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相続税の計算方法を徹底解説!

遺産を相続したとき「何%の税率で相続税が計算されるのだろうか?」と気になる方も多いと思います。

相続税の税率は最低10%~最高55%まで様々ですが、遺産の金額にこの税率を直接乗じるわけではありません。たとえば、1億円の財産がある場合、税率表だけを見ると30%ですが、3,000万円もの相続税はかかりません。そこで本記事では、相続税の税率表を使った相続税の計算の仕方と計算時の注意点について解説します。


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1.相続税の計算方法

 

相続税の計算式はシンプルであるため、手順通りにすすめていけば誰でも相続税を計算できるようになります。
 

相続税の計算は上記の5つの手順によってすすめます。


今回は被相続人の財産として「不動産:1億、預貯金:5,000万円、借入金:800万円、葬儀費用:200万円」 の方を例に挙げ計算方法をご説明します。

まず、課税総額がいくらになるか計算するために、まず①~③の計算を行います。

 ①   正味の遺産総額の計算

1億5,000万円-800万円-200万円=1億4,000万円

 ②   基礎控除の計算

次に3人の法定相続人(配偶者と2人の子ども)が相続する例として、相続税の基礎控除を計算します。

相続税基礎控除額の計算式「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」を踏まえると、今回の例の場合

3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円

となります。

 ③   課税遺産総額の計算

さらに正味の遺産総額から基礎控除を差し引いて課税遺産総額を算出します。

1億4,000万円-4,800万円=9,200万円

 ④   相続税の総額の計算

 ①    ~③の流れで課税遺産総額を算出後、法定相続分に応じる取得金額を計算します。その後、所定の税率をかけて相続税額を算出します。

今回の例では配偶者と2人の子どもが相続人となっています。配偶者と子どもの法定相続分は2分の1ずつですが、子どもは2人なのでそれぞれ4分の1の割合になります。

 

【配偶者の課税総額】

9,200万円×(1÷2)=4,600万円

【子どもの課税額】

9,200万円×(1÷4)=2,300万円

 

⑤   各相続人別の相続税の計算

 法定相続分に従った各相続人の相続税を計算する際、下図の「相続税の速算表」から税率と控除額を確認します。

④で算出した相続税の総額から速算表の税率と控除額を適用させ、相続税の総額を計算します。

 【配偶者の相続税(課税総額:4,600万円)】法定相続分に応ずる取得金額は5,000万円以下であるため、

4,600万円×20%-200万円=720万円

 【子どもの相続税(課税総額:2,300万円/人)】法定相続分に応ずる取得金額は3,000万円以下であるため、

2,300万円×15%-50万円=295万円(2人合わせて590万円)

 以上から、配偶者と子どもの相続税を合わせた総額は

720万円+590万円=1,310万円

 となります。

 

最後に、相続税の総額を実際の相続割合で按分し、相続人ごとの税額を計算します。

①~⑤の計算で扱った法定相続分はあくまで目安であり、必ずしもそのとおりに相続されるわけではありません。

遺言書や遺産分割協議などで、引き継ぐ遺産の種類や金額を自由に決められます。

 今回の例では、被相続人は遺言書を遺していなかったため、法定相続人が遺産分割協議をして遺産の分け方を決めると仮定します。

 協議の結果、

配偶者:5分の2

子どもA:5分の2

子どもB:5分の1

で相続した場合の相続税は⑤で算出した相続税の総額1,310万円をもとにすると以下のようになります。

 【配偶者の相続税】

1,310万円×2÷5=524万円

【子どもAの相続税】

1,310万円×2÷5=524万円

【子どもBの相続税】

1,310万円×1÷5=262万円

 

計算の結果、配偶者及び子どもAの相続税額は524万円、子どもBの相続税額は262万円となりました。ここからさらに、相続税の負担を軽減する制度が適用されて、実際の納税額が決まります。

 

