図画工作の思い出


私の小学生中学生の頃の図画工作科・美術の思い出をここに綴りたいと思う。私は昔から絵を描く事が苦手だった。そのためか図画工作の授業で絵を描き、色を塗る事が最終課題の授業にはあまり乗り気になれなかった。そんなある日、図画工作科の授業の題材で「自分の想像する好きな世界を描いてみよう」というものが取り扱われた。その授業回は作成に取り掛かるまでに相当に時間がかかり、周りの友達よりも作品の作成スピードが遅かったことを記憶している。私は絵を描く事だけでなく、実際には存在しない、思い描かなければいけない世界を想像する事も苦手だったので、鉛筆下書きに入るまでに1時間の授業時間を丸々使っていた。そんな私を見かねて先生が私に「君が好きなものはなんだい?」と聞いてきた。私は「音楽です。」と答え、先生は「じゃあ、それを基に世界を考えてみよう」と提案をしてくれた。想像するものが定まってからはすらすらと絵を描く事ができるようになり、また絵を描く際のアドバイスも受けながら着々と作成を進めていった。しかし次なる課題が浮き彫りになった。下書き後の色塗り作業である。小学生だった私は絵の具の扱いもままならず、上手く絵の具を使いこなせていなかった。絵の具が水っぽくなったり、逆に水が少なすぎてしまうこともあった。そこでも先生のアドバイスをもらいながら色塗りを何とか進めていき、作品を完成させる事ができた。絵を描く事は苦手だったが、先生の補助や声掛けのおかげで少しは絵を描く事が好きになれた気がした。

次は彫刻刀での時計作りを思い出してみる。私の小学校では彫刻刀で自分なりの模様を掘り、自作の時計を作り上げる事を行っていた。「自分の想像する好きな世界を描いてみよう」の授業よりも想像力が伸びていたので、その頃に比べると、作成スピードは格段に速くなっている事を実感した。私は好きな「音楽」をモチーフに五線譜入りの奥行きのあるデザインを完成させ、彫刻刀で掘る事を始めた。私のデザインは五線譜がメインだったので、彫刻刀での作業が楽に進んだ。完成した作品に対して先生は「よくできているね。君らしくていいんじゃないか」と言ってくれた。そして完成した時計は今でも部屋に飾っており、私のお気に入りである。

次にコップにプリントするイラストを作る授業を振り返ってみる。ICT機器を活用した授業だったので、他の授業よりも鮮明に覚えている。作成方法自体は簡単であり、好きな画像を拾ってきて、色々な画像をトリミングして、組み合わせてイラストを完成させるというものであった。皆がそれぞれ自分の思いのままに表現したり、お互いにアドバイスをしながらイラストを作り上げようとしていた。あの雰囲気こそが図画工作科において求められる姿なのだと、今になって感じた。どんな風に画像を組み合わせても誰も否定することなく、お互いのイラストを褒め合っているので、自信に充ち溢れた様子で取り組んでいた。完成させたイラストは先生褒められ、とても爽快な気持ちになった事を覚えている。

次に中学生の頃の美術を振り返ってみる。中学生の頃テストで絵の模写が含まれており、30点満点で採点がされていた。絵の模写にはある程度の自信があったのだが、どんなに頑張っても21点しかもらえず、納得がいかなかった事を覚えている。納得できなかった私は先生に点数の事を質問すると、「もっと忠実に写せるはずなんだけどな」や「見たまんまの絵をそのまま写せば24点とか27点位あげたかな」と言われた。私自身は忠実に絵を写していたと感じていただけに、落胆してしまった。この事を機に、図画工作科の評価の曖昧さに違和感を覚えるようになった。成績も5段階評価中の4が限界であり、どのように勉強していけば美術の成績が上がるのかがいまいち理解ができないと感じた。

これらの図画工作科・美術の思い出を振り返って感じた事は、児童・生徒の思いを尊重する事が大事だという事である。どうか図画工作科・美術の教師になろうとしている人は、児童・生徒の思いを尊重する事を大事にしてほしい。作品の出来栄えも大事であるが、それ伸ばすためにはまずは図画工作科・美術を好きになってもらう事が大事であると私は思う。

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