【翻訳】再録禁止リストについて知っておくべき、聞くのをためらうような疑問含め全て、或いは何故あなたが間違っているかについて
(この記事は海外のカードショップ店主Dan Bockの記事を機械翻訳してだいたい読めるように手を加えたものです。原文はこちら)
(追記:英語のできる読者の方が自然かつ正しい日本語に翻訳してくれましたので、全部差し替えました)
私はMtG、そして再録禁止リストについて話すのが大好きです。ところが、ここ数年的を得た提言というのを目にしていません。そのため、今後また的外れな提言がなされる時のためにこの文章を残すことにしました。
さて、早速ですが、
再録禁止リストについて知っておくべき、聞くのをためらうような疑問含め全て
或いは
何故あなたが間違っているかについて
本稿は長く、また多くの定義を含みます。まず再録禁止リストそのものから。はるか昔、MtGの歴史上いくつかのことかほぼ同時に起きました。
1.MtGを作った会社が入手困難な、貴重なカードを大量に再録した
2.MtGを作った会社が現行セットを大量に生産した
細かいようですが最初に明らかにしておくべき点があります。「再録禁止リスト」と言う時、いくつかの意味を持ちますが、これは2つの要素から成り立っています。
・572枚のカードリストそのもの。これが再録禁止リスト(The Reserved List)です。
・これらのカードを再版しないという宣言は再録禁止保証(The Reserved List Promise)です。
MtGはゲームです。そしてコレクターズアイテムです。この2点が両立しているのがいかにユニークであるか考え、理解する事が大事です。マンガは素晴らしいです。ベースボールカードは素敵です。テディベアやメンコは…まあ、そういうものです。重要なのはMtGをこれらのコレクターズアイテムと比較した場合、実際に使用するか、という点です。少なくともこれらはMtGのプレイヤーがカードを使うほど頻繁には使われません。収集要素があり、カードを使うという消費活動のために需要があります。
もしあなたがMtGを始め、2000ドルをシングルに費やし数年遊んでから売り払う場合、おそらく1200~3000ドルを手にするでしょう。このことについてあなたがMtGプレイヤーならピンとこないでしょうが、他の趣味を持つ人ならこの特殊性に気が付くのではないでしょうか。もしあなたが2000ドルの釣竿を買って3年間使い、そして売却するなら1200ドル、ましてや3000ドルになることは絶対にないでしょう。登山道具、アクアリウム用品、PCパーツ、あるいはジェットスキーが3年間使用されたあと購入価格の60%、ましてや150%で売却できるなんてことはありません。MtGプレイヤーの皆さん、良いものをお持ちで! MtGはそれ自体が素晴らしいものなのです。
では、なぜMtGのカードはそんなに価値があるのでしょう? それは需要と供給があり、そして一社のみが供給している、つまりその会社が市場に存在する数を決められるからです。WotC製の《反逆の先導者、チャンドラ》の値段が気に入らないからといってブシロードのWebサイトでそれを見つける事はできません。マーベルの価格に不満があるからと言ってDC版を探すようなことはできないのです。
(ええ、DCに「ウルヴァリン」が無いことは知っています。ただ、競合他社が存在するからこそマーベル、DC、そしてImage(まだあると思ってなかったです、マンガを買ったのは随分前の話なので)から選ぶことができるのです。もし一社の売り上げが落ちたなら、縮小あるいは撤退するでしょう。MtGを作っている会社についてはこの心配は不要そうです。 Vampire the Eternal Struggle、Netrunner、Force of Will、そしてStar Wars Destinyに乗り換えることはできます。ただ結局はサービス終了に伴い、あなたはMtGに戻ってくるでしょう)
