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面舵?取舵?ヨウソロウ?

春から始まる活動の主要メンバーは『クルー』と称されることとなった。
そして、活動拠点となるビニールハウス内の黒板には『クルー』に引っ張られてか、船舶における役職が主要メンバー4人にそれぞれ割り振られていた…のだと思う。多分それで間違いないはずだ。

ホシ……船長
セキ……燃料の人、甘味
アコ……ロープの人
ユカ……航海士

ロープの人ってなに?
船長と航海士がいるのだから、多分船舶で間違いないと思うのだが、甘味ってなんだよ…なんでボクだけ2役ついてんだよ…
色々とツッコミたくなってくる。
この船大丈夫か?

いったん、立ち止まろう。よく考えるんだ。
船長と航海士はハッキリしている。それは良いし、であるならば、船舶で間違いない。ここを足がかりにしよう。

では、実際の船員にどのような役職があるのかを挙げてみよう。
船長/航海士/機関士/通信士/部員
部員の中に
甲板部/機関部/事務部/司厨部/医務部など色々あるらしい。

なるほど
どれとどれが対応するだろうかを考える以前に、まず、明らかに

通信士がいねぇ。

無線通信無しに突っ走る船舶なんて、現代社会においてあっていいものなのか?
…いや、うん。あくまでも、拡張現実の世界なのだ。そこまで考えるのはよそう。

よし、ファンタジーに片足突っ込んで考え直してみる。
けど、「燃料の人」ってことは、帆船ではなくて、動力機関搭載してる動力船ってことなんだよな。動力なんだろ?蒸気?ガスタービン?電気?ディーゼルエンジン?まさか原子力ってことはないと思うが…
いかんいかん、そうやってすぐに現実に当てはめようとしてはいけないな。
甘味か?まさか、甘味で動くのか?だとすれば、役職は1つにまとめることができるが…さすがに甘味じゃ船は動かせないよな。いや?うん?

ダメだ!わけがわからなくなった!
こういう時は、「そもそも」を考えよう。
この船、目的はなんだ?
A地点とB地点を結ぶ定期航路を往復するような船か?
演習を繰り返す軍艦か?
色々な実験機材を積んだ調査船か?
漁船…は、ないな。
略奪行為を繰り返す海賊船…も、ないはずだ。

わからん。
これは、そもそもを辿る方向性を間違えた。

そもそも
船長は何のために船を出した?
よし、これに沿って船を決めよう。
直近のミーティングでは
「なくてもいいけど、あったらいいな」という場を目指すらしい。

なんだそりゃ?
雲を掴むような話だ。
けれども、うん。かつて、「西回りインド航路」や「プレスター=ジョンの国」を求めて海に出た時代を思えば、探検船というのもあっていいはずだ。
確実に燃料補給ができるかどうか分からないのに、動力だけに頼るはずもなく。だからきっと船は汽走船(基本的には帆船だけれども補助的に動力機関を積んでいる船)に違いない。
帆船に「燃料の人」が乗っていても、ただのごくつぶしである。それは避けねばなるまい。
これで2役の説明もつく。基本的に推力は風を帆で受けて得るので、動力機関は保守点検が主になる。普段役に立たないというのは肩身が狭いので、司厨部との兼務なのだ。
よし、やっとボクの説明がついた。

では、大問題の「ロープの人」である。
何だよ、「ロープの人」って、係留のためのロープなのか?いや、係留しっぱなしというわけにはいかないだろう?船なんだから。出航しようよ。繋ぎ止めておかないとどっか行っちゃうのか?この船は?糸の切れた凧のように?え?飛ぶの?飛んじゃうのか?この船は???まさかの飛行船だった?いや、航海士がいるから海にいて欲しいな!この船は!

さっぱり分からない。
これは、現実にある既存の役職に当てはめるしかあるまい。
船長、航海士、機関士がいて、通信士は居ない。ロープの人で通信士はないだろう。糸電話じゃあるまいし。
であれば、部員の中の甲板部か事務部か医務部か。
看護師資格のある人だから医務部でもいいのだろうが、ここは甲板部に注目したい。なぜならロープの出番が1番ありそうだから。
甲板部の長、甲板長は古くは水夫長と言った。役回りとしては、船長や一等航海士の指示のもと甲板部員を指揮監督するとともに、船体・船倉・船用品の整備、荷役(にやく)準備、貨物の保全・保安、船内の見回りを担当する。とのこと。
以前よくやっていた『Neo ATLAS』というゲームでも、船団を指揮する提督は水夫長からの報告を受けて船団の状態を把握していたのを思い出す。甲板長は乗組員や船全体の状態を把握してうまく手綱を掴んでいる人ということになる。船長としても、1番の相談相手はきっと甲板長になるのではなかろうか。
うん。ロープの人は甲板長。これで良しとする。

ということで、探検船HATRAKU号の冒険が始まろうとしている。
いったい、何を燃料にすれば動力機関を動かせるのかがさっぱり分からない謎テクノロジー船なので、しばらくは風任せで動いたり動かなかったりするだろう。まあ、その辺は勢い任せなクセに、変なところで考え過ぎる船長がうまく指揮をとってくれることだろう。

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