オールドスクールデッキ「ジェスカイアグロ」解説&第4回旧作杯対戦記

○デッキリスト

[土地]
2 《露天鉱床/Strip Mine》
4 《Tundra》
4 《Plateau》
7 《平地/Plains》
4 《真鍮の都/City of Brass》
1 《Scrubland》
3 《Volcanic Island》

[クリーチャー]
2 《セラの天使》
4 《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》
4 《白騎士/White Knight》
4 《Order of Leitbur》
4 《セレンディブのイフリート/Serendib Efreet》

[スペル]
4 《稲妻/Lightning Bolt》
3 《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
3 《解呪/Disenchant》
2 《連鎖の稲妻》
1 《Ancestral Recall》
1 《Time Walk》
1 《悪魔の教示者》
1 《Mox Pearl》
1 《Chaos Orb》

[サイドボード]
1 《Preacher》
2 《血染めの月》
3 《魔力流出》
1 《露天鉱床》
2 《赤霊破/Red Elemental Blast》
1 《剣を鍬に/Swords to Plowshares》
1 《解呪/Disenchant》
1 《セラの天使》
3 《臨機応変/Sleight of Mind》

○デッキ解説

 アーキタイプとしてはジェスカイアグロ。白単ウィニー(フラッド用にセラ天入ってるけど)に火力6枚とセレンディブ&ビッグブルー2種を足した形(+欲張りタッチのデモチュー)。

 個性があるとすれば、安定性を最重要視している点でしょう。

 オールド(CFBルール)のフォーマットとしての大きな特性は、主に二つ。

・制限カードの段違いのカードパワー
・マナベースの難しさ

 前者の説明は今回省略するとして、問題は後者です。

 オールドの色マナ基板は貧弱です。2色ランドが各組み合わせ事に1種類しかなく、5色ランドも1種類のみ(しかも痛い!)。これでは単色タッチ1色の形ですら、タッチカラーの基本土地を入れない限り、2色目のマナソースが8枚しか取れない(しかも環境には露天鉱床が飛び交っています。2色目の土地は最低1枚は割られると覚悟をしておいた方がいい)。

 かといって、タッチカラーの基本土地を入れると、メインカラーのマナソースの枚数が減ります。シングルシンボルならメインカラー16枚とかでも安定するでしょうが、ダブルシンボルを採用するとなれば話は変わります(重ねて言いますが、露天鉱床が最低1枚は飛んできます)。

 ただでさえ色マナソースはカツカツ。それに加えて、ミシュラの工廠と露天鉱床という2大無色ランドまであります。この2種はスペルカウントもできますが、ミシュラの工廠をスペルカウントすると「フラッド受けに強い」というミシュラランドの利点を台無しにしてしまいます。よって、安易に2種7、8枚体制にはできません。

 で。

 このデッキのベースはあくまで白単ウィニーです。白騎士とOrderというダブルシンボル2種を8枚積んでいます。ウィニーである以上、この2種は安定して(85%程度の確率で)2ターン目に出したい。そして、手札8枚(先手2ターン目)で白ダブルを安定して出すためには、白ソースが21枚必要です(もちろん、マリガンを前提にすれば話は変わりますが、オールドではカード1枚の価値が高く、アグロデッキでは特にマリガンを避けたいため前提にはしません)。

 21枚!

 オールドではとんでもない数字です。なにせ上で説明したように、白絡みの2色が出る土地が2種8枚しかありませんから。タッチカラーのソースを9枚以上にしようとすると、タッチカラーの基本土地を入れる必要があります。

 別に入れりゃいいんじゃないの、と思うかもしれませんが、このデッキはウィニーです。スペルカウントできない土地は極力少なくしたい。

 じゃあタッチカラーは色マナソース8枚で回せばいいじゃん、というのは甘えです。くどいようですが、環境には露天鉱床が飛び交っています。2色目の土地は1枚は確実に割られると考えた方がいい。タッチカラーをある程度安定させるには、最低10枚、できれば12枚くらいの色マナソースがほしい(余談ですが「2色目の土地を露天鉱床で1枚割られて、2枚目を引かずに負け」は、不運な色事故ではありません)。

 そう、これがオールドの白単(or黒単)タッチ2色目(or3色目)デッキのジレンマです。

「安定して2ターン目にダブルシンボルがほしいけど、タッチカラーの色マナソースも12枚はほしい」

 このワガママを可能な限り成立させようと試みたのが、このデッキのマナベースです。

 メインの白は20枚、赤と青は11枚。どちらもギリギリ許容範囲の枚数です。本当は白が出ないボルカを2枚にして白21にしたかったんですが、赤と青が10枚では実戦でちょくちょく事故りました。

 ミシュラの工廠は枠がなく、クロックの数も十分なこともあって不採用。露天鉱床は絶対必要なのでメイン2サイド1ですが、メイン3サイド1の方が良さそうです(問題は何を削るかですが……)。

