じょいふるきんぐ(35)

昔昔あるところに、おじいさんとアキおばあさんが住んでおりました。アキおばあさんは山に芝刈りに、おじいさんは川に洗濯行きました。
おじいさん「おばあさんや、いつもおもうんだが、普通、おじいさんが芝刈りでおばあさんが洗濯じゃないのかい?」
アキおばあさん「あんたに力がないからあたしが芝刈り行くのよ!あんたは洗濯でもしてなさい!」
おじいさん「へーへー。」
アキおばあさん「あとね、今日あたり川の川上から大きな桃あたりが、流れてくるから絶対掴んで持って帰りなさいよ!」
おじいさん「へーへー。」


おじいさんは川に洗濯をしてました。するとなんと、川上から流れてくるではありませんか。

ギターが。

おじいさん「なんじゃこりゃ???」
おじいさんはギターを拾い上げました。
おじいさん「面白い形の琵琶じゃな。どれ。」
ポロン
おじいさん「いい音色じゃのー。そうかここを押さえてすれば。」
ポロン↑ポロン↑↑
おじいさん「音が変わった!面白いのー。おばあさんにみせて驚かそう。」

おばあさんはおじいさんが大きな桃を持ってくると思って、包丁を持ってまっておりました。
おじいさん「ただいま、おばあさん。」
アキおばあさん「とりゃー!」
アキおばあさんは包丁を振りかざしました。
おじいさん「危ない!」
カキーン!
おじいさんは持っていたギターで包丁を止めました。
アキおばあさん「ありゃ?おじいさんそれはなんだい??桃じゃないのかい?」
おじいさん「そうなんだよ。面白い形の琵琶なんじゃよ。いくよ、おばあさん。」
ポロン、ポロンポロン。
アキおばあさん「いい音色じゃないか。よし!あたしが歌うから、おじいさんそれに合わせて琵琶をひけー!」
おじいさん「まかせろおばあさん。くる途中この琵琶を練習してきて、大分ひけるじゃ!」
アキおばあさん「おじいさん琵琶の天才じゃのー。まあどうでもいいや。ひけー!」


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アキおばあさん「よーし!練習よーし!鼓笛隊出発!」
おじいさん「こ、こ、こ、鼓笛隊???出発ってどこへ???」
アキおばあさん「どこでもじゃー!この世の果てまで!」
おじいさん「天国かな?地獄かな?」
アキおばあさん「死ぬかボケー!あと100年生きるぞ!」
おじいさん「わしらもう70なのに??」
アキおばあさん「うるさい!あとお隣の舞金じいさんと反対のお隣の助出おばあさんも鼓笛隊になってもらう!」
おじいさん「おとなりさんも???まいきんじいさんとじょでばあさんも????楽器は??」


ドンドンドンドン。
アキおばあさん「起きろ、まいきんジジイ!」
まいきんじいさん「何だ、アキババア。」
アキおばあさん「わしらの鼓笛隊に入れ。これを叩け!」
アキおばあさんはまいきんじいさんにバケツを渡した。
まいきんじいさん「水を汲んでこいと??」
アキおばあさん「違うわ!バケツを反対にしてバケツの後ろと横を叩くんじゃー!」
おじいさん「それひどくない??」
まいきんじいさん「いいぜ。」
おじいさん「いいのー?」


ドンドンドンドン。
アキおばあさん「じょでババア!じょでババア!」
じょでおばあさん「アキババ!アタシにナンノヨウ?」
おじいさん「じょでおばあさんはこの歳になってもカタコトなのかー。」
アキおばあさん「じょでババア!琵琶とバケツじゃ音に伸びがないわ。だから木琴してちょーだい!」
じょでおばあさん「モッキン?ソレ美味しいの?」
アキおばあさん「食べ物じゃないわよ!形の違う木を並べて木を木で叩くの!」
じょでおばあさん「オイシソウ!」
アキおばあさん「だから食べ物じゃないわよ!もう!おじいさん!木琴作って!」
おじいさん「へーへー。」


