シェア
*** 「あんた、なんであんなことしたの」 警察署から出ると、公太の母が公太に向か…
*** 高木という男を訪ねようと決めていた土曜日の朝。公太は、目が覚めてから身体の…
*** どうやって家に帰ったのかはよくわからなかったが、気付けば公太は自宅にいた。…
*** 商店街の祭りに行った後、ヒナはことあるごとに公太に人助けをさせるようになっ…
*** 『寝てた、ってあれひどいだろ(笑)』 『え、っていうか事故って、お前大丈夫な…
*** 美雪とは、行きつけの喫茶店で待ち合わせをしていた。『ゴーシュ』という名前の…
*** 「いやー、暑そうだねえ」 「……暑いよ」 周囲の目を気にして、下を向いたまま公太は答えた。 ヒナの言う通り、外は気温が高く、じっとしているだけでも汗が出てきそうなくらいの暑さだった。それなりに風が吹いていて、日陰を選んで歩けばそれなりに快適なのが、せめてもの救いだった。 いっそ少しくらい雨でも降ってくれたほうが涼しくなりそうなものなのに、と公太は思ったが、空はほとんど雲のない晴天で、とても天気が変わるようには見えない。暑さを全く感じていない様子のヒ
*** 「うーん、やっぱダメだねこりゃ」 壊れたバイクを見た宮田は、開口一番にそう…
*** 持ち帰った服を洗濯機に押し込む以外には整理するような荷物もなく、部屋も母親…
そういえば、ヒナは公太が事故に遭った場所の付近の地縛霊だと言っていた。彼女はどれくらい…
*** 精密検査の結果、脳や意識は正常、外傷以外に問題はないと判断された公太は、そ…
「ねぇ、コウちゃんてさ」 「……なに?」 ぱっちりと目を開いて公太の動作を追っていたヒ…
*** 病室を出て、建物外の非常階段へ続く扉がある廊下の突き当たりまでゆっくりと歩…
*** 左手でレバーを握り、クラッチを切る。左足を踏み込み、ギアを一段上げる。右手で握ったアクセルを調節しながら左手を開いていき、再びクラッチを繋ぐ。スムーズに繋がって、エンジンの回転がタイヤへ伝わり始めるのを感じると、ささやかな喜びが湧いてくる。 大学二年生の萩原公太にとって、バイクを運転することは小さな達成感を日常的に感じられる、貴重な趣味だった。 この日、公太はあてもなく愛車を走らせていた。特に目的地を設定するわけでもなく、ただ時間とガソリンを消費するだ