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『亀谷敬正の競馬血統辞典』-競馬本の感想-

つい先日発売された新著です。

『亀谷敬正の競馬血統辞典』

保守本流のタイトルだからこその意気込みを感じます。

亀谷氏を知って20余年になりますが、亀氏のすごさは、

「物事の構造を捉える力」

そして、

「構造をキャッチーに言語化する力」

だと思います。

本書はその力がいかんなく発揮されている。

タイトルの通り血統辞典なのですが、

『1頭の種牡馬を覚えるだけでも競馬は勝てる!』

のキャッチコピーの通り、別にすべて読まなくても必要な時に必要な種牡馬について読めば良いという作りが良いですね。リーディング順などではなく50音順で強弱なく取り上げているところも、上記のコピーに沿った亀谷氏のこだわりなのでは…? と勝手に思っています。

たぶんマクフィの6ページ費やしているのも著者からのメッセージだと勝手に思っています(笑)。やっぱり覚えておいて得する種牡馬っていうのはいますから。ちなみに、タートルボウルも6ページ、ダイワメジャーは4ページ。

種牡馬辞典としても非常によくできているし、各種牡馬の狙いどころなどがわかります。ポイントはデータだけではなく、未来志向な視点で書かれているということですかね。もちろんデータも出てきますが、血統を馬券に生かす意味ではデータって絶対的なものではなくて、むしろ後から確認するものなんですよね。

そして、もうひとつ読み応えがあったのは最初の28ページ。ココを読むだけでも価値がある。

特に自分にとって新たな発見だったのは、

「欧州型にはイギリス寄りとフランス寄りがある。イギリスは日本の真逆。フランスは日英の間くらい」

という説明がものすごく腑に落ちました。ちなみにエピファネイアはロベルト系の中では少し異端で、

「エピファネイアはフランス寄りの欧州型、日本寄りのフランス型」

という言葉には大いに納得。初戦から走る、掛かる、など溢れるスピードはロベルトらしからぬ面があると感じていましたが、この言葉でスッと入ってきた気がします。

税込1,980円 のもとはこの段階で取れた気がします。

また、個人的に最近扱いに悩むことが多いキンシャサノキセキの項目も勉強になりました。先週読んでいれば東京記念のフレッチャビアンカはもっと厚く買えたよなぁ…なんて思ったり(笑)。

常に進化する亀氏ではありますが、現時点では集大成ともいえる一冊だと思います。

この本と、定番の種牡馬辞典があればとりあえず血統系は十分かなと思います。今回掲載しきれていない種牡馬もいると思うので、次回作は是非、マイナー種牡馬辞典を期待しています。ダンカークとかダノンシャークとか、載せてください(笑)。

種牡馬辞典も既にAmazonに出てますね。

最後に一つ気付いたことですが、この本は亀谷氏のYoutubeをまとめたものでもあるのですが、やはり動画よりも文字の方が情報のまとまりが良いのと、単純にこちらの理解速度が速いですね。例えば10分の動画でも、書籍だと3分あれば同レベルの理解に達する気がします。

また動画だとその後、定着させるのに書き出す作業が必要になる場合があるのですが、書籍はそこも省いてくれるので、効率も良いなと感じました。これは余談です。

これを読んだ後だからか、今週末の競馬が今から楽しみです。

亀谷敬正の競馬血統辞典


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