1993-95年当時、WotCは市場へのカード供給に問題を見つけ、新規プレイヤーが高額カードを得る機会としてクロニクル(訳注:4版の拡張として発売されたセット。「アラビアンナイト」、「アンティキティー」、「レジェンド」、「ザ・ダーク」から再録されたカードのみで構成される)を発売しました。これは地獄の窯を開けたようなものです。初版のカードが暴落し、大量のプレイヤーが離脱し、そしてコレクター達は激怒しました。その頃、MtGの購入層におけるコレクターの割合は今よりずっと高く、さらに多くのコレクター兼プレイヤーがいたのです。この失敗のため、WotCは保証をしたのです。リストを作り、内容に2度の改稿を経て、それらのカードが絶対に再版されないと保証しました。これが再録禁止保証です。
あなたが信じるかどうかはさておき、これはMtGの危機を救ったのです。当時のプレイヤーでなければ理解し辛いかもしれませんが、この保証がなければあなたは今MtGをプレイすることはなかったでしょう。なぜなら、非常に、事業継続の判断に関わるほど多くのプレイヤーがカードを手放し、そしてサービス終了に至るはずだからです。クロニクルのような過ちを二度と起こさないという共通理解こそがMtGを強くしました。これによりあなたが100ドルで作ったデッキが3か月、あるいは半年後に大量に再版されたため10ドルの価値になるようなリスクが非常に少なくなったのです。
これは信用に基づく経済です…ん? 何か聞こえますね。不信感に満ちた鼻を鳴らす音が。いいですか、これは信用に基づく経済活動なのです。需要と共通は確かに重要ですが、信用と共通認識はカード価格設定に大きな意味を持っているのです。悪い事ではありませんよ。信用と共通認識の果たす役割の大きさについて疑問をお持ちですか? 仮にWotCが新セットを発表し、それに高額カードの再録が含まれるという情報がリークされたとしましょう。このカードの価値が下がるのはいつでしょうか。リーク時? それとも実際に発売されてから? MtGプレイヤーは賢いので、《反逆の先導者、チャンドラ》が構築済みデッキに収録されると発表されたらなら、3か月後に供給が増えていなくても、カードの価値が下がる事を知っています。これはとても重要なことなので覚えておいてください。
そしてWotCは市場における信用を確固たるものとすべく、絶対に再版されないカードのリストを作りました。WotCは顧客にそのリストのカードを購入した後、一月後に突然100倍の枚数が市場に出回るという事は起き、健全な供給がなされると信じて欲しかったのです。それが再録禁止リストです。
そう、これはかなりエキサイティングですが、ここで法律家の話をします。特に理由はありませんが、約束的禁反言(Promissory Estoppel。訳注:英米法の契約法上の概念のため日本の法律から考えると奇異に感じるかもしれません)の話です。これにおけるShahrazadとして、契約法について話しましょう。私はパイロットではないので、あなたが飛行機に乗っているときにパイロットが亡くなり、飛行機の着陸を案内してくれる人が必要な場合は、私ではなく航空交通管制に電話してください。同様に、私は弁護士ではなく、この記事は弁護士の見解ではありません。契約とは、誰かが何かと引き換えに何かをしたり売ったりすることに同意したときです。その物の前払いをした後、その物が配達されなかったり、サービスが提供されなかったりした場合、それは契約違反でり、損害賠償の対象となる可能性があります。
では、約束的禁反言とはいったい何でしょう?ビジネスにおいて、企業はしばしば声明を出す必要があります。株主、従業員、そして顧客に対して何が起きており、なぜこのようなアクションが必要かを説明します。簡単に言えば約束的禁反言とは、契約です。ただし対価のない。もしあなたが50ドルで芝刈りをする事に合意し、その後しなかったとします。私があなたに50ドルを支払っていたら、私はあなたに50ドルを請求する事が出来ます。この例における50ドルを「対価」、本質的には契約を遂行する上で得られる利益です。誰かが対価なしに約束や保証をする時、つまり誰もその行為に対して報酬を払うと言っていないのに「芝刈りをするよ」と言う事になります。では、この場合あなたが芝刈りをしなかったらどうなるのでしょうか?まあ、多くの場合はどうもしないでしょう。ただし、例えば私が第三者に「家を売るにあたって芝刈りをしないと。見栄えが悪いと売れないからね」と話している際にあなたが「僕が芝刈りをするよ」と言ったならどうでしょう。私はその約束を信頼した上で行動します。それは私が家を売るために展示しており、そのために芝刈りが必須だが庭師や近所の子供に依頼せず、あなたが芝刈りをすると信頼する、という事です。もしあなたが芝刈りをせず、そしてそのために庭が荒れ放題の家の展示が上手くいなかったら、私はあなたを約束的禁反言に基づき訴える事ができます。これは特にあなたが展示について、また展示がうまくいくかどうかは芝刈りにかかっている事を知っているからです。
