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TENETカーチェイス全然わからないので図解してみました

※TENETのネタバレを含みます。

こんにちは、小谷太郎です。

みなさん、TENETは御覧になりました?

10/21に『TENET テネット のことで物理学者に質問ある?』 というオンライン・イベントを行なうのですが (よろしくお願いします)、その予告と予習を兼ねて、TENETの解説を少々ここに展開したいと思います。note は初めてです。

***2020/10/24 追記: イベントは終了しました。御参加ありがとうございます。***

そのオンライン・イベントでは、TENETが下敷きとしている物理学を中心に語りたいのですが、しかしそもそも物理学以前にこの映画めちゃくちゃ複雑で、誰が何をしてるのか1回観ただけじゃ分からないじゃないですか。情報量は圧倒的だし台詞はハードボイルド調でぶっきらぼうだし、もっと主人公に説明口調でしゃべらせてくださいよノーラン監督。

ところでTENETの主人公 (Protagonist) はなぜ名前がないのか、分かりました?名前を何らかの記録に残すと、未来人に情報が渡ってしまって不利になるので、だから名前を隠しているんですね。1回目に観たときは思い至りませんでした。

ところで主人公の逆行版はなんて呼ばれているか、分かりました?主人公は自分と対決した後で、「悪役 (antagonists) に会った」と言うんですが、これは "anti-particle" が「反粒子」を意味するように、「反主人公」の語呂合わせになってるんですね。ノーラン監督による (駄) 洒落でしょう。

最初から最後まで難解なこの映画なんですが、特に訳がわからないよと評判のカーチェイス部分について、図解してみました。映画の進行順に番号を振ってあります。

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(1) まず主人公たちが消防車を使って「プルトニウム241と呼ばれるアルゴリズム装置の部品」を奪うまでは、普通にどきどきはらはらしながら観ていればいいですよね。(2) 逆行するアウディが現われたところで、観客はこの映画何が起きてるの??と不安に駆られます。そもそも映画というものは、死体が起き上がろうが地球が壊れようがトイが意思をもとうが、映像を観ていれば理解できるように作られているものですが、TENETとかメメントとかインターステラーとかその点全く慈悲も無い。必死で頭を回転させないとついていけません。

数えてみると、車は4台走り回ります。主人公とニールの乗ったBMW、逆行セイターと順行キャットの乗ったバックで走るアウディ、(3) それからひっくり返って登場するサーブには逆行主人公が乗っていて、(5)で現れる順行メルセデス・ベンツはボルコフが運転してます。このメルセデスは逆行セイターが乗るしケースを運ぶし (7)トランクには主人公が押し込められてるし (11) 盗聴器は仕掛けられるし、色々盛りだくさんに搭載されてます。

プルトニウム241と呼ばれるアルゴリズム装置の部品の行方は物語上たいへん重要なんですが、これ一度で分かったら尊敬します。ノーラン監督と同じくらい頭がいい人だと思います。(私は分かりませんでした。)

このブツは、(12 )主人公が逆行主人公の乗るサーブに投げ入れます。が、その場面は順行時には観客には伏せられていて、主人公が逆行する時に分かります。(9)逆行主人公はサーブに乗る時、中にブツがあるはずだと思って探しますが見つかりません。実は座席のすきま (?) に隠れてました。

このブツはカーチェイスが終わったあともサーブに隠れているので、セイターは順行に戻って難なく回収したはずです。その場面も観客は見せてもらえませんが。本当にいけずな監督です。大好きです。

ところで逆行人間たちが運転する、後ろ向きに走る自動車ですが、これは自動車そのものが逆行しているのでしょうか。つまり回転ドアで逆行処理された自動車なのでしょうか。

逆行人間が普通の空気を呼吸できないことから推定すると、逆行自動車も普通の空気を吸気してガソリン燃やして排気ガスを出せないかもしれません。そうするとあれらは順行自動車ということになります。ということは、あれらがバックで走っているのはギアをバックに入れているからです。逆行運転手はギアをバックに入れると前に進む厄介な車を運転していることになり、これはそうとうな運転技量が必要だし、それを初見で運転している逆行主人公の能力たるや、とても真似できません。真似する機会は一生こないと思われますが。


さてこうやってプロットを消化してから、TENETがやはりちょっとしか説明してくれていない電子や陽電子や対消滅の話を以下のオンライン・イベントで紹介いたしたいんですが、はたしてたどりつけるかなあ。面白そうだと思われたらお気軽にどうぞ。

***2020/10/24 追記: イベントは終了しました。御参加ありがとうございます。***


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