失恋した話。
2年半付き合った恋人と別れた。
きっかけはわたしが恋人のスマホの中身を見てしまったことにある。
向こうの仕事終わりに会って夜ご飯を食べて、お風呂に入って寝る準備をして。いたっていつも通りだった。
今振り返ると、魔が差してしまったんだなと思う。
なかなか眠れないからと、ほんの出来心だった。世の中の恋する人々があれほど『恋人のスマホを見てもいいことない』と言っていたのに。お互いの暗証番号は知っていたけれど、そんなのこれっぽっちも興味なんてなかったのに。
わたしは “なんだ、何もないじゃん” を期待してしまった。
全然あった。
マッチングアプリ2つ、しかも1週間前にメッセージのやり取りしてる。かわいいですね!って言ってる。顔見せてーって言ってる。
女の子2人と2対1で飲みに行ってる写真。LINEではテンション高めな文面。
2人きりで飲みに行ったりもしていたみたい。
え、まじ?信じらんない。引いた。
ふと我に返り、もうやめよう、そう思いながらも、スマホを見る手は止まらなかった。
それが1時過ぎ。そのあと4時まで眠れなかった。
次の日1日仕事してきたけれど、衝撃と寝不足で何も手につかなかった。退勤した途端、胸の奥から湧き出る悲しみに襲われた。泣きながら帰った。
それから1週間と少し。ずっともやもやしたまま過ごしていた。このまま心に秘めたまま今まで通り接するのか、自分の非を認めつつ、問い詰めるのか。
地元の友達、お母さん、職場の人に相談していろいろ考えて、このことは黙っていることにした。
少しよそ見したとしても、また戻ってきてくれればいいと思った。
しばらくして、また会えた日があった。わたしは正直、どんな顔をして会えばいいかわからなかった。
その日も仕事終わりに会って夜ご飯を食べて、お風呂に入って寝る準備をして。違っていたのはわたしの心のもやもやだけだった。
正直、うまく笑えていなかったと思う。ちゃんと顔を見ることができていなかったと思う。
いつも通り一緒に寝ようとしたけれど、わたしは耐えきれず泣き出してしまった。恋人からしたらいきなりで。本当にだるい彼女だったと思う。
『どうしたの?何かあったの?何が嫌だった?』
恋人からの言葉に初めは首を横に振っていたけれど、もう取り繕うことも何もできず、見たものを全て話してしまった。
恋人は、アプリは職場の先輩に入れさせられたと言っていた。ただ、彼女がいないキャラだったから、とも言っていた。
飲みに行っていた女友達のうちの1人は、大学4年間ずっと好きだった子らしい。
全然下心あるじゃん、と思ってしまったけれど、アプリはその場で消して、その子のことはもう何とも思ってないと言ってくれた。許そうと思った。
それで終わったと思っていたけれど、次の日。
恋人は許せなかったらしい。スマホを勝手に見られるのは無理と言われ、次の予定も決まっていたけれど、会いたくないと言われた。
そうだよね、と妙に納得してしまった。そのまましばらく連絡することもなく、次にきたのが “別れたい” だった。今まで一緒に撮った写真をなんとなく眺めているときだった。
ついに言われたか、でもそうだよねと妙に納得してしまった。会いたくないと言われたときから、無意識に心の整理をつけ始めていたんだと思う。
ただ、声を出して泣いた。
2年半という長さと、それまで当たり前だったものがこんなに簡単になくなってしまうという現実に打ちのめされた。
そして、仕事で疲れた日に気兼ねなく「疲れたね」「お疲れ様」と言い合える人がいなくなってしまったなと。
でも思い返せば、小さなもやもやはずっと目を瞑ってしまっていたなと。2年半も一緒にいたのに、顔色を伺ってばかりだったなと。
明確な将来が見えなかったなと。
もう吹っ切れていると思ったけれど、これを書いていてまた泣きそうになっている。全然引きずっていて笑えてくる。
とりあえず恋人が置いていったものはクローゼットの奥にしまった。
時間が解決してくれる、という言葉を信じて、これからは仕事と友達に時間をかけていく。
p.s.
恋人のことを話していた人には別れたことを話したけれど、いろんな意見があって、フォーカスする点がバラバラで、面白いなと感じている。
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