他の約束的禁反言の例を考えてみましょう。Alex、Becca、Carlosはそれぞれ空き地である連続したA地区、B地区、C地区を所有しています。彼らは互いに友達で、自分たちの土地をどう活用するか話し合います。AとCはマンションを建てようと考えていました。Bは商用利用は考えておらず、アウトドアを好み、また他の人がアウトドアを楽しんで欲しいため、そこを公園にしようと考えています。BはAとCに「B地区はずっと無料で使用できるようにするわ。ブランコや砂場、サッカー場を設置して誰でもいつでも使えるようにするの」と伝えます。Bはそのとおりにし、AとCは両脇に素敵なマンションを建てます。窓から公園を臨めるため、AとCのマンションは好評でした。Bが公園にしたため、AとCは土地開発を行いました。公園の横にあるという価値を知っていたからです。ここで注意すべきは、AとCが1000ドルで土地を買ったとしても、土地開発を行いマンションを建設するという付加価値に資本を投入することで現在の土地の価格は1000ドルよりはるかに高くなります。これに対してBに支払いをする必要はないのです。もしBが自分の土地をマンションにしたり、あるいは売却して新しいオーナーがマンションを建てる場合、それはAとCに収入の減少をもたらします。AとCはBの約束を信頼したのです。これは土地の価格が元々1000ドルであったとしましょう。もし現在の公園の横のマンションという事で30万ドルの根が付いており、Bが自分の土地に別のマンションを建てたことでACマンションの価値が損なわれ10万ドルまで減少したとします。例え約束がなされたのが1000ドルだった頃の話であっても、AとCはBの約束に基づいたこと、そしてBがその約束を守らなかったことで資産価値が10万ドルに減少したなら、約束的禁反言に基づく損害賠償請求を起こすことができます。この場合B地区を売却するときには、潜在的なリスクについて明らかにする事が必要な事を覚えておいてください。Bが自分の土地を売却する場合、約束が効力を持っている点を開示することはとても重要です。
約束的禁反言の原則は、約束された側が受けた損害について、損害が約束した側の約束によるもの、またその約束により約束された側がある行動を取る/取らないのに十分な理由がある場合、損害賠償を請求できます。
1:約束がなされたこと
2:約束された側がその約束を信頼したこと(不利益的信頼)
3:約束が守られなかった場合、信頼した人が重大な損害を被ること
では、約束的禁反言と再録禁止リストはどのような関係があるのでしょうか。WotCが再録禁止リスト上のカードを再版したり、リストを削除したりすると、それらのカードを持つ人たちから訴えられることになり、この訴訟の根拠となるのが約束的禁反言です。
WotCは「これらのカードは再版しない」と約束し、その約束を事あるごとに強調してきました。この約束は会社の所有権移転の際も引き継がれ、新しいオーナーであるハズブロはこの約束を再確認しています。
MtGコミュニティはこの約束に依存していました。我々コミュニティは「このゲームは死の淵にありましたが、マンガやメンコ、またはポケモンTCGにお金をかける代わりに、このゲームを遊び続け、カードを買うつもりです。なぜならこれらは将来においても価値を保証されているからです」と言い続けてきました。
もしWotCが再録禁止リストのカードを印刷したら、それらのカードの価値は暴落します。再版するとアナウンスしても同様です。もしプロモとして世界に10枚だけ《Black Lotus》を再版すると言っただけでも、全てのロータスが暴落します。