「タッチカラーの基本土地を入れる余裕はない」ので、当然ながら、赤と青のモックスは入りません。ソルリンも無色なので不採用。ロータスは当初は入れていましたが、使い切りのデメリットが大きく平地に変えました。スタートダッシュの利点を捨ててでも2ターン目白ダブル捻出の安定を取った形です(白が安定して多く出るほど、Orderが強く使える利点もあります)。

 土地以外の部分に関しては、特に語ることもないでしょう。

 ツイスター、フォーチューン、天秤、ハルマゲドンが不採用なのは、安定感を重視した結果です。特に前者2種に関しては、モックスロータスソルリンが不採用なため、強く使えない点が大きい。ただしその分、劣勢時に逆転する力は減っています。イージーウィンも基本できないので、この辺のリスクリターンの兼ね合いに関しては、まだまだ再考の余地あり。

 上記4種を積まないせいで下がったデッキパワーの底上げを担うのが、デモチューです。アンリコが実質2枚になるのはあまりに大きい! 露天鉱床やカオスオーブも引っ張ってこれますしね。

 黒ソースは5枚。割られることも考えると非常に心許なく、平地2枚をスクラブランドに変えて黒ソース7枚にしたいところですが、平地を5枚にすると相手の血染めの月のリスクが高まるためなんとも悩ましい。

 サイドはメタ次第なので割と適当です。

○いざ、旧作杯へ

《R1 トロールディスコ》

 G1 トロールを2体出され、フルタップで1体を処理するもリコールで回収されて負け。初手に2枚あった解呪が1枚腐ったのが痛かった。黒ソースを引かず打てなかったデモチューが悲しい……。

 G2 相手が後手1ターン目にアレックス。露天も月も引けず。それだけならまだなんとかなったものの、アンリコ&リコールからのアンリコ2発目で完封負け。

 全体としては不運ではあるものの、黒ソース5枚でデモチュー打てないのは甘えと言われても仕方なし。G2も露天鉱床の4枚目取ってたらなんとかなったかもだし。

《R2 マーフォークタッチ火力》

 G1 空飛ぶ男やら11マーフォーク並べられ、こちらの白騎士とギリギリのダメージレース。ロードに打つため稲妻を温存したところ、相手はずっとロード引かずで負け。なお手札には黒ソース引かず打てないデモチュー……。

 G2 相手のセレンディブを除去したところお代わり。セレンディブ出して応戦するも除去られて、セレンディブが止まらず。ダメージレースに持ちこみ、火力引いたら勝ちの状況にして実際引くも、青霊破で打ち消されて負け。

 G1でデモチュー打ててたら多分勝ってたはず。黒ソース5枚は甘え(二度目)。

《R3 Jesper Myrforsのイラスト縛りデッキ》

 イラストレーター愛に溢れた(おそらく)世界唯一のデッキ。

 が、いかんせんデッキパワーが違いすぎて、G1G2共に普通に殴って勝ち。

《R4 黒単コントロール》

 G1 後手で「プラトー、ライオン、ライオン、ソープロ、稲妻、白騎士、Order」のハンドを「露天鉱床+2枚目の土地引かず、以外のパターンならなんとかなる」でリスキーキープしたら、2ターン目露天鉱床&2枚目引かずで負け。

 G2 憂鬱を臨機応変で「黒」に変更して勝ち。

 G3 序盤あれこれされるも相手の土地がミシュラの工廠&沼1枚でストップ。その間に展開して勝ち。

 臨機応変様々。このための3枚積み。

《R5 エイトグ》

 G1 相手が先手1ターン目に黒の万力。ライオンで返すも、先手後手の差は大きく負け。先手なら勝ってるゲーム。典型的な対エイトグ戦。

 G2 「土地6枚」「土地が露天鉱床のみ」でダブマリ。ダブマリ後の土地が真鍮2枚で、さすがに真鍮からのダメージが痛すぎて負け。

 G1はともかく、G2はもうちょっとなんとかなってほしかったなあ。

《R6 黒単アグロ》

 G1 1ターン目、リチュアルから2体展開される。除去ったりするもプロ白が止まらず負け。

 G2 お互い並べ合ったところに不吉の月。それを臨機応変で「白」に変えて勝ち。

 G3 相手4マリでゲームにならず。

○総括

 アンリコ引いたのがR3G2の勝ち確盤面だけと、全体的にどうにもツイてない感じではあったものの、黒ソース不足でデモチュー打てなかったのがすべて。

 デッキ自体はマリガンもフラットもほぼなく、安定感は抜群。でもさすがにゲドン系は入れた方がいいかもしれません。そもそもメインのセラ天はどやねん、という話もある。細かい部分が調整不足……。

 何はともあれ、対戦してくださった方々、主催の添削さんやジャッジの皆さん、ありがとうございました!

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