ジョイフルキング(32)

面白いって何だっけ?
おじいさん「おばあさん、めしはまだかいのー。」
おばあさん「さっきカレー食べたでしょう。」
おじいさん「そうかのー。おばあさん、めしはまだかいのー。」
おばあさん「さっき大盛ごはん食べたでしょう。」
おじいさん「そうかのー。おばあさん、めしはまだかいのー。」
おばあさん「さっき1ポンドサーロインステーキをミディアムで食べたでしょう。」
おじいさん「そうかのー。おばあさん、なんか面白いことないかのー。」
おばあさん「おじいさん、この前一緒に行った旅行の旅館を妄想してはいかがかのー。」
おじいさん「そりゃあいい考えじゃおばあさん。妄想はわしの大得意じゃからなー。どれどれ…


…いい温泉じゃのー。体が若返るようじゃ。凄い豪華な料理じゃのー。美味しい。これも美味しい。あれも美味しい。全部美味しい。いい部屋じゃのー。いい景色じゃのー。布団もふかふかじゃのー。いい旅じゃのーおばあさん。」
おばあさん「いい旅でしたのーおじいさん。私もおじいさんと旅ができて本当に幸せでしたよ。」
おじいさん「おばあさんと若い時に結婚したけど、おばあさんと結婚して本当に良かった。毎日楽しかった。毎日面白かった。おばあさんに妄想を教えてもらった時から今までずっと面白いよおばあさん。」
おばあさん「まあおじいさんったら。私は若い時ギャルで、5人も彼氏がいたけど、その中のおじいさんを選んで本当に良かった。」
おじいさん「また一緒に旅行いく妄想しようね、おばあさん。」
おばあさん「また一緒に旅行いく妄想しようね、おじいさん。」


私の名前は、佐藤はると。高校2年生です。佐藤はるとってきっとたくさんいます。日本で一番多い名字、佐藤。日本で一番多い名前、はると。学力は中くらい、運動も中くらい、友達もいるけど数人。趣味なし。特技なし。彼女なし。今までつき合ったこともなし。
いきなりですいませんが皆さん、面白いことってありますか?断言します。この世に面白いことなどありません。ゲーム、テレビ、動画、音楽、勉強、旅行、SNS、お笑い、人、動物、虫、生き物…全部面白くありません。飽きっぽい性格なのでしょうか、全部飽きました。最悪なことに、世の中の人すべてバカにみえます。大人もバカ、同級生もバカ、子どももバカ。こういうことを言ってはいけない時代なので直接は言いませんが、心の中ではバカバカバカバカバカバカ…バカばっか。私、病気なのでしょう、面白いと思えない病気。お医者様はこういうでしょうね、面白くないという思考回路だからです、あなたがつまらない人だからつまらない世の中になるのです。あーそうですか。じゃあどうやったら面白くなるんですか?自分で見つけろって?どうやって見つけるんですか?考えろって?へー考えて見つけました、面白くないということを。勉強が面白い人尊敬します。プラモデルずっとやってる人尊敬します。人生面白いと思う人尊敬します。私にはできません。面白いと思わなきゃと思ったこともあります。面白くないことは面白くありませんでした。さらに何かやる気もありません。面白くありませんから。小学生の時はなぜか面白かったです。中学生になってなぜか勉強するようになって世の中すべて面白くなくなりました。私、変なんですかね。高揚すれば面白くなりますかね?テンション高ければ面白くなりますかね?この先、面白い事ありますかね?
面白いって何だっけ?

私は、クラスの文化祭の出し物係りになりました。一人1個係りになるのですが、文化祭の出し物係りなんて一年間で1か月ぐらいで終るし一番らくそうだったからです。今年の文化祭は最高潮に盛り上がっていました。なぜなら、高校1年生から文化祭でライブして、この学校を2年で中退し、すぐプロの歌手デビューし、最近メジャーデビューが決まって、この学校からプロ歌手が生まれたらしい。その歌手が古巣の高校の文化祭に出てくださるようなのです。特にボーカルのアキ先輩は、全校生徒に絶大な人気を誇ってて、他の学校からもアキ先輩目当てで相当な人がくるらしい。

