ドタバタ総裁選

### **候補者たちのドタバタ選挙戦**

#### **プロローグ:立候補発表の日**

近未来の日本、与党の総裁選が始まる。国民の期待を背負い、4人の候補者たちが舞台に上がるが、彼らの行動は誰も予想し得ないものだった。

最初に登壇したのは、**A候補**。彼は自分を「天才」と信じて疑わない。派手なスーツに身を包み、胸を張って演壇に立つ。

「皆さん、私が総裁になれば、すべてがうまくいきます!私こそが、この国を救う唯一の存在です!」

しかし、彼の演説は次第に自分自身を褒め称える内容にシフトしていく。途中で手鏡を取り出し、自分の顔を見ながら、「美しい、これこそリーダーの顔だ!」とつぶやくA候補。観客たちは戸惑いながらも、彼の自信に圧倒されて拍手を送る。

次に登場したのは、**B候補**。彼は冷静で堅実な印象を与えるが、実は政治にはまったく興味がなく、唯一の趣味である盆栽にしか関心がない。登壇と同時に、小さな盆栽を手に持ち、壇上に飾り始める。

「この盆栽を見てください。これが私の政策です。心を落ち着け、物事を整える。国民の皆さんも、心を整えましょう。」

彼はその後、演説をせずに盆栽の手入れを始める。観客たちは「政策について話してほしい」と求めるが、B候補は「まずはこの松の剪定が大事です」と言い張り、その場の空気は微妙なものに。

3番目に登壇したのは、**C候補**。彼はポピュリストで、常に「国民の声」を強調する。しかし、その「声」はどこか奇妙だ。演説の冒頭で、彼は突然サンタクロースの帽子を取り出し、被りながら言い放つ。

「皆さん!私が当選すれば、毎日がクリスマスです!」

観客たちは一瞬、彼が冗談を言っているのかと思ったが、C候補は真剣な顔で続ける。

「全ての問題は、プレゼントとケーキで解決できます。国民全員に毎日ケーキを配ります!」

記者から「どうやって?」と質問が飛ぶが、C候補は「愛です!愛があればケーキは作れます!」と答えるだけ。観客たちは笑いを抑えきれず、会場は笑い声に包まれる。

最後に登場したのは、**D候補**。彼は親のコネで出馬したお坊ちゃんで、政治にはまるで関心がない。登壇すると、スーツがしわくちゃで、明らかに何も準備していないことが分かる。

「私は…ウィズイット化します!」

誰も意味がわからない。記者が「ウィズイットとは何ですか?」と尋ねるが、D候補は「ああ、ウィズ…何かです!」としか答えられない。会場は完全に困惑するが、D候補は気にせずそのまま舞台を去っていく。

