第15回ヴィクトリアマイル(GⅠ)

 今年のヴィクトリアマイルにはアーモンドアイが出走してくる。現役最強馬が牝馬限定戦に出てくるのだから、普通に考えれば負けるはずがない。そう考えたら、ウオッカのことを思い出した。

 ウオッカのヴィクトリアマイルといえば馬なりでぶっちぎった2009年の方が有名だが、その前年、GⅠ2勝のダービー馬として参戦した2008年のレースの方を思い出したのである。エイジアンウインズを捕まえきれなかった、あのレースである。

 2008年のウオッカが、どのような過程でヴィクトリアマイルに臨んだかというと、日本ダービー1着→宝塚記念4着→秋華賞3着→ジャパンカップ4着→有馬記念11着→京都記念6着→ドバイDF4着というもの。64年ぶりの牝馬としてのダービー制覇の後も、秋華賞ではダイワスカーレットに返り討ちに会い、古馬・牡馬への挑戦を続けるものも結果は出ず、この時点でのウオッカには「早熟だったのでは?」という見方が多かったように思う。いかに遠征帰りあとはいえ、ダイワスカーレットのいないメンバーで単勝2.1倍もついていたのだ。

 そのレースをウオッカは落とす。ウオッカに対する期待が幻想にすぎない。多くの人がそのように諦めをつけた1カ月後に岩田を背に鮮やかな復活劇を見せることになる。そしてその秋にはあのダイワスカーレットとの天皇賞での再戦が待っているのだ。

 結果、ウオッカはこの後5つのGⅠ勝利を重ねることになる。ウオッカを早熟馬だと評価する人はいないだろう。となると、ヴィクトリアマイルの敗因の一つは「ドバイ遠征の目に見えない疲れ」ということになる。では今年のアーモンドアイはどうか。レースをしたわけではないから、おそらく精神面の問題だけ。有銘記念での初の大敗の後、という不安要素があるわけではないが、ルメールはこの種の不安を払拭する上では最高の騎手であろう。ウオッカでジャパンカップの2400mを持たせ切ったのも11年前のルメールだったのだ。

 昨日の雨はそれなりの雨量。パンパンの良馬場というわけではないとすれば、アーモンドアイ以外は紛れがあってもおかしくない。ただでさえ荒れるレースなのだから。ひも荒れを期待して、⑫アーモンドアイを頭に、馬単、3連単を人気薄から幅広く。時計のかかる馬場が得意の⑩メジェールスー、⑮アルーシャあたりがからめば面白いのだけれども。

 

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