…はあ。バンド?歌なんて聞いてどこが面白いの?みんなバカじゃないの。めんどくせーな。どうでもいいや。

文化祭の出し物係り、もう一人、レイラ。彼氏4人いるらしい。はい、バカギャル。係り決めでイケメンと同じ係りになりたかったらしいが多くてジャンケンで負けて文化祭出し物係りにきた。出し物で男寄り、女寄りにならないように男1人女1人なんだってさ。どうでもいいけど。
マミ「レイラー!カラオケいこー!いつものとこ。アキパイセン降臨する前に声出ししないと!」
レイラ「アキ様、神様、マジカミ、マジカミ、マジゴット!マミゴメンなんだけど、なんか文化祭の出し物決めなきゃなんなくて、ソッコー終らして、ソッコー行くから先いってて!マジゴットアキ様にサーセンしてて!」
マミ「オッケー!先アキパイセン降臨させとく!」
はると「じゃあ、ソッコー決めようか。」
レイラ「わーーー!いたの?気持ち悪っ!マジみえなかったわ。マジゴットアキ様しかみえなかったわ。」
はると「焼きそば店でいい?簡単そうだから。」
レイラ「サンセーーーイ!きまりーー!おわりーーー!誰が焼くの?鉄板どうするの?」
はると「………………やっぱりパン屋にしよ。パン屋さんで100円のパンたくさん買って、店で120円で売るだけ。看板ぐらいは作るよ。色画用紙を切ってはるぐらいならやっとくから。それでいい?カラオケいくんでしょ?」
レイラ「それ、誰が面白いの?」
はると「面白いわけねーだろ。だるいだけだよ。」
レイラ「隣のクラスの1組は、舞台のミュージカルやるそうよ。しかもプロの演出家呼んで本格的にやるそうよ。3組はメイドカフェにカジノだって。うちはなんなの?パン屋って何?」
はると「じゃ何やるんだよ。」
レイラ「面白くないものやれないわよ!アキ様がくるのよ!」
はると「なんなんだよ!アキ様信者が!じゃあレイラさんはどんな面白い出し物を考えてらっしゃるのでしょうか?」
レイラ「んーそうねーやっぱりジェットコースター!学校校舎の周りすべてにレールを作るの!そして屋上からグルグルおりてきて、アキ様のステージの周りにレールがあって、アキ様の歌ってる周りをジェットコースターでまわるの!キャー!アキ様ーーーーー!」
はると「妄想凄いね。」
レイラ「あら!世の中、妄想しか面白いことないのよ。」
はると「世の中面白いことなんてないよ。」
レイラ「世の中妄想意外面白いことないわよ。」
はると「ゲーム、テレビ、動画、音楽、勉強、旅行、SNS、お笑い、人、動物、虫、生き物…全部面白くありません。」
レイラ「ゲーム、テレビ、動画、音楽、勉強、旅行、SNS、お笑い、人、動物、虫、生き物…全部面白くありません。妄想以外。」
はると「世の中すべての人バカにみえません?」
レイラ「世の中すべての人バカです。私もあなたも。」
はると「妄想も面白くありません。」
レイラ「妄想だけが面白い。」
はると「妄想も面白くありません。」
レイラ「妄想だけは面白い。」
はると「妄想も面白くありません。」
レイラ「妄想だけは絶対面白い。」
はると「妄想も面白く……」
レイラ「もういいわよ!面白くないなら面白くないでいいじゃない!きっと世の中全部つまんないって思って死んだ人だってたくさんいるわよ。それと同じでいいじゃない!私は妄想して死ぬ。あなたは妄想しないで死ぬ。それだけよ!!!!」
はると「…………」
レイラ「…………」
はると「……………………………妄想は面白いですか?」
レイラ「ジェットコースターよ。」

妄想して死ぬか妄想しないで死ぬか、それだけ。

はると「レイラさん。俺と付き合って頂けませんか?」
レイラ「いいわよ。」
はると「じゃあ今付き合っている彼氏4人と別れてくれません?」
レイラ「嫌よ!あんたは5人目よ!」



はると「おばあさん、めしはまだかいのー。」
レイラ「さっきカレー食べたでしょう。」
はると「そうかのー。おばあさん、めしはまだかいのー。」
レイラ「さっき大盛ごはん食べたでしょう。」
はると「そうかのー。おばあさん、めしはまだかいのー。」
レイラ「さっき1ポンドサーロインステーキをミディアムで食べたでしょう。」
はると「そうかのー。おばあさん、なんか面白いことないかのー。」
レイラ「おじいさん、この前一緒に行った旅行の旅館を妄想してはいかがかのー。」
はると「そりゃあいい考えじゃおばあさん。妄想はわしの大得意じゃからなー。どれどれ…


…いい温泉じゃのー。体が若返るようじゃ。凄い豪華な料理じゃのー。美味しい。これも美味しい。あれも美味しい。全部美味しい。いい部屋じゃのー。いい景色じゃのー。布団もふかふかじゃのー。いい旅じゃのーおばあさん。」
レイラ「いい旅でしたのーおじいさん。私もおじいさんと旅ができて本当に幸せでしたよ。」
はると「おばあさんと若い時に結婚したけど、おばあさんと結婚して本当に良かった。毎日楽しかった。毎日面白かった。おばあさんに妄想を教えてもらった時から今までずっと面白いよおばあさん。」
レイラ「まあおじいさんったら。私は若い時ギャルで、5人も彼氏がいたけど、その中のおじいさんを選んで本当に良かった。」
はると「また一緒に旅行いく妄想しようね、おばあさん。」
レイラ「また一緒に旅行いく妄想しようね、おじいさん。」





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