横浜市の財政状況ってどうなの?

新型コロナウイルス感染拡大が続いており、これまでに国民ひとりあたり10万円を給付する特別定額給付金や、事業者向けには持続化給付金、雇用調整助成金、家賃支援給付金など様々な支援メニューが提供されています。

これらの原資はもとをただせば税金であり、国や地方自治体の財政に影響が及ぶのは当然です。また休業要請に応じた事業者への支援金の金額が自治体によって差が出ることが明らかになり、それぞれの自治体の財政状況にも注目が集まりました。

大阪市と横浜市の比較
そんな今だからこそ横浜市の財政状況を明らかにしてみます。今回は、同じ政令指定都市の大阪市と比較して横浜市の財政状況がどうか分析します。

北海道夕張市の財政破綻を受けて地方自治体の財政状況は、基本的には地方公共団体財政健全化法により管理されています。大阪市、神奈川県、そして横浜市のいずれも法律上課題がある自治体にはなっていません。

大阪市と横浜市の状況を比較すると、三つの特徴が浮かび上がります。

個人市民税の割合が高い横浜市
一点目は、大阪市は歳入に占める個人市民税の割合が低く、法人市民税の割合が高くなっています。一方の横浜市は反対に、個人市民税の占める割合が高く、法人市民税の割合が低くなっています。法人市民税の方が景気変動の影響を受けやすいので大阪市の歳入の方が横浜市よりも経済情勢に左右される傾向にあります。

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横浜市は大阪市より市債発行額が多い
二点目は、自治体の借金である市債の発行状況です。大阪市は平成の初期から中期にかけて横浜市よりも多額の市債発行(平成10年度は4,000億円超)を行っていますが、近年は発行を抑制し1,000億円程度の市債発行となっています。横浜市の近年の市債発行額は1,500億円程度で推移しています。

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財政調整基金残高に大きな差
最後の三点目として、大阪市と横浜市では、自治体の貯金とも言える財政調整基金残高に大きな開きがあります。大阪市では平成24年度にそれまでの都市整備事業基金と公債償還基金を一本化して年度間の財源調整状況をより明確化することを目的として設置された経緯はあるものの、おおむね1,600億円程度で推移している一方で、横浜市の状況は、毎年度の予算編成において財政調整基金に充当する余裕がなく基金の残高は100億円程度で推移しています。それに加えて今般の新型コロナウイルス対応にも財政調整基金を取り崩した結果、残高は28億円まで減少しています。

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こうした状況を総括すると、大阪市では、将来世代に負担を先送りしないため「補てん財源に依存」するのではなく、収入の範囲内で予算を組むことを原則とし行財政改革を徹底的に行い、「通常収支(土地売却収入や財政調整基金を活用しない収支)の均衡」を目指す財政運営を行っています。

横浜市は臨時財源の投入
一方の横浜市は、徹底した事務事業の見直し、様々な財源確保策に取り組むものの保有土地の売却益や基金の活用などの臨時財源を投入することで予算編成開始時に見込まれた収支不足を解消している状況と言えます。

鈴木太郎は、横浜市の財政状況を持続可能なものとするためには、これまで以上に厳しい財政規律をもって市政運営を担う必要があると考えています。

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