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minneで自助具を買ってみました

"みなさん自助具ってご存知ですか?"

こんにちは、ハンドメイドマーケット「minne」でプロダクトデザイナーをしています、tarutaruです。私は、ユーザーの多様性を尊重し、多くの人にとって使いやすいサービスを目指して日々取り組んでいるのですが、そんな視点でminneを眺めていると、興味深い作品たちに目が留まりました。

そう、「自助具」です。

自助具とは、身体的な制約がある方の日常生活を支えるための道具のことで、minneには人の特性やニーズに合わせて作られたハンドメイドの自助具がいくつか出品されています。その中で特に目を引いたのが「片手で爪切り 両手でも爪切り」という作品。この作品がどのような方に必要とされ、どのように使われるのか。それを知ることはminneのユーザーを深く知ることにもつながると思い、今回試しに購入してみることにしました。


片手で爪切り 両手でも爪切り とは?

「片手で爪切り 両手でも爪切り」は、片麻痺などで片手が自由に動かしづらい方でも、片手だけで爪を切ることができるように作られた自助具です。

自分はこの「片手で爪切り」という名前を見たとき一瞬「?」が頭に浮かびました。というのも、爪切りはそもそも片手で使うものという認識があったので、改めてそう名付ける意味がよくわからなかったのです。ただ、改めて考えてみると、一般的な爪切りは爪切りを持つ手と爪を切る対象となる手の両手を動かす必要があると気づき、ハッとしました。

「片手で爪切り 両手でも爪切り」が机の上に置かれている。作品本体は黄色で、そこに白色の爪切りが装着されている。

購入した作品が届いたので開封して見てみると、作品の作りとしては、3Dプリンターで作られた作品本体に一般的な爪切りが装着されているというもので、机などの平らなところに置いて、爪切りの歯に指の爪を合わせるようにしながら手を置き、そのまま下に押し込むとテコの原理で爪切りが閉じて爪が切れる、という仕組みになっているようでした。

実際に使ってみた

実際に使ってみると、歯に合わせて置いた爪がズレないようにしながら押し込むというのが最初少し苦戦しました。ただ、ちょっとコツを掴んでくると結構簡単に片手だけで爪を切ることができるようになってきました。

「片手で爪切り 両手でも爪切り」を使用して実際に片手だけで爪を切っている様子。右手の人差し指の爪を切っている瞬間。
実際に片手だけで爪を切っている様子

自分にとっては爪を切るという何気ない行為だったのですが、この作品を実際に使ってみて、片麻痺の方のように片手が自由に動かしづらい方にとってはそこに大きなハードルがあったんだなと気づきました。ただ、この作品があればそういった方でも自分一人で爪を切ることができるので、改めてこの作品の素晴らしさを感じました。

ちなみにこの爪切り、片手で爪を切ることができますが、作品名にもあるとおりそのまま両手でも爪を切ることができるので、必要に応じて使い分けることができるようになってます。

自分は、障害の有無や年齢などに関わらず共に使える「共用品」という考え方が好きなのですが、両手が自由に使える人に貸してもそのまま利用できるこの作品は共用品と呼ぶことができるなと思い、その点でもこの作品をとても気に入りました。

【おまけ】片麻痺の方のPC利用について

この作品を購入したことをきっかけに、片麻痺の方がどのようにWebやモバイルアプリを利用しているのか興味が湧き少し調べてみたところ、片麻痺ユーザーのPC活用法という記事を見つけました。

道具を自作することで、キー押しの補助をすることができます。たとえば、モンキーレンチに単3の乾電池を挟み、モンキーレンチの持ち手の下の端にゼムクリップなどを挟んでレンチが転ばないようにすることで、乾電池部分をキーの上に乗せてキーを押したままの状態にする

https://www.mirairo.co.jp/blog/post-2020070101

普段業務でWebアクセシビリティに取り組むことが多く、その際は毎度WCAGを参照しているのですが、実は片麻痺の方に関する詳しい内容はWCAGにはほとんどないので、片麻痺の方でこのようにPCを使う方がいることを知れてとても良い学びになりました。ここでは詳しい内容は触れませんが、興味がある方はぜひこちらの記事も読んでみてください。


まとめ

今回は「片手で爪切り 両手でも爪切り」を試しに購入し使ってみた感想を簡単に述べさせていただきました。実際に使ってみて、もちろん完全に理解できたわけではありませんが片麻痺の方の日常生活の苦悩の一端を少しは感じることができたのかなと思うと同時に、それを解決する作品の創意工夫は本当に素晴らしいなと思いました。

ハンドメイドは、既製品にはない個人の創意工夫があり、それが特定のニーズに応える作品を生み出しているんだなと改めて感じました。

そんなハンドメイドの価値を最大化させるために、minneをもっと多様な作品や多様なユーザーを受け入れられるようなサービスにしていきたいなと思っています!そのためにも、これからより一層アクセシビリティやインクルーシブなデザインなど力を入れていかねば…!ですね。(…頑張りますっ!)

おしまい!


こちらのnote記事は、minne Advent Calendar 2024の7日目の投稿でした。
明日の担当はmimoさんです!お楽しみに〜。


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