時間を止める三ステップ⑨

《第三ステップに関する補足》


おさらいになりますが、第三ステップにおいて皆さんに求められるのは次のことです。基本的に「座り」すなわち座るという行為に対して、「全心没入法」と「全心観察法」の「同時実践」を試みること。そして、ここに言う「同時実践」の意味は、同時に、なおかつ同じ比重で実践するということです。

で、これも、前回申し上げたことの繰り返しになりますが、「座り」に対して「全心没入法」と「全心観察法」の「同時実践」を試みることはある角度から捉えると、心(百パーセントの心)を「座り」の中に入れようとする志向と、心(百パーセントの心)を「座り」の外に出そうとする志向とを五分と五分に拮抗させて、どちらにも偏らないようにするということでもあります。

前出の二つの志向を五分と五分に拮抗させてどちらにも偏らないようにするということは言い換えれば、心を、「座り」の中に入れているのかそれともその外に出しているのか、どちらとも取れるような、あるいはどちらとも取れないような、一体どちらなのか判別のつけようが全くない、どっちつかずの真ん中の状態に持って行く、ということでもあります。

その「どっちつかずの真ん中の状態」と言いますのは顕微鏡を覗くような細かい眼で調べてみても、どちらかへの偏りを見つけ出すのが不可能な状態でなければなりません。心を前述のような状態に持って行くためには、そういう意味での精密さ精確さが要求されるということです。

で、心をその状態に持って行くことに成功いたしますと何故か、心は脇に退いてしまいます。そしてその結果として、それまで心に感じられていた時間、すなわち心理的な時間もまた消えて無くなるというわけです。

今回の話は以上です。

中島タローでした。

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