なぜか。
これは信頼に基づいており(覚えてましたか?)、価格変動はアナウンス時に行われます。実際の発売時ではないのです。WotCが10枚のみの再版と発表したところで約束は破られ、信頼は壊れ、人々は「へえ、WotCは絶対に再版しないと言ったのに10枚だけ再版するだって ?じゃあまた再版するかもしれないから今買うのはやめてまたの機会を待とう」と考えます。30年近い歴史の中で彼らが覆さなかった数少ない一つが再録禁止リストです。再録禁止カードが欲しいと考えている人は、将来価値が落ちるという期待の元に購入を見送る理由ができます。この見送りはカード価値の低下を招きます。この信頼に基づく経済活動は、需要と供給だけでなく、将来への認識によって明らかな影響を受けます。将来の需要と供給に対する認識です。
さて、数字のお時間です。これは本当に重要です。
各セットの各レアが何枚印刷されたかは次のとおりです。
アルファ 1100
ベータ 3200
アンリミテッド 18500
リバイズド 289000
レジェンド 19500
アラビアンナイト 20500
アンティキティー 31000
ザ・ダーク 128000
フォールンエンパイア 744000
アイスエイジ 202000
ホームランド 413000
アライアンス 326086
ミラージュ 242424
ビジョン 240000
ウェザーライト 240000
テンペスト 242424
ストロングホールド 272727
エクソダス 272727
ウルザズサーガ 363636
ウルザズレガシー 303030
ウルザズディスティニー 303030
はて、再録禁止リスト上のカードの総価値とはいくらでしょう? 普通、人と話すときには《Underground Sea》というカード単体についての話になります。ほとんどの人が目にしており、その有用性と価値を理解している、1枚のカードです。《Underground Sea》は4つの基本セット、α・β・アンリミテッド・リバイズドに収録されています。リバイズドは英語以外も存在します。そして私は通常リバイズド版の話をしています。30万枚が存在し、この記事の執筆時点での中間価格は576.21ドルであり最安値のLPは505ドルです。仮に平均価格を550ドル(安めに見積もって)とします。《Underground Sea》すべての価格は1億5895万ドルです。ああ、もしあなたが商魂たくましく350ドルに値切るとしても1億500万ドルです。口にしてみましょう。ほら。リバイズド版《Underground Sea》をすべて合わせると、約1億500万ドルの価値があります。というのが私の主張なのですが、もう少し深く掘り下げるつもりですし、時間だけはあります(お金は?)。今日は再録禁止リストの価値について、もっとよく理解してもらおうと思います。
再録禁止リストはそれぞれ別名の572枚のカードが記載されています。英語版以外(リバイズド、およびザ・ダーク以降(訳注:詳細は各国語により異なる))を無視すると、692枚のバリエーションが存在します。現在では再版されませんが、《Underground Sea》《Tundra》には4つ、《Mox Jet》《(α版に存在しないため)Volcanic Isnad》には3つの版違いがあります。
この692種の内、289種が20ドル以上の値がついています。289種のカードの中間価格と数量を掛けると合計で3,536,621,684.73ドル、つまり35億ドルになります。現在WotCを所有しているハズブロは約50億ドルの価値があり、年間約5億5000万ドルを売り上げています。
では何故再録禁止カードの価値が重要なのでしょうか。
