特許を取るまでの長い道5
Aさんは急に態度が上から目線になった。
私は自分の発案だから自分のペースで進めたかった。
特許をとることなんてやったことがないから
発明学会というところに会費を支払って入会し
担当者さんに相談をしながらすすめた。
出願書の文章というのは独特で、言い回しをなぜかこむずかしくする。
たとえば 「ひもが通せるようにトンネル状になった長方形の板にひもを通して・・・」という文面は「左右に開口部を設けた帯板と同程度の強度を有する長方形の板状のものを・・・」みたいな言い回し。
似たようなことを出願している人の出願書を3通くらいプリントアウトして
言い回しをパクリ(笑)書いては発明学会の担当さんが添削してを何度も繰り返しておこなった。
そんな私の苦労も知らないでAさんは
「いつになったら出願書が仕上がるんだ」と言ってきた。
私も頭にきて「発明学会の担当さんとやり取りを何度もして一生懸命作ってるところだけど。いつになるかなんてわからないよ」
と告げるとAさんは「報・連・相がない。それができないのは社会人としてどうなんだ」などと言ってきた。
私は一緒にやらない?とは言ったけど、発明したのは私だし、私が主体的に進めるものと思っていた。Aさんは着付けのこともわからないし、発明者じゃないから出願書も作れない。だからAさんに報・連・相することなど何もなかった。というか話したところで理解できないだろうし、理解させるように説明するのが手間でその時間を出願書作成にあてたほうがよほど効率がよかった。
Aさんにしてみればたぶん、一緒にやろう ということになったのだから今進んでいることを全部知りたい。知る権利がある。と思ったのだろう。
そこに大きな意識の違いがあって、どんどん溝が広がっていった。
Aさんに「あなたが発明したものじゃないから出願書はあなたには書けないでしょ?だから出願書が書き終わるまでは待っていてほしい。商品化する段階になったら企画書とか営業とかになるからそうなったらぜひ活躍してほしい」と告げた。
Aさんは理解したようで了承した。
でもこのあと、もっとAさんとの関係は悪化していった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?