#### **第一幕:討論会でのカオス**

総裁選の討論会が始まる。司会者は、国民が注目する重要なテーマについて候補者たちに質問するが、討論は早々に混乱し始める。

司会者:「まずは、経済政策についてお伺いします。A候補、あなたのビジョンをお聞かせください。」

A候補:「私の経済政策はシンプルです。AIがすべてを解決します!AIがあれば、誰もが豊かになります。」

司会者:「具体的には、どのように?」

A候補:「えーと、AI…スマートフォンのようなものですかね?」

観客たちはざわめき、司会者は次の候補に質問を移す。

司会者:「B候補、あなたはどうでしょう?」

B候補は、討論の最中にもかかわらず、再び盆栽を取り出している。彼は剪定ばさみを使いながら答える。

B候補:「経済政策も重要ですが、まずは心を整えることが大事です。盆栽を育てるように、経済も少しずつ整えていきましょう。」

司会者は困惑しつつも、C候補に質問を向ける。

司会者:「C候補、あなたの経済政策について教えてください。」

C候補:「私は、経済政策に革命を起こします!国民全員に、毎日ケーキを配ります!」

司会者:「それは、どうやって実現するつもりですか?」

C候補:「愛です!愛がすべてを解決します!」

観客の笑い声が再び会場を包み込む。最後に、司会者はD候補に話を振る。

司会者:「D候補、あなたの政策についてお聞かせください。」

D候補:「私は…ウィズイット化を進めます!」

司会者:「ウィズイット化とは何ですか?」

D候補:「えー、そうですね、ウィズ…それは何か、すごいものです!」

司会者はさじを投げ、討論会は混乱のまま終了する。

#### **第二幕:選挙活動の混乱**

選挙戦が進むにつれ、候補者たちは街頭での選挙活動を始めるが、そこでも予想外の展開が続く。

A候補は街頭演説中に突如、鏡を取り出して自分の顔をチェックし始める。

「皆さん、私を見てください!これがリーダーの顔です!」

しかし、話がそれ以上進まず、観客たちは次第に呆れ顔になる。

一方、B候補は街中を歩きながら、どこへ行っても盆栽を持参し、演説中も手入れを続ける。

「皆さん、盆栽のように心を整えましょう。そうすれば、日本も安定します。」

通行人たちは彼の真剣さに驚きつつも、盆栽にしか目が行かず、政策については誰も興味を示さない。

C候補は、まるでお祭りのように選挙活動を展開。ハロウィンのコスプレをして、街中を練り歩く。

「これも国民の声です!皆さん、楽しみましょう!」

彼の周りには笑顔が絶えないが、誰も彼を真剣に受け止めない。

そして、D候補は何をすべきか全くわからず、ひたすら人に握手を求め続ける。

「ウィズイット化、お願いします!」

しかし、彼の言葉は誰にも理解されず、ただの握手マシーンと化している。

#### **第三幕:最後のオチ**

投票日が近づき、候補者たちの奇妙な選挙活動はますますエスカレートする。A候補は自分の肖像画を描いて街に飾り、B候補は盆栽展を開催。C候補はついに「全国ケーキデー」を提案し、D候補は何もせず握手だけを続ける。

しかし、選挙結果は予想外のものとなる。誰もが滑稽な行動を繰り返した結果、国民は投票を拒否。最終的には選挙が無効となり、選挙管理委員会は何もしていなかった候補者の秘書を総裁に任命するという結末に。

#### **エピローグ**

新総裁となった秘書は、誰にも注目されず静かに職務を開始する。そして、あの滑稽な候補者たちは一斉に姿を消し、日本はようやく平穏を取り戻した。
#### **エピローグ (続き)**

しかし、時々街角で「ウィズイット化を応援してください!」と叫ぶD候補の姿を見かけることがあるという噂が、しばらくの間、囁かれていた。彼は未だに「ウィズイット」の意味を理解していないが、握手を求める彼の手はいつも温かい。その手を握った人々の中には、彼の言葉に感化されて「何か」を信じるようになった者もいるかもしれない。

B候補は、ついに政治を完全に引退し、盆栽に専念することを決意。彼の手がけた盆栽は「国を象徴する美」として人気を集め、一部の国民からは「B候補が総裁になっていたら、もっと心穏やかな国になっていたかもしれない」という声も聞かれるようになる。

C候補は、その後、エンターテイナーとしての才能を発揮し、テレビ番組に出演して国民を笑わせ続けた。「毎日がクリスマス!」という彼のキャッチフレーズは、バラエティ番組の定番ネタとなり、彼はいつしか「永遠の笑いの星」として国民から愛される存在に。

そしてA候補は、選挙後も自分が「天才」であることを信じ続け、ついには自伝「私は天才だ!」を出版。その内容は自己賛美に満ち溢れているが、意外にもベストセラーとなり、彼は「自己肯定感の伝道師」として新たなキャリアを築くことに成功する。

一方、新しく総裁に選ばれた秘書は、誰にも知られず、静かに政策を進めていく。彼はあまりに目立たないため、国民の多くは彼の名前すら知らないが、国は少しずつ良い方向に進み始めた。彼の慎重で謙虚な姿勢が、かつての騒がしい候補者たちの時代とは対照的に、国民に新たな希望をもたらした。

そして、また次の選挙が近づく頃、国民はあのドタバタ劇を思い出し、ふと微笑む。あの時、全く異なる動機を持った候補者たちが同じ舞台に立ち、何をもたらしたのか。それは単なる混乱だったかもしれないが、彼らの個性と滑稽な姿は、国民に笑いと一瞬の安らぎをもたらしたことだけは確かだった。

その後も、総裁選が近づくたびに、あの候補者たちの奇妙な姿が懐かしく語られる。国民は、政治の世界が再びあのようなコメディーに満ちたものであってはならないと思いつつも、少しだけその騒がしさを恋しく思っていた。

**おわり**

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この結末で、候補者たちの個性をさらに際立たせ、彼らが総裁選後もそれぞれの道を歩みながらも、国民の記憶に残るような喜劇的な物語に仕上げました。物語全体を通じて、選挙の滑稽さと、政治の表と裏のギャップをユーモアを交えて描いています。

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