WotCが再録禁止リストのカードの再版をするとします。この場合既存のカードの価値は下がります。リバイズド《Underground Sea》は450ドルの価値があるとして、WotCが「再録禁止マスターズ」の発売とそれに《Underground Sea》が含まれるとしたら価値は下がります。どれくらい? 分かりません。おそらくその価値のほとんどを損なうでしょう。それがFrom the Vaultのような限定商品であれ、ほんの少しの約束破りであれ、再録禁止保証によって築かれた信頼は《Shatter / 粉砕》されます。どれくらい刷られるかは再版されるという事実ほど重要でありません。Underground Seaが450ドルから100ドルに下がれば、約1億ドルの損失です。再録禁止リスト全体なら約30億ドルです。我々が調べたのは再録禁止リストの中でも最も高いカードであり、それらの価値が損なわれる事はないというのは理にかなっています。リストを価格順にすると最高額は全てα版、次いでβ、そしてアンリミテッドです。ただし、後のセット比べて数量が刷られていないため、総価格における割合は多くありません。そこでこれらのセットのカードを除外します。これで139種のカードがリストから消えましたが、残り150種はまだ25憶ドルの価値があります。リストの上位には名前の長い土地、《Bazaar of Baghdad》、《Library of Alexandria》、《Mishra's Workshop》、《Juzam Djinn)》、《Moat》、《The Abyss》、《Candelabra of Tawnos》、《Chains of Mephistopheles》、そしてリバイズド版デュアルランドです。
もしWotCがこれらを再版したら訴訟されます。「多分」でも「おそらく」でも「めったに起きない」でもありません。絶対に、確実にです。その結果がどうなるかは分かりませんが、訴訟自体は発生します。ではあなたがWotC社、もっと言えばHasbroの弁護士であれば、この問題をどう考えればいいでしょうか。まず、あなたが楽観主義であるとしましょう。この訴訟の内1割しか負けないとします。損害賠償の総額は25億ドルで、その内1割を負うとしても2.5憶ドルです。これは年間売り上げの3分の1です。
カードが再版されない最大の理由は訴訟への恐怖です。勝てる見込みや訴訟の起きる確率ではなく、それが持つ潜在的な総額の大きさから、仮に負ける見込みが低くても破滅的な結果になります。
と言った所で続けましょう。このバカみたいに長い文章にお付き合い頂いている事に感謝していますが、まだあなたを完全に納得させられていないようです。残りについては一問一答形式にします。
1.ダン、もしBlack Lotusが再版されるならヴィンテージの人口増になりBlack Lotusの価値は上がるよ。彼らは訴えたりなんかしない。
-いいえ。わずかであれ再録禁止保証が守られないなら、信頼は砕かれ価格は暴落します。それが一度きりのだと約束したとしても、信頼に基づいた取引は破綻します。ヴィンテージの人口増については同意します。しかし、どれくらいの利益につながるのでしょう? 5%? 10%? もし現価格から8割暴落したなら、需要と供給のバランスが以前のようになるにはヴィンテージプレイヤーは現在の4倍に増えなければなりません。
2.ダン、何故彼らは氷雪デュアラン、氷雪ロータス、あるいは伝説のデュアランを印刷しないの?
-再録禁止リストの定義において彼らはそれらもしないと特筆しています。カード機能的に同じものの再版、同型再版、そして少し長所/短所を持ったカードは全て約束の中で禁じられています。氷雪デュアランはこの約束を破るものであり、価値を暴落させます。
3.ダン、もしHasbroがダミー会社を作ってMtGを売り渡して、その…
-あなたが会社を買うとき、それは資産と負債も買うということです。ABC社という会社を作ったと想像してみてください。ABCは10万ドルの融資を受け、それは1000枚の100ドル札で引き出します。それからXYZ社を作り、ABCを買収します。それから「おや、ちょうど手元に100ドル札がたくさんあるのでこれを90ドルで売るってのはどうだい?」と言い、そのようにしました。これで9万ドルが手元に残ります。ですが彼らは銀行に対し「10万ドルの返済については残念だね、でもあれはABC社への融資でうちはXYZ社だ。別会社なんだよ」と言うのは許されません。
これは再録禁止保証についても同様です。それは会社のものでありWotCを売る、または買えば再録禁止リストを取引しているという事です。さもなければ至る所でABC/XYZ社が乱立します。そんな世界で暮らしたいですか?