2.相続税の負担を軽減できる制度

 

相続人ごとに相続税の負担を軽減できる制度が複数あります。今回は代表的な下記4つをご説明します。

 ・配偶者の税額軽減

・未成年者の税額控除

・障害者控除

・贈与税額の控除

 

①    配偶者の税額軽減

 

被相続人の配偶者には、「配偶者に対する相続税額の軽減」という特別の控除額が設けられています。

 

配偶者の税額軽減額 = 相続税の総額 × 下記ⒶⒷの少ない方の額 / 全員の課税価格の合計額

Ⓐ 課税価格のうち配偶者の法定相続分または1億6,000万円のいずれか大きい額
Ⓑ 配偶者の相続する課税価格

ただし、この配偶者は法律上の婚姻の届出をした者に限られ、いわゆる内縁関係の者には適用されません

 

②    未成年者控除


 相続人に未成年者がいる場合、18歳[tt2] に達するまでの年数に応じて、1年につき10万円が未成年者控除として相続税額から控除されます。

未成年者控除の控除額の算式は次のとおりです。

控除額 = (18歳[tt3]  ー 相続開始時の年齢) × 10万円

(注)相続開始時の年齢は満年齢とし、1年未満の端数は切り捨てます。

 ③    障害者控除

 相続人に障害者がいる場合、85歳に達するまでの年数に応じて、1年につき10万円(特別障害者の場合は20万円)が障害者控除として相続税額から控除されます。

障害者控除の控除額の算式は次のとおりです。

 

控除額=(85歳―相続開始時の年齢)×10万円(または20万円)

 

④    贈与税額控除


 相続時精算課税[贈与の適用を受ける財産につき課せられた贈与税額、および相続開始前3年以内に被相続人から暦年贈与 を受けた財産で相続税の課税価格に加算されたものに係る贈与税額相当額は、相続税額から控除されます。

また、相続税額から控除しきれない相続時精算課税分の贈与税額については、還付を受けることができます。

 

「1.   相続税の計算方法」で、各相続人の相続税額を算出しましたが、ここからさらに

「2.相続税の負担を軽減できる制度」が適用されて、実際の納税額が決まります。今回は、代表的な4つを例に挙げてご説明しましたが、他にも利用できる制度はあるので、実際に計算を行う方は相続税の負担を軽減できる制度も併せて調べることをおすすめします。

 

3.注意点

相続額の計算を行う上での注意点をいくつかご説明します。

 

①    遺産総額の計算は慎重に行う

被相続人から相続する財産は、現金や預貯金など価値が分かりやすいものばかりではなく、価値が一義的には定まっていない不動産や未公開株式なども存在します。そのため、専門的な手法を用いた評価が必要となります。

また、相続開始前から3年以内の贈与財産や死亡退職金、生命保険金など法的な相続財産ではない「みなし財産」も、相続税の計算上は相続財産とみなされます。このようなみなし財産は、相続税の計算に当たって見逃しやすいため、相続税法の規定を踏まえて慎重に調査を行う必要があります。

 

②    相続税額0円でも相続税申告が必要なケースがある

相続税額が0円となる場合、 相続税の申告は不要と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。厳密には、相続税の申告義務が必要な方は、故人の遺産の純資産額が基礎控除額が超過する場合となります。

そのため、例えば、相続人が2名のケースでは、基礎控除額4,200万円を超える場合には申告義務が必要となります。ただし、そこから小規模宅地の特例や配偶者の税額軽減等を適用して4,200万円を下回る場合や、相続税が0円になることもあります。相続税が0円でも申告義務があることもありますので、申告漏れとなってしまいペナルティがないように注意しましょう。

 

4.まとめ

相続税の計算は手順を追って計算をすればそれほど難しいものではありません。しかし、計算方法や手順、税率を間違えると相続税は大きく変わるため、正しい相続税額を算出するためにも専門家への相談をおすすめします。


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