アキおばあさん「よし!鼓笛隊結成完了!出発!」
おじいさん「おばあさん、鼓笛隊なのにアキおばあさんは歌うの?」
アキおばあさん「そうよ!悪い?」
おじいさん「鼓笛隊に歌う人がいるの?」
アキおばあさん「どうだっていいわよ!そんなこと!いいから出発!」
おじいさん「だからどこへ???」
アキおばあさん「どこだっていいわよ!そんなこと!いいから出発!」
おじいさん「鼓笛隊の名前、どうする?」
アキおばあさん「なんでもいいわよ!そんなこと!いいから出発!」
おじいさん「なんかいい名前………そうだ!うちに古くからある古文書があるんだ。それからとろう!確かあの辺に…………あった!何何?」
おじいさん「えーと、助威風瑠金愚……じょい…ふうる……きん……ぐ?じょいふるきんぐ………だっておばあさん!」
アキおばあさん「じゃそれで!なんでもいいわよ!そんなこと!いいから出発!」




4人の鼓笛隊は、声、ギター、木琴、バケツ、で結成し、70を越えたババアとジジイが旅にでました。じょいふるきんぐ、出発。



アキおばあさん「寂れた村ね。」
おじいさん「もう人いないんじゃないかな?」
アキおばあさん「ここで歌うわ。」
おじいさん「人いないって!」
アキおばあさん「人いないからなんなの?いなけりゃ歌わないの?私は歌うわ!誰がなんと言おうと!その琵琶ひきなさい。バケツ、木琴、叩きなさい。」
おじいさん「へーへー。まあ、じょいふるきんぐ初演奏だな。おばあさん。」
アキおばあさん「いくわよ。」

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アキおばあさん「ありがとうございましたーーーーー!」
おじいさん「誰もいないけど。まあ、いっか。」
倒れた家の中からボロボロの服を着た小さな娘がこちらに歩いてきました。
娘「あたす、いくさでおっ父もおっ母も亡くなって、あたすも死のうと思ってたけどおばあさん達の歌聞いたら、なんか生きようと思ったけ。おばあさん達ありがと。」
アキおばあさん「………………」
おじいさん「………………」
まいきんおじいさん「………………」
じょでおばあさん「………………」
娘は遠くに歩いて行きました。

アキおばあさん「さー!次の村いくわよ!」
おじいさん「次???」
アキおばあさん「じょいふるきんぐ、あと300年やるわよ!」
おじいさん「もう70なのに????」






じょいふるきんぐ(35)サイドストーリー

琵琶師息子「琵琶の形、ダサくない?」
琵琶師父「俺らこれで飯食ってんだけど。」
琵琶師息子「わかるけど、ダサくない?」
琵琶師父「そこまで言うなら作ってみなさい。」
琵琶師息子「かしこまりー。さーて、まず持てるように小さくしないとなー、あと弦を弾くところの木を空洞にして……………」


琵琶師息子「できた!名前どうしよ。」
琵琶師父「こらー!下駄を脱いだらちゃんと並べなさい!」
琵琶師息子「へーへー。ん?下駄、下駄、ゲタ、ゲタ………ギタ!ギタ!これの名前ギタにしよ!父さん!ちょっと出掛けてくる!」


琵琶師息子「いいなーこのギタ。最高だこのギタ。」
ポロン。ポロンポロン。
琵琶師息子「最高。琵琶の時代終わりー。このギタの時代でーす。ひゃほーーーい!うっひゃほーーーい!」
ギタを持ってはしゃぎすぎて、はしゃいでいた琵琶師息子の手からギタが飛びました。
琵琶師息子「あーーギタが!やべー!」
じゃぽん。
ギタは川に落ちました。
琵琶師息子「あーーー!俺のギタが流されていくーーー!待ってーーー!」
ギタは川下に流れていきました。

めでたしめでたし

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