また、カードを刷る権利を他社にライセンスの形で譲渡するなら、あなたの会社かその他社、あるいは両方が訴えられます。あなたが印刷会社だとして、WotCがあなたのところに来て「訴えられたくないのでこれらのカードを印刷してください」と言った場合、あなたも訴えられたくないので、それらを印刷するつもりはないでしょう。
最後に、もしそれほど単純な話なら彼らは15年以上前に買収した際にそうしたはずです。そしてそうはなりませんでした。
もう一つ最後に、もしそんなダミー会社のやり口が可能なら、それはそもそも再録禁止リストや他の契約上の義務など無意味ということになります。
4.ダン、再録禁止カードを再版するなら賠償額より稼げるよ。
-いいえ。いかなるセットでも10億ドルの売り上げはありません。その1%に近い数値ですら達成できていません。
5.再版のアナウンスをするが、同時に5年以上先の話だとアナウンスすればいい。
-その発表された瞬間に市場は崩壊し、二度と回復しません。その5年間で会社がつぶれる可能性は十分にあります。
6.資金をじゃぶじゃぶ注ぎ込み、MOを修正して、MtGプレイヤーの数を6倍の6千万人まで増やそう。そのお金で予想される賠償額を賄うんだ。
-正直に言えば、これは2005年、おそらく2009年頃まで有効な手でした。現時点ではMOで行われている不正行為、および再録禁止カードの高騰により賄えません。
7.彼らが再録禁止カードを買い占めたら?
-仮にそうしたとして、あるカードの全数量のわずか1%を買ったとした場合、そのカードの価格は2倍になり、さらに難しくなっていきます。このやり方は意図したものとは正反対の結果を招きます。現在tcgplayer(北米中心でショップおよび個人間で取引するためのサイト)では78枚のリバイズド版《Underground Sea》が売られています。たった、ななじゅう、はちまい。総数量は30万枚です。ebayにはさらに70枚ありますが、もしこの148枚を購入したら12万ドルの費用をかけて全体の0.04%を購入したことになります。市場に影響を与えることなく市場規模を縮小させることはできません。
8.From the Vaultのような数量限定で再版すれば影響は少ないよ。
-限定であろうと再版は約束の破棄であり、将来に無限の再版の可能性を残すことになります。うまくいきません。
9.ゼンディカーのようにトレジャーでやればいい。
-彼らは封入したカードをセカンダリマーケットで購入しました(訳注:当時はWotCが所持していたカードを封入したとアナウンスしていた覚えがあります)。印刷した訳ではありません。セカンダリマーケットから数が減ったため、価格は上がり、その上昇幅は無料配布による下降幅のと同じだけのものになります。
10.MtGプレイヤーは訴えたりなんかしないよ。ばかげてる。
-私はコミュニティのかなり深く関わっているので言っておきますが、世の中には度肝を抜くようなコレクターが存在します。弁護士を雇うのなんて屁でもありません。WotCが約束を守らなかった場合に弁護士に陳述書を書かせる費用なんてはした金に思えるほどの金額をコレクションの保険契約として毎月支払っているのです。再録禁止保証が破られたなら1日と経たずに訴訟は行われます。そしてすぐに集団訴訟に発展します。何年もカードに触れておらず、完全に忘れていたような人々がそれに参加するのです。
11.再録禁止カードの再版に対して、再録禁止保証がなされた時の価格でしか損害賠償できないんじゃないの? 例えばUnderground Seaは当時10ドルだったよ。550ドルじゃなかった。
-いいえ。それは約束的禁反言の法理とは違います。あなたは約束に基づき決定を下します。その価値は不変のものではありませんし、約束された時の価値ではありません。約束された時点での価値は無視できるほどのものです。約束的禁反言は価値を生み出していくという約束に基づく行動へ適用されるもので、未来のためのものです。
12.ほとんど、あるいは多くの高額カードがゴミとして捨てられている。(訳注:そのため数量に基づく損害賠償額は間違っている、という事が言いたいのかと思います)
-(ため息)週にいっぺんは私の店に「ロータスおじさん」が来ます。「へえ、MtGはまだ続いているの? 昔αとβとアンリミのパワー9を4枚揃えていたんだけど、大学生の時にママが捨てちゃったんだ!」嘘です。あなたにママがいた以外は。もし刷られたものの内1%以上が廃棄されていたとしたら、相当なショックです。
13.なぜ彼らはエターナルのサポートをやめないの? そしたら再録禁止カードの値段が下がって損害賠償額を払えるレベルまで落とせるじゃん。
-これには2つの問題があります。一つ目は、WotCは既にエターナルへのサポートをゼロに近いところにしています。人気は損なわれていますが、何があろうとなくなることはありません。二つ目はカードの機能的な価値が損なわれても、金銭的な価値は今だ天文学的です。そのような事をして再録禁止カードの総価値を半減させたとしても、まだ20億ドル近い訴訟を目にすることになります。
14.エターナルはパックの販売がないのでWotCの利益に繋がってない。
-これは複雑な副次的議論であり、誤りです。まず、「WotCがお金を稼ぐ唯一の手段はパックを売ることだ」から。これは真実ではありません。彼らはMOを運営し、そこでイベントを開催しています。パックはWPNストアやその他の店舗に販売され、売り上げの大部分を占めています。WPNストアの存在、そしてプレイヤーが友達をWPNストアに連れてくることは新規プレイヤー、つまり新規顧客獲得において最も有力なものです。ただし、多くのWPNストアが売上を維持しているのはシングル販売によるものです。スタンダードとドラフト以外のフォーマットをすべて廃止したならば、すぐに多くのWPNストアが廃業するでしょう。これはウィザーズ社にとっても破滅的なことで、これまでWPN店でパックを買っていた人々の多くが、突然パックを買いに行く場所を失うことになります。もちろん、オンラインで買うことはできますが、買う量が減り、衝動買いも減り、非常に重要なプレイ場所が一つ減ってしまうのです。エターナルは新しいフォーマットほどパックの売上に貢献しませんが、それでもゲーム全体の健全性にとって重要です。MtGが最高の状態にあるとき、すべての形式がサポートされ、うまく機能していました。
15.契約なんてない。WotCがプレイヤー達とテーブルについて何かを取り交わしたことなんてない。
-約束的禁反言は正に、契約という形で締結されていない状況のためのものです。
16.コレクターズエディションとインターナショナルエディションを使用可能にしたら?
-これはかなり中庸の意見です。訴訟を起こすことはありませんが、需要にはまったく貢献しません。それらのカードは全部で約15,000枚ですが、それぽっちでは市場に何も影響しません。
100.ダン、君はかなり偏っている。もちろん、君は再録禁止カードの再版なんて望んじゃいない。君はP9を何千枚も持っていて、再版は君のようなクソったれだけを狙い撃ちしている。何で君の言う事を信じなきゃいけない?
-私はこの種の質問、礼儀を欠いたものも含めて愛しています。私はMtGを愛しています。どんなに言っても言い過ぎる事はありません。再録禁止リストはこのゲームを死の淵から蘇らせたと信じている一方で、それがゲームの足かせになっているとも信じています。再録禁止カードは再版されるべきです。単にその手段がないだけです。MtGには参入障壁の異なる様々なフォーマットが存在し、そのすべてがうまくいっているときが一番いいのです。MtGは生態系なのです。スタンダードとドラフトがパックを売る方法なのは明らかですが、全てのフォーマットが全体の環境に作用しWotCがうまくいくような経済活動を作り出しています。正直に言えば、私はMOを修正しなかったこと以外でのWotCが犯した最大の過ちの一つはエターナルへのサポートをやめた事です。エターナルにおけるカードの流動性が最低レベルのものであったとしてもです。
私は再録禁止カードの再版を強く望んでいます。エターナルをサポートして欲しいのです。また、彼らがこのゲームを終わらせたり会社を畳むようなことはしてほしくありません。有り体に言って、これらは対立しているのです。
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