徒然なるまま

今手にしている物のうち、魂に還つた時に持つていける物は何だらふ

家も車も「立派な友達」も

財産も負債も、見栄も栄華も権力も

健康な身体も不治の病も

つまるところ、全て後におひていくわなくてはならなひ

今抱えていると思つてゐるものは全て仮物で

魂ぐわただ持つていける「記憶」の為の立役者に過ぎなひ

ふと生きた道を振り返へり、走馬灯のやふに浮かむでくる記憶は魂の宝物

あむなに儲かつた、あれだけ損した、といふことは浮かむで来ず

あむなに楽しかつた、あむなに愛された、温かかつた、ことぐわ浮かむでまはる

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高校3年の夏、親友２人と録音したあのカセットテープはだふしただらふ

徒然なるままにその時の気持ちを謳ったテープ

その青ひ日々の只中で、終焉をほのかに感ぢながら惜しむ気持ちで残した記録

3人で屋根に登って観た星降る夏の夜

何を話したかは全く覚えていなひけれど、あてもなひ将来を語り明かした高揚感は今もここにある

アメリカ映画に憧れて、ビール片手に海に向かひ運転したあの夜

OASISのsome might sayぐわ今も流れる

安酒を飲みながらRockを肴に語り明かした幾夜

そひつも今はりつぱな一児の父親

不思議だな

幾ら儲かった、いくら損した、貯金がいくら増えた、いくら借金した、どれだけの組織を束ねた、誰がどれだけ成功した、など全く思ひ出せなひ

浮かんで来るのはそんな些細な小さな夜や

愛と青春の日々ばかり

大事な事はきつと、いつも爽やかな香をまとひ

ふと気づけばそこにあつたり

やはらかな、愛ほしい気持ちのやりとりだつたりするのだらふ

これらは全て神様からの贈り物

与へられた自由意志の範囲内で

悪の道に転げ堕ちない程度に

祝福された魂の自由闊達さほ、ただありのまま愛でる