了後の歓声を聴いた瞬間だと思う。これは仕方がないことだと理解しているのだが、アーティスト本人がステージ上からいなくなりバンドの演奏時間に入るとトイレに向かったり、友人と会話をする人も多いのでどうしても演奏後のリアクションが小さくなってしまい少し寂しかった。だが今回のライブでは違っていた。演奏終了後会場内は大きな拍手の音と共に大歓声に包まれた。この会場にいる人たちは今市隆二さんの音楽をリスペクトすると同時に音楽を愛している人たちなんだなと感じることができた。
今市隆二さんのバンドメンバーの方々は皆素敵な演奏をされるが特に私は音の響きと余韻を楽しむことができるケニーさんのドラム演奏が好きだ。

そしてライブと共に設けられているMCタイムもとても良かった。ちなみにこのMCタイムは今市隆二さんとダンサーのタイチさんが会場にいるファンと質疑応答する時間となっていて、終始暖かくて柔らかい雰囲気が会場を包んでいて心地が良かった。私が参加した公演は3人の方が選ばれていたのだが(※質疑応答の詳しい内容を書くとまた文が長くなってしまうので省略する)みな最後に「隆二くん大好きです」と伝えていて1人でニコニコしてしまった。本人に愛を伝える場面は中々訪れるものではないし、少し気恥ずかしいような気持ちになることもある。だけどこうして本人に直接自分の気持ちを伝えることが出来る空気感と場所が用意されていることはとても素敵なことのように思う。

もうすぐRILY'S NIGHT/LOST"R"公演は終了してしまうが、6月から新たに“R”EDという今市隆二さんのアリーナツアーが始まるので1人でも多くの人に足を運んで欲しい。そして音楽の持つパワーを全身にこれでもかと浴びてきて欲しい。


新曲『REALLY LOVE』をぜひ聴いて会場へ─


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