見出し画像

34時からのかがくいひろし

花巻市博物館で「かがくいひろし展」をやっているということは開催日の9月30日から知っていた
なにしろパート先のスーパーへの通勤路である
博物館の開いている時間は8:30〜16:30まで
ずっと行こう行こうとは思っていながらも、なんだかんだで時間を作れずにいた
今日はちょうどパートからの帰りに寄れる時間だったので、ようやく「かがくいひろし」の世界を垣間見る機会を得た
うん、なんかこう
チョースゲェって感じだった
いや…あれ?
ボクもうちょっと語彙なかったっけ?
いやもうちょっとこう、いや、スゲェんだけど
ストンってなったつーか
んんん?考えがまとまらない
まとまらないまま家路について
風呂を沸かして、洗濯機を回す
朝食は朝一製造、ベーカリ部門のサンドイッチ
あ、そろそろ24時間連続稼働だ


一旦時間を遡る
先の1週間は精神的にとても辛いものだったが
この1週間は身体的にキツイものだった
繁忙期前だというのに勘弁してもらいたい


16日木曜日、本来であればÖCHAKOの時間でパートは休みのはずなのだが、クリスマスケーキ製造のための研修を入れられてしまい、星さんと相談した上で仕方がなくケーキ研修を優先した
しかしながらなんといってもパート先の人手不足は深刻で、勤務店舗からさらに30分かかる場所にて朝9時から16時まで研修の後、移動を含む休憩時間の後17時から21時まで仕事をこなした
都合12時間の拘束で、この日はなかなか体力的にもキツイ思いをしたのだが、これはまだ序の口だとは思わなかった

20日月曜日に棚卸しがあって、その検査員として商品をカウントする専門業者さんの立ち合う夜通しの仕事、いつもだったらまあ、午前6時くらいには終わる仕事なのだが、今回はお客様からの「ショッピングカートが汚い」というお声があったため、カート洗浄をやるハメになった

仕事の合間に高圧洗浄機を準備する
蛇口と電源の位置を確認して、使用可能なのも確認、カートがどこか行かないようにおさえるロープも準備してある
なかなか言える機会もないし
せっかくだし1度言ってみたかったセリフを言ってみる

Ready Perfectly 準備は完全に整った

これでビシャーっとみずをかけて済めば30分で終わるだろうか
棚卸しが終わる頃の朝6時くらいに店長が出勤してきて一緒にやる手筈だが
ボクは夜通し徹夜明け、そんなに長引かせたくない、なんで11月も中頃過ぎて日の出時間から水遊びなんかしなきゃならないんだ
ショッピングカートの汚れなんてチェックアウト部門の管轄だし、この間チェックアウトパートに決めつけで思いっきり精神的に打ち据えられたばかりだというのに

棚卸しは順調、とはいかなかったが、まあ終わり
店長もやってきて6時となればすぐにカート洗浄に取り掛かった
準備中に頭を掠めた、「高圧洗浄機が爆音を上げて近隣住民からのクレームとなる」パターンは杞憂に終わったが
かわりに「(パワー不足のため)高圧洗浄機かけただけでは汚れが落ちない」という問題が発生した
結局1つ1つ雑巾で磨くハメになり
30分で済めばいいなと思っていたものは結局
3時間かかる大仕事となった
9時オープンの店には容赦なくお客様がご来店し、開店を告げる店内放送が流れる
まさか1日のうちに「閉店の放送」と「開店の放送」両方聞く日が来るとは思わなかった
店の駐車場にショッピングカートを広げて洗っている2人
それを眺める開店待ちのお客
心の中で
ふふん、誰にも「店長と夜間パート」という正解を導き出すことは不可能であろう
と、ふんぞり返ってみた
3時間の苦闘の末、ショッピングカートを洗い終わり、片付けをする
雑巾を握る手にはもはや力は入らずクッタクタで事務室へと戻る
するとそこにはチェックアウトチーフのみどりさんが出勤していて、大いに労ってもらえた
疲れや眠気やその他いろんなものが洗い流されたような心地だった
やっぱり、みどりさんはかわいいし、笑顔が素敵だし、律儀だし最強だと思う
すでに事務さんに回収されていた後方部門の20日分の日別勤務表を出してもらってその日の記録をつける

勤務時間
18:00〜33:00

33時って初めて書いた
それから店長とカート洗浄は定期的にやるのか?やるとしたら来年はいつ頃やるのか他、色々と話をして、着替えたりなんなりしてバックルームを後にしたのは30分後
朝食と居眠り運転防止のためのエナジードリンクを買って車に乗り込む
時計を見るとちょうど帰りに寄れる時間だったので、花巻市博物館に寄ることにした
よく言う
「帰るまでが◯◯です」
という言葉に倣えば
ボクは20日の34時に入館したこととなる

聞き齧った話によると
ヒトは睡眠中に記憶の整理をするという
家に帰ってひと通りのことを終えてから泥に沈むかのように眠っていた間に、頭の中では色々大変だったらしい
変な夢をみた気がする
それはさておき、日が傾いてからのそのそと起きてしばらくぽへぽへしている
今日は何日何曜日だ?
ああ、そうだ金曜日は休日出勤入ってたから忘れないようにしなきゃ

かがくいひろし作の絵本【だるまさんが】を知ったのは、確か上の子ミツキが4歳くらいの頃、保育園の本貸し出しの日に借りてきたのが最初だった気がする
ミツキの食い付きが大変よろしくその年のクリスマスプレゼントは【だるまさんが】【だるまさんの】【だるまさんと】の3冊セットにしたと記憶している
ミツキを座った足の上に乗せて、絵本に合わせて「だ る ま さ ん が」と左右に一緒に揺れながらドテッと転ぶのを何回やったことだろう
いろんな思い出がフラッシュバックしてくる
以前であれば会えない寂しさや泣かせてしまった負目から心的にダメージを負うだけだっただろうが、なんとかく今は、それはそれとして、楽しかった思い出は素直に良い思い出にしていいんだ、と思えるようになった
かがくいひろし展の順路に従い、その足跡を辿っていくと、
【だるまさんが】という作品に対する答え合わせをしているような気になった
なんというか、すっごく腑に落ちた

かがくいひろしさんは、その長いとは言いがたい人生の中で色々な経験を経て創り出した絵本が、多くの人から集大成とか言われている
本人はどう感じているかはわからないことだが、周りの人からその人生の意味と使い方を認められている
ボクはこれからどうするのだろう
この人生の意味と使い方
そんなもの結局終わってみなければわからないし、価値やら評価やらは人につけてもらうのが一般的なものだ
今のボクがあーだこーだ悩んだところで、どうしようもなく
心がいくら生きていたくないと駄々をこねても
身体はどうしたって生きようとする
とりあえず、お腹が空いたからパスタを茹でよう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?