見出し画像

なんでこんなにお安いんですか?

お客様によくいただくご質問です。自分で言うのは少し気が引けますが、僕のお店の時計修理価格は相場に比べてお安いです。なんでお安いのか、今回はそんなnote...

画像1

"時計修理って高いんだなぁ…"

僕が時計修理業界に入って最初に感じたことは、『時計の修理って高いんだなぁ...』ということ。正直、この業界に入るまでは、人並み以上に時計に興味を持ったことはなく、時計は4年に一度のオーバーホールが必要なことや、自動巻時計は巻かないと止まってしまうということすら知りませんでした。実家が眼鏡・時計屋だからと言って、その子供がそれに興味を持つとは限らないんですね。親心子知らず…

僕がそんな素人同然の時期に受けた印象である"時計修理の敷居の高さ"は、一般的なお客様が時計修理に対して感じることと、とても近いと思うので、今でもこの時の感覚をすごく大切にしています。


"いつか直そう…"

前職の勤めが都内であったこともあり、最初はそのあたりの時計屋を調べて回りました。10年前の当時で、国産時計のオーバーホールが2万円程度、海外のブランド時計だと4万円程度でした。時計の部品価格が年々上がってきていることもあり、今ではもう少し上がっています。当時の自分は、2万円くらいのSEIKOの時計を使っていたのですが、この修理価格の相場を知った時、もし自分の時計が壊れたとしたら、修理代が高いし、"いつか直そう…"となり、放っておくか、買い替えてしまうなと。海外の高級ブランド時計であれば、修理代が高くてもしょうがないとなるかもしれませんが、比較して購入価格がお手頃な国産時計は、余計に眠らせてしまいがちです。


"時計修理ってどうして高いのだろう"

 時計修理ってどうして高いのだろう。まずそこについて考えてみました。時計修理はすごく細かい作業が多く、一つの時計を修理するにもある程度の時間がかかるし、専門的な工具や部品を揃えたり、知識・経験が必要です。これに対するコストは確かにわかります。ですが、それよりも僕が一番気になったのは、実際に修理を行う職人に、時計が渡るまでの"過程の多さ"によるコストです。いわゆる企業には、プロモーションをかける人がいて、それを見て来店するお客様に対応をする受け付けの人がいて、受け付けた時計を外注の時計修理屋に運ぶ人がいて、その修理屋のオーナーから"ついに"雇われている職人に渡ります。これは少し極端な例かもしれませんが、時計修理業界ではわりと一般的な流れです。このシステムが良い悪いではなく、仮にこの全ての過程を、時計職人自身が行うことが出来たら、お客様にとってもっと本質的なサービスの提供が出来、価値のある職人になれるのではないか、僕はそう思いました。職人をしながら、それをやっていくことは簡単ではありませんが、やってみたいなと。

画像2

"時計修理をカジュアルに"

僕が時計職人をやっていて一番残念なことは、時計修理の敷居の高さが原因で、時計が使われずに眠ってしまうことです。

"本質的なサービスで、良い意味で時計修理をカジュアルに"

そんなことを自分の出来る範囲で続けていって、眠ってしまう時計を減らしていくことが出来たらうれしいなと日々思っております。


閉